朝7時から夜10時ごろまで続く重機による騒音。

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捨てられたというゴミや、漂う異臭。重機にふさがれ通行できない道…。

12日、「めざまし8」が向かったのは、千葉市若葉区にある、車の解体などを行う通称“ヤード”と呼ばれる施設です。

運営会社のホームページには、鉄、銅、アルミなどの廃棄物の輸出入及び販売や鉄スクラップの卸売業と書かれています。

3月末には火災も発生し、住民からの不満が噴出するこの施設に対して、千葉市は改善命令を出したと発表。一部の履行期限が13日までとなっています。

取材中に声をかけてきた従業員ら
取材中に声をかけてきた従業員ら

従わない場合は、刑事告発も検討するという改善命令に、業者はどのような対応を取るのか?ヤードの業者を直撃しました。

5年前から続く“騒音”…施設外にも被害が

「めざまし8」の取材班が、問題の施設を訪れると、まず目に飛び込んできたのは、うずたかく積み上げられたスクラップ。周囲には何かがぶつかるような騒音と、振動が響き渡ります。

うずたかく積み上げられたスクラップ
うずたかく積み上げられたスクラップ

許可を取ってヤードの隣の敷地からドローンで撮影すると、上空から見えてきたのは、敷地のあちらこちらに積み上がったスクラップの山。

数台の重機が稼働する中、スクラップからは粉じんが上がっているのも確認できます。

広大な敷地の中から連日聞こえてくるという激しい騒音に、ヤードの近所に住んでいる夫妻は…。

ヤードから約30mの所に住む夫妻(夫):
騒音ですよね。うるさいっていう話。テレビの音が聞こえなくなっちゃうくらいうるさいから。朝の7時から夜の10時くらいまで。

ヤードから約30mの所に住む夫妻(妻):
音とか振動ですね。台所にいても揺れますし、横になってても揺れますし…。

取材中にも、突然「ガッシャーン」と大きな音が鳴り、会話を遮ります。

ヤードから約30mの所に住む夫婦(夫):
これこれこれ。これが一番(家に近い)前のとこで作業やってるんですよね。これが本当に困っちゃって…。

騒音計で計測してみると、常に55から60デシベル以上の音が
騒音計で計測してみると、常に55から60デシベル以上の音が

市の条例では、日中の騒音は、高くても55デシベル以下と決められていますが、測ってみると、常に55から60デシベルを超える数値が出続けていました。

ときには、掃除機の音を間近で聞いているのと同じレベルの、75.3デシベルになることも。

今から5年前に突然始まったという騒音。近隣住民がヤードの従業員に改善をするよう訴えても、「日本語が通じなかった」といいます。

ヤードから約30mの所に住む夫妻(夫):
(業者が来たのは)2018年の8月ですから、もう5年前ですよね。音がうるさいって言ったんですけど、日本語分からないってことでね。そこからもう始まっちゃってまして。中国です。中国の人です。

被害は近隣の住宅だけにとどまりません。ヤードの近くにあるホテルでは、騒音で販売できない部屋があるといいます。

ヤード近隣のホテルのスタッフ:
隣と、両隣…。直接、一番(ヤードに)面していますので。本当に3部屋は真横であれだけの鉄くずを扱われる音がするので、販売できる状況ではないですね。

さらに、施設内だけでは収まらず、ヤードに隣接する別名義の土地にも資材が置かれている始末。

ヤードに隣接する土地の所有者によると、生活ゴミが遺棄されたり、木に粉じんが積もり白くなるなどの被害も。

粉じんが降り積もり変色した木
粉じんが降り積もり変色した木

千葉市が管理する公道が鉄板や重機で道をふさがれ通行できなくなったり、かつてはゲートが設置され、道が閉鎖されたこともあったといいます。

公道に設置されたゲート(2022年4月撮影)
公道に設置されたゲート(2022年4月撮影)

「のれんに腕押し」進まぬ議論…取材班に水をかける場面も 

千葉市は、2021年に金属スクラップなどの再生資源物のヤードを市の許可制にして管理していく「再生資源物の屋外保管に関する条例」を制定。

施設に貼られた「命令の公示」の張り紙
施設に貼られた「命令の公示」の張り紙

3月、条例施行後、初めてとなる改善命令をこのヤード業者に出したと発表しました。

違反しているのは、囲いを設けることなく、スクラップが乱雑に保管されていること。

火災や延焼の予防措置として定めている200平方メートルの面積を超えるなども、違反になっているといいます。

さらに、ヤード内には、市の許可を受けずに食堂やトイレなどが建築されています。

千葉市都市局建築部 建築指導課 巻木良一課長補佐:
現場ではこれも建物になるので、壊してくださいというような指導してるんですけれども。前向きな回答は頂けないというような、「のれんに腕押し的」な対応になってますね。

2022年の映像と比較すると、市が定める5mより高く積み上げられたスクラップの山などは、少しだけ改善されているように見えるものの、改善命令の一部は、履行期限が13日までとなっており、命令に従わなかった場合、市は、刑事告発も検討するとしています。

今後、ヤード側は、どう対応をとるのか。

めざまし8が施設周辺で取材を続けていると、ヤードの従業員らしき人物が、中国語で「何か撮影しているのか?」と話しかけてきました。

「おい!」と叫びながら、カメラに向かって水をまき、警戒心をあらわにします。

取材班に向かってバケツのようなもので水をかける従業員ら
取材班に向かってバケツのようなもので水をかける従業員ら

取材に同行した中国語の通訳スタッフが話しを聞くと…。

ーー近隣住民が迷惑しているのは知っている?
ヤードの従業員:

よく知らないよ、うちの本社に連絡して。

千葉県四街道市にある本社を訪ねると、責任者が海外出張で不在のため、詳細を話せる人がいないといいます。

ーー担当者の方と電話とかでお話を伺うのは難しいですか?
ヤードの関係者:

いや…それは…。上の判断になるんですけど。私、自分の仕事の方だけに向いているので。

改善を求め続けた近隣住民たちの訴えは、ヤードの責任者に届くのか。今後の動向に注目が集まります。

(めざまし8 4 月13日放送)