会社ぐるみでの除草剤使用が明らかになりつつあるビッグモーター。その背景には、兼重宏一前副社長が主導した、過剰な「環境整備点検」の存在があったと指摘されている。

FNNは、社内でトップクラスのセールスを誇り、仕事以外でも宏一前副社長と交流があったという、元社員のA氏に話を聞くことができた。

客にはウソの説明…ローン会社からは奨励金

「報道の通りだと思いますよ。僕も宏一氏が原因で辞めたので。機嫌が悪いと本当に大変です。宏一氏が社長になったらとんでもないことになると思い僕も辞めた」

こう語るのは、元社員のA氏。

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A氏は、環境整備以外にも宏一氏が主導してきたある問題を指摘する。それは客が車を購入する際のローンをめぐり、虚偽の説明が行われていたというものだ。

A氏は、「例えば3年ローンにしたいとか、現金で買いたい人にも組ませるんですね。9.9%・120回(=10年)で」と話す。

客が希望するローン年数よりも、支払期間が長く金利も高いローンを組ませるようビッグモーター側が誘導し、その結果、手数料を含めた客の支払い総額は増えるという。

その後、ビッグモーターは、客に別のローンへの借り換えを提案。こうすることで「手数料が減る」と説明するのだ。

しかし、A氏は「これウソなんです。これ以上取られるので、実際。それがかなりもうかるってことで宏一氏が味をしめて。完全に会社の指示で一時期は“やれ”となっていた」と明らかにした。A氏によると、次々とローンを契約させることで、ビッグモーターはローン会社から奨励金を受け取っていた。

当時、宏一前副社長が指示を出し、こうした方法を指南する講習会が開かれていたという。

A氏は、「今考えたら“詐欺の講習会”です。当時からバレたらヤバいよねと、みんなビクビクしながらやっていました」と振り返った。

ビッグモーター側は取材に対し、「ローン借り換えについて、一部店舗でご指摘のような事案があったことは把握しております。一方で、この件について上層部が各店舗に指示をしていたといった事実は、確認できておりません」と回答している。

大量の在庫を売却…当面の資金は確保か

さまざまな問題が連日噴出するビッグモーターだが、今後、どうなるのか。

自動車生活ジャーナリストの加藤久美子さんは、ビッグモーターが大量の車の在庫を売り払っている現状に注目。当面の資金は確保できるのではとの見方を示した。一方で「不正の金額をもし全額賠償とか返還になると、とてもじゃないけど、もうこのままでは成り立たない。今までのやり方では到底、今までの利益というのは出せないと思う」と指摘した。

ビッグモーターの再建の行方が注目される。

(「イット!」8月17日放送より)

※FNNでは「ビッグモーター不正問題」を継続取材しています。情報提供してくださる方は、ぜひこちらまでご連絡ください。

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