7月に入ったが、今年は夏の風物詩である花火大会が相次いで開催を見合わせている。
東京都の「隅田川花火大会」や新潟県の「長岡まつり大花火大会」、三重県の「伊勢神宮奉納全国花火大会」などが中止を発表している他、秋田県の「大曲の花火」は来年に延期するとしている。例年通りの開催を予定しているイベントもあるが、なんとも寂しい限り。

こうした新型コロナウイルスの影響が続く中で、6月1日に行われた「全国一斉悪疫退散祈願 Cheer up!花火プロジェクト」を覚えているだろうか。
これは、160あまりの花火業者が新型コロナウイルスの終息を願い、全国約200カ所で一斉に花火を打ち上げたイベントで、人が集まるのを避けるため、打ち上げ場所は告知せずに行われたが、ネットやテレビでも大きな話題になった。

6月1日に打ち上げられた花火
6月1日に打ち上げられた花火
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そして今度は、花火業者6社と大手旅行会社のHISが連携して、無観客の花火イベントを開くため、クラウドファンディングを呼び掛けている。

場所は非公開…全国7カ所で「キズナハナビ」

プロジェクトの名前は「キズナハナビ」。
密を避けるため打ち上げ場所は公開せず、7月24日から8月1日の間に無観客の花火イベントを全国7カ所で順次開催するという。

出典:HIS
出典:HIS

各地のイベントでは、それぞれの花火業者が選んだ楽曲に合わせて打ち上げる花火と、全会場で共通の「統一曲」に合わせて打ち上げる花火の2つのプログラムを実施し、その様子を動画に記録
その後、SNSなどで20秒前後の短編動画を公開し、クラウドファンディングで支援した人は9月下旬以降にフルバージョンが視聴できるようになる予定だ。
 

出典:HIS
出典:HIS

プロジェクト実現に必要な費用は総額約1500万円で、事務局がすでに捻出した500万円を除き、残りの1000万円をクラウドファンディングで7月24日まで募集する。

支援額は3000円から様々なコースがあり、3万円では花火工場の見学10万円では花火業者と食事会、ハナビコースと名付けられた最も高額な87万3000円だと、約5分間の「あなただけの花火」を打ち上げてくれるという。

さらに今年秋以降には打ち上げ花火イベントの第2弾を予定しており、「花火×オンライン×観光」の新しい花火の形式を作るとしている。
 

「キズナハナビ」は何を願い、どんなイベントになるのか?そして、旅行会社のHISが花火業者と協力して花火イベントを開くのはなぜなのか?
HISの担当者に聞いてみた。

6月1日の花火に強く感銘いたしました

――なぜHISが花火イベントを開く?

HISとして元々花火大会等の観覧ツアーを催行しており、花火師様とも直接やり取りする機会がございました。観光業も同じく落ち込んでいるなか、同じように落ち込んでいる花火事業者様の活動を見て励まされましたし、花火というコンテンツによって観光業も地域もホテルも盛り上がれるきっかけ作りにならないかと考えたのが今回のきっかけの1つでした。
 

――6月1日の花火をどう受け止めた?

コロナ禍の中、「日本の皆様を元気付けさせたい」「上を向いて前を進んでいってもらいたい」というメッセージに強く感銘いたしました。今後は元気付けてもらった花火事業者様への恩返しとなるようなきっかけにも出来ればと考えています。
 

――花火業者はコロナ禍の状況について何と言っている?

花火大会等がなく、厳しい現実は続いている状態と伺っております。今回のようなプロジェクトにご賛同いただけた事、大変感謝しています。
 

目標金額に達しなくても「規模縮小は考えていない」

――クラウドファンディングの目標金額に達しないと規模縮小する?

打ち上げ箇所や打ち上げ時間の規模縮小は考えておりません。
 

――「花火打ち上げイベント第2弾」はどうなる?

第2弾につきましては、第1弾と異なり実際に打上場所に足を運んでいただき、宿泊施設の客室から見られる花火観覧など、ツアープランの造成を計画しています。
 

――「キズナハナビ」のタイトル画像は日本の7カ所から花火が上がっているが、これは会場のヒントではない?

いいえ、そうではございません。全国7か所から打上げる予定にて会場は密を避ける観点から非公開にしております。
 

出典:HIS
出典:HIS

プロジェクトに賛同した花火業者は、秋田県、東京都、徳島県、長野県、福岡県、山梨県に会社があり、それぞれ有名な花火大会があるのだが、リリースによれば「必ずしも、各社の所在地で打上げが行われるとは限りません。」ということらしい。

目標金額に達しなくても規模縮小は考えていないということなので、今年花火大会をあきらめていた人には朗報であり、その心意気に感銘して支援するのもいいだろう。皆で楽しめる花火大会が開催できるようになるのが一番だが、この状況にめげず新たな花火大会の形式を考えるという前向きなチャレンジを応援したい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。