一律10万円給付等の補正予算が成立 これに先立ち自民保守派が提言

4月30日、参議院本会議で、今年度の補正予算が成立し、その目玉である「国民への一律10万円給付」が、早速一部の自治体でスタートした。

これに先立つ27日、自民党の青山繁晴参院議員が代表幹事を務める党内の保守系議員グループ「日本の国益と尊厳を護る会」(以下、「護る会」)は、新型コロナウイルスを受けた経済対策に関する要望書を、岸田政調会長にアポなしで提出した。提出は青山氏と「護る会」幹事長の山田宏参院議員が行った。

国会議員50人超が所属する「護る会」はこれまで、政府が4月7日に減収世帯に限っての30万円給付などを盛り込んだ補正予算案を閣議決定した翌日に、その政府方針に異論を唱え“一律10万円以上の現金等給付”などを求めた。そして、その提言も要因の1つとなって、政府が一律での10万円支給に方針転換するなど、「護る会」は自民党内で発言力を増しつつある。その「護る会」が新たにまとめた提言の概要は以下の通りだ。

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1.一律10万円の海外在留邦人への支給

2.テナントの家賃問題はテナントと家主(オーナー)双方を助ける制度設計

3.地方創生臨時交付金1兆円を大幅に増額すること

4.雇用調整助成金の手続きを簡素化し申請者・窓口の負担軽減と迅速な助成金支給

自民保守派「海外在留邦人にも現金10万円の支給」を求める

今回の提言の中で特に注目したいのが「10万円の海外在留邦人への支給」だ。実は今回の一律10万円給付は、基準日である4月27日の時点で、住民基本台帳に記録されている人が対象であり、海外在住の日本人は住民票が国内にない場合、給付の対象となっていないのだ。これは2009年の麻生政権の元での定額給付金と同様の措置だ。

岸田氏との面会後、記者団の取材に応じた青山氏は「海外に住む日本人は少なくとも140万人いる。事実上、見捨てるのかという事になっている」と指摘した。その上で岸田氏に対し「海外在留邦人への支給をお願いしたい」と強く訴えた。

青山氏は、海外邦人への給付を提言に盛り込んだ理由について、海外在住の邦人から自身に対し「私たちは捨てられたのか」「日本国内の外国人には給付があるのに、同じ同胞なのに海外にいるというだけで給付がないのは日本国民としておかしいんじゃないか」という声が寄せられたからだと明かした。それを受け、「護る会」の執行部会・総会を開き、今回の提言という形になったという。

青山繁晴参院議員「(海外邦人に)何も手当てしないというのは信じられないこと」

海外在留邦人への具体的な給付方法について青山氏は「私案」としたうえで、「海外だと領事館のメールを受け取っている。海外については場合によっては手上げ方式でやることもあり得る」との考えを示した。つまり海外邦人から支給を求める形だ。青山氏によると岸田氏は海外邦人への支給について「非常に大事なことだ。必ず何かを考えるようにしたい」と応じたという。青山氏は「光が見えてきたんじゃないか」と語った。

「いずれにしても(海外邦人に対し)何も手当てしないというのは信じられないことだ」と青山氏は締めくくった。

安倍首相は一律10万円給付の方針を発表した17日の記者会見では、「緊急事態宣言を全国に広げ、全ての国民の皆様に御協力をお願いする」とした上で、「国民の皆様と共に乗り越えていく。その思いで、全国全ての国民の皆様を対象に、一律に1人当たり10万円の給付を行う」と述べている。

この首相の言葉を読み解けば、海外在住の国民は「全国全ての国民」からは外れるのかもしれない。また、海外在住の日本人は、居住している国の政府からの給付を受けている例もあるほか、日本政府の緊急事態宣言による生活への直接の影響は比較的小さく、現金給付すべき対象にあたらないとの指摘もある。

とはいえ、安倍首相は会見で「全ての国民の皆様にお配りするという方向が正しいという判断をした」とも語っている。果たして青山氏らの提言通り、海外に在住する日本人にも今回の現金支給が行き渡るかどうか、自民党執行部と政府の判断が問われている。

(フジテレビ政治部・門脇 功樹)