9月中旬にも金融庁の立ち入り検査を受けるビッグモーター。様々な不正が判明しているが、問題発覚前から利用客からの相談が数多く寄せられていたことが5日、明らかになった。

希望のグレードと異なる車を買わされそうに

「(ビッグモーターに関する相談は)2022年度でいきますと、全部で1491件ございます」
消費者庁は5日、会見でこう明らかにした。

消費者庁によると、2022年度に相談があった約1500件のうちの約9割が、車の購入や売却に関する相談だった。強引な勧誘や高額なキャンセル料の請求などが含まれるとしている。

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ビッグモーターでの車の購入トラブルについて、FNNは新たな証言を得ることができた。

「急に話していたことを変えて、プロがそんな間違いをするとは思ってなかったので、まさかっていうような」

こう話したのは、2022年にビッグモーターで国産車を購入する予定だったAさん。希望するグレードとは異なる車を買わされそうになったという。

Aさんが購入を希望していたのは、最もグレードの高い「RS Advance」と呼ばれるクラスだ。担当社員からも「最高クラス」だと説明を受けたため、購入契約を結び頭金を払った。

しかし、納車直前にAさんはおかしな点に気付く。以下は、その時のビッグモーター側とのやり取りを記録した音声の内容だ。

ビッグモーター側とのやり取り
ビッグモーター側とのやり取り

Aさん:
契約書を見た時に、グレードが「S」になってるんですけど。
担当社員:
いや、えっと「RS」クラウンで間違いないです。
Aさん:
でも、これ「S」って書かれてるんです。

契約書にはグレードは「S」と記載されていた
契約書にはグレードは「S」と記載されていた

契約書に記されていたグレードは7段階で、下から2番目のSクラス。Aさんが購入しようとしたものから、5段階も下だった。

説明をしていた担当社員は、途中で何かに気づいたような声を発した。

Aさん:
これは契約書が間違えているのか、説明が間違えているのか。
社員:
ええっと…契約書のグレードが「S」になっていると?
Aさん:
はい。
社員:
はい、ええっと…そうですね。ええっと…購入していただいたクラウンに関しては、グレードは「S」になりますけれども……。
Aさん:
いや、「RS」って言ってましたよね、グレード。
社員:
グレードは、ずっとSだったと思ってまして。

その後、Aさんが何を言ってもビッグモーターの担当社員は、「RS」でなく低いグレードの「S」で説明したと繰り返したという。
結局、Aさんは車の購入を断念。「車の納期に合わせて、家族でドライブする予定を立てていた。結局そういうことがあったので、ドライブもできなくなった」と話す。

キャンセル料8万円を支払う羽目に…

しかし、問題はこれで終わらなかった。Aさんは希望しない車を買わされそうになったにも関わらず、キャンセル料が発生したのだ。

このキャンセル料がいつ発生するかについても、ビッグモーターとの間でやり取りが交わされた。

社員:
一般論として、契約書を書いた日が契約。
Aさんの妻:
「無事に納車できたタイミングで弊社として契約成立」との話だったので、最初話聞いてるのと違うなと。
Aさん:
その話をされた?
社員:
そこに関しては、私自身の記憶がない。
Aさん:
結構重要な話です。

結局折り合いがつかず、Aさんはキャンセル料を8万円を支払う羽目になった。

この件について、ビッグモーター側はFNNの取材に「ご指摘の事案について当時、実際に販売する車両のクラスである旨を、書面に記載の上サインをいただいていることは確認しております」と回答。Aさんの主張とは食い違いを見せている。
(「イット!」9月5日放送より)

※FNNでは「ビッグモーター不正問題」を継続取材しています。情報提供してくださる方は、ぜひこちらまでご連絡ください。

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