参院本会議での代表質問が25日始まり、自民党の世耕参院幹事長は、岸田首相の決断力と発信力について、異例の苦言を呈した。

世耕氏は「残念ながら岸田首相の決断と言葉についてはいくばくかの弱さを感じざるを得ない」と述べ、今回の減税にまつわる一連の動きでその弱さが顕著に露呈したと指摘した。

具体的には、9月25日に岸田首相が税収増の国民への還元を表明した際についてとりあげ「還元という言葉がわかりにくかった。自分で決断するのではなく検討を丸投げしたように国民に映った。総理のパッションが伝わらなかった」と苦言を呈した。

さらに世耕氏は「還元という言葉がひとり歩きして、給付なのか減税なのか様々な憶測を呼び、世の中に対しても総理が何をやろうとしているのか、全く伝わらなかった」と続け、生活困窮者への給付と所得減税で対応すると述べていたら、多くの国民も岸田首相の姿勢を理解してくれたはずだと指摘した。

その上で「今後重要な局面で発信される際には、総理ご自身がじっくりと考えて決断し、水面下の根回しも入念に行って、その発言により政権の政策の方向性を確定させ、なんとしてでも国民の支持を得るという覚悟で、政治家としての言葉で発信していただきたい」と異例の苦言を呈した。

これに対し岸田首相は「国民への還元との言葉が分かりにくいとの指摘については、今後その内容を具体化させる段階で、デフレ脱却を確実なものにする一時的な措置として国民の可処分所得を直接的に下支えをし、物価高による国民の負担を緩和するといった私の考え方をしっかり伝えていく」と説明した。

岸田首相はさらに「これまでも自ら決断し、国民の皆さんに直接発信することを心がけてきたが、本国会でも経済政策や物価対策を中心にしっかりと議論を重ね、国民の皆さんに丁寧に説明して参りたい」と強調した。

(フジテレビ政治部)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(5枚)
政治部
政治部

日本の将来を占う政治の動向。内政問題、外交問題などを幅広く、かつ分かりやすく伝えることをモットーとしております。
総理大臣、官房長官の動向をフォローする官邸クラブ。平河クラブは自民党、公明党を、野党クラブは、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会など野党勢を取材。内閣府担当は、少子化問題から、宇宙、化学問題まで、多岐に渡る分野を、細かくフォローする。外務省クラブは、日々刻々と変化する、外交問題を取材、人事院も取材対象となっている。政界から財界、官界まで、政治部の取材分野は広いと言えます。