黒いスーツを着て微笑む、大学1年生の冨永紗菜さん(18)。刃物で複数回刺され、わずか18歳で命を奪われた。

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「彼女を刃物で刺してしまった。」

29日、冨永さんを殺害した疑いで逮捕されたのは、冨永さんの元交際相手で自称・会社員の伊藤龍稀(いとう・はるき)容疑者(22)。

横浜市鶴見区のマンションで起きた今回の事件。
FNNは、現場から約200mの場所に設置された防犯カメラの映像を入手した。

時刻は事件発生直後の29日午前10時17分。

伊藤容疑者が乗っているとみられる軽自動車が、かなりのスピードで現場から離れていく様子が記録されていた。

この9分後の午前10時26分、伊藤容疑者は鶴見警察署に自首。署の前には同じナンバーの車が停められていた。

容疑者は合鍵使い「実家に侵入」か

事件が起きたマンションの駐車場では、冨永さんの母親が血だらけで倒れている冨永さんを発見し、警察に通報した。

その際、朝の出来事を次のように話していたことが新たにわかった。

冨永さんの母親:
朝、娘が目覚めると伊藤容疑者が部屋の中にいた。

家族と暮らす冨永さんの部屋に、伊藤容疑者はどのようにして侵入したのだろうか?

冨永さんの友人は次のように証言している。

冨永さんの友人:
紗菜さんの実家の合鍵を(伊藤容疑者が)持ってたらしくて、勝手に入ってきて、それが今日(29日)の朝とは聞きました。

警察によると、冨永さんと伊藤容疑者の間に、22日に“殴り合うほどのトラブル”が発生。

冨永さんは警察に通報したが、伊藤容疑者は冨永さんの家の鍵が入ったリュックを車に乗せたまま帰宅したという。

警察は伊藤容疑者がこの鍵を使って、事件直前に冨永さんの部屋に侵入した可能性があるとみて調べている。

友人の証言「束縛が激しく、嫉妬深い」

また、冨永さんの別の友人は、LINEを通じて、冨永さんが家に帰れたことを知らされていたという。

友人:
大丈夫?帰れた?

冨永さん:
無事帰れました!
ありがとうねえ

友人:
気をつけてねほんと
なんかあったら言ってー

冨永さん:
ありがとう

この友人は、以前から伊藤容疑者のDVや束縛について、冨永さんから聞いていたという。

冨永さんの友人:
(伊藤容疑者の)束縛が激しく、男友達がいる遊びへの参加禁止、インスタの交換禁止などされていました。彼女(冨永さん)も浮気など絶対しない一途な子だったので、言いつけを守っていました。

勤務先の飲食店で知り合い、冨永さんと交際に発展したという伊藤容疑者。

2人を知る人:
(伊藤容疑者は)嫉妬深くて、ちょっとしたことですぐカッとなる性格だった。

冨永さんの友人:
ケンカになったらすぐに手を出してきて、馬乗りにされて顔面を殴られるみたいな。

4度の通報も「すぐ仲直りした」被害届は出さず

警察によると、2人の交際関係をめぐり、冨永さんや第三者による通報がこれまでに4回あったという。

1回目の通報…2021年10月
2回目の通報…2022年6月
3回目の通報…2022年12月
4回目の通報…2023年6月22日

このうち3回目の通報で、冨永さんは駆けつけた警察官に対し「別れるなら殺すと言われた、別れ話をしたら首を絞められた」と話していたが、その後「すぐに仲直りをした」として、被害届は出されなかったという。

また、4回目の通報では、警察が伊藤容疑者から避難するよう伝えたものの、冨永さんは避難する意思を示さず、このときも被害届は出されなかったという。

(「イット!」6月30日放送分より)