高速道路の料金を不正に逃れる「カルガモ走行」。その瞬間をとらえた映像を警察が公開した。
“カルガモの親”見つけてピッタリ
警察が公開したのは、横浜市青葉区の東名高速のETC料金所で2022年10月に撮影された映像だ。
前を走るトラックの後ろをもう一台のトラックがピッタリとつけ、前のトラックに続いて開閉バーが降りる前に通過。料金は支払っていない。
こうした高速料金の支払いを逃れる不正は、カルガモの親子が連なって歩く様子に似ていることから、「カルガモ走行」と呼ばれている。
神奈川県警は、トラックを運転していた愛知県の陸送会社の社長、稲中実容疑者（55）と、元従業員の堀井洋幸容疑者（61）の2人を検挙した。
警察の調べによると、2人は出口で料金を支払う東名高速などではETCが設置されていない入り口から入り、出口の少し手前で“カルガモの親”になりそうなトラックの後ろにつき、ETCのレーンを通過していたという。2023年4月までの3年間で約850回にわたり不正通行を繰り返し、約750万円の支払いを免れていたとみられる。
罰金と割増金で2000万超徴収の可能性も
「カルガモ走行」などの不正通行はあとを絶たない。
過去に阪神高速道路では、「カルガモ走行」を600回以上繰り返していた運転手の男を撮影された画像から常習犯と確信し、車のナンバーから男の住所を照会して料金の未払いを通知する文書を9回送るなどして料金を請求しようとしたが、男は通知を無視して不正通行を繰り返した。そして、最終的に警察に被害を相談し、逮捕に至った。
エジソン法律事務所の大達一賢弁護士によると、高速道路で不正通行をした場合、30万円以下の罰金が科せられる。今回の件では約850回にわたり不正通行を繰り返したということで、単純計算すると約2億5000万円の罰金になるが、実際は証拠上、罪の成立が確実視される数件について起訴し、不正通行の罰金刑を求める可能性が高いという。
もし、刑法上の電子計算機使用詐欺罪に当たると判断された場合には10年以下の懲役が科せられる。また、高速道路が会社が道路特別措置法に基づき、通行料金に加えて割増金（免れた通行料金の2倍相当の額）を徴収することができる。今回のケースだと、免れた通行料金約750万円に加え、割増金1500万円、合わせて2250万円ほど徴収される可能性もある。
ETCカードを挿入するのを忘れ、バーを誤って押し開けて通過してしまい放置した場合、「不正通行」として取り扱われることがあるので、高速各社はカスタマーセンターなどへ連絡するよう呼びかけている。
（「イット！」6月20日放送より）
