ついに4月16日には政府の緊急事態宣言の対象エリアを全国に広げ、日本全体として新型コロナウイルス撲滅に力を合わせて戦っています。

約10年前のリーマンショックと比較して、「リーマン並みの衝撃だ!」という人がいます。しかし、今回のコロナショックはリーマンと別次元というほどの激しさで人と企業の生命を直撃しています。

現在の中小企業の現状

リーマンショックは金融業界を発端としており、まずは金融や株や不動産を直撃しました。しかし、コロナショックはむしろ消費者に最も近い飲食業、小売業、観光業などの中小企業に襲いかかっています。

つまり、ビジネスの下流から始まる大きな波が、消費者と接している中小企業を飲み込んでいると言えます。コロナに対する生命の恐怖や自粛のために個人消費が全く沈み込んでしまったからです。

やがて、この大きな波は中堅企業そして大企業へと襲い掛かっていくことでしょう。こうなったときには、それこそリーマンショック時のGDP低下-8.6%(直後2年間にわたり)などというレベルのものではなくなるでしょう。

実は、もともと2020年は中小企業の倒産が前年より増加すると予測し警戒されていました。帝国データバンクの倒産集計によると、やはりこの1月から3月の倒産件数は前年の6.4%増加しているのです。

そこに、コロナショックの襲撃です。同データバンクは4月22日現在のコロナ関係倒産企業を81社と発表しました。

コロナ倒産は始まったばかり。恐ろしいことですがこれからが正念場です。現実に私の目の前に、まもなくコロナのせいで自己破産をせざるをえない老舗の中小企業がおります。

中小企業の経営者がやらなければならないこと

そこで、中小企業の経営者がやらねばならないことは次の3点です。

1)社長自身が心を落ち着かせること
このように経営環境に大きな異変が生じたときに、社長がやることは、“まず自分自身を落ち着かせること。社長がオロオロしたら、社員たちはもっと不安になります。まず、落ち着いて手元資金を確認し、これでこの先どこまで生きられるのか、という“あたり”をつけることです。

2)コロナ資金に関する融資をどのくらい受けるかを考えること
制度融資については次項で説明しますので参考にしてください。

3)売上高の落込みをどのように回復するかの構想を頭に描くこと
やはり後述いたします。

目先の資金繰りを解決するための支援

新型コロナ感染症で売上が減少し資金繰りに支障のある中小企業に対する緊急支援の内容が、すでに案内されています。

しかし、その内容や手続きなどが煩雑なため、具体的にどのようにすればよいのか混乱をしている経営者が数多くおります。

そこで、まず中小企業を対象のコロナに対する主要な制度融資をまとめてみます。

(1)取引金融機関から融資を受ける場合

信用保証協会の保証が必要となります。まずは、会社の所在する市区町村にてセーフティーネット認定申請書を取得し、保証付き融資の申込みをします。セーフティーネットには、4号と5号があります。

4号は幅広い業種で影響が生じている地域で売上高が前年同月比-20%以上減少の場合の企業を対象に保証協会が借入債務の100%を保証します。

5号は特に重大な影響が生じている業種に対して、売上高が前年同月比-5%以上減少した企業に対して保証協会が借入債務の80%を保証します。

この信用保証協会の保証を得て取引金融機関から融資を受けることができます。なお、保証料や利子の減免措置もあります。

(2)日本政策金融公庫から融資を受ける場合

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の制度融資があります。

コロナにより最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同月と比較して5%以上減少した場合。なお、中小企業の場合、売上が20%以上減少した場合は当初3年間利子0.00%です。

(3)商工組合中央金庫から融資を受ける場合

「危機対応融資」の制度融資が最近できました。融資要件は政策金融公庫とほぼ同様です。

どの融資を受けるかについては、まずはメインバンクに相談してみたらいかがでしょうか。

人材を失わないためにできること

目先の売上が減少したからといって、スタッフを解雇することは、会社の復活を考えると大切な人財を失うようなものです。

会社なり店をある期間でも休業せざるを得ないと判断した場合には、「雇用調整助成金」を活用するのがよいでしょう。

新型コロナウイルス感染症対策として、4月1日~6月30日の緊急対応期間中は、全国で全ての業種の事業主を対象に雇用調整助成金の特例措置が実施され、申請書類・手続きも以前よりはるかに簡素化されました。

さらに、雇用保険被保険者でなくても適用されるので活用範囲が広くなりました。

失った売上を回復するために…

今後の経営課題は、何といってもコロナの影響で大きく減少した売上をコロナ以前にまで戻すことでしょう。

しかし、売上を増加させるための公的な支援はありません。やがて、コロナ騒ぎが収まるにつれ以前の様に街は賑わいを取り戻すことでしょう。

でも、自然に任せておいた場合は、自社・自店にそのまま戻ってくるという保証はありません。ここは、経営再生の実績のある経営再生専門家の意見を聞き、支援を受けることも大事です。

できるだけ早く以前の売上に近づけるための基本的なステップを述べましょう。

第1ステップ:
コロナ騒ぎの間でも、変わらず取引・来店いただいた取引先、お客様がこの先も最も大切です。心からの感謝の気持ちを持って接し、今後もこれまで以上のお付き合いを続けていただくことです。

第2ステップ:
コロナ騒ぎの間にお付き合いが無くなった取引先や来店客は“既存顧客”です。一度でもご縁のあった顧客は自社のことを知っていてくれます。電話でもメルアドでも知っていたら、時々便りを交換することが肝心です。こんな時に顧客名簿がなにより財産です。もし、無ければこれからでも意識して名簿を作る必要があります。

第3ステップ:
あなたの事業の“強み”をより強くすることです。コロナ騒ぎで世の中が停滞している間に“わが社の強み”を徹底して作り、磨き上げることです。本当の強みならお客様が認めてくれます。ドンドンと新規の顧客が増えていくことにつながるでしょう。ピンチをチャンスに切り替えるチャンスです。

『定年博士』(きずな出版)

執筆:吉岡 憲章(よしおか・けんしょう)   
未来事業株式会社代表取締役。経営プロデューサー。経営学博士(Ph.D.)MBA。1941年、東京生まれ。早稲田大学第一理工学部卒、多摩大学大学院で博士号取得。63年日本ビクター入社、同社品質保証課長、企画課長、商品企画課長歴任し、74年退社し、経営コンサルタント会社を創業。現在に至る。中小企業に特化した経営再生・成長指導の草分け的存在で、独特の経営指導手法により「常識破りの再生請負人」と称されている。これまでに1,100社の中小企業の経営を再生・成長へと導いている。

著書に『定年博士』(きずな出版)、『会社が赤字とわかったとき読む本』(PHP)、『社長の器』(PHP)、『一年で儲かる会社にしようじゃないか』(日本実業出版)ほか多数。