コロナが影響…追いつかないマスク需要

テレビ西日本 仲村健太郎記者:
やはりないですね。マスク売り場なんですが、ガラ空きの状態です

訪ねたのは、福岡県内に14店舗を構えるドラッグストアチェーン。

ドラッグコーエイ三井伊田店 三浦準子店長:
注文が殺到して、メーカーさんの方にも在庫が今ないような状況になってるので、店頭に並ばない。入ってきても7枚入りのマスクで、50枚入りのマスクがほとんど入ってきていない状況

感染リスクをはらんだ朝の行列。それを避けるため、開店時の販売を中止している。

ドラッグコーエイ三井伊田店 三浦準子店長:
いつ店頭に並ぶか、わからないというので、1日3回、4回と来るお客さまもいらっしゃいます。そのほかは、携帯とかラインで知り合いに「今(マスクが)並んでるよ」という情報を伝えるので、一瞬でマスクはなくなる

コロナの影響で、爆発的に増えたマスク需要。

2月の時点で、月に4億枚だった供給が、4月は7億枚を超えるまで増える見通しだが、到底、需要に追い付かない。仮に国民全員が1日に1枚使うとすれば、ひと月で30億枚以上が必要になる計算で、国は今後、さらに供給を増やしたい考え。

だが、そこには高い“壁”があった。

マスク価格高騰の背景に世界的な“争奪戦”

テレビ西日本 仲村健太郎記者:
福岡県の対策本部です。まさに新型コロナウイルスに向き合う最前線ですが、その中にマスクの専従チームもあります

通称「マスク班」。これまでに国から届いた262万枚を優先度の高い順に医療機関などへ届けてきた。

担当者が明かしたのは、供給面での深刻な課題だった。

福岡県薬務課 上田修課長:
中国で感染が広がったということで、最初の時に輸入が停滞した状態になっていて、現在は若干増えてはいるが、なかなか日本にそんなに入ってこないというのが続いている

そもそも日本は、マスクの供給の8割を主に中国からの輸入に頼ってきた。しかし、この欠かせない「中国ルート」に今、異変が起きているという。

中国製のマスクを輸入販売している会社。

まる優 財部優次郎代表:
こちらですね(マスクですね)。3層式、衛生マスク、メイド・イン・チャイナ! 1つの段ボールで3,600枚入ってますね。全部で50万枚ぐらいあります。1日で全部きょう発送します。

ーーすごいですね

まる優 財部優次郎代表:
注文分まだ足りてないです。50万枚でも

全国の企業や個人から注文が殺到し、発送作業に追われていた。現地の感染拡大で一時ストップしていた輸入も再開し、さぞかし順調、に見えるのだが…。

まる優 財部優次郎代表:
(耳にかける)ゴムも足りないし。不織布ウイルス99%カットの生地ですね、マスクの生地自体が不足していて。原料だけの価格で20~30倍ぐらい、どんどんマスクの値段が世界で上がっていってて。今、想像がつかない世界に入ってきてますね。(ヨーロッパは)1枚が今700円ぐらい

直面していたのは、中国での原料、そしてマスクの価格高騰。この会社の販売価格は、1枚70円と高値に思えるが、利益はほとんどないという。

この中国における価格高騰の背景にあるのが、世界的な「マスク争奪戦」。海外の港では、信じられないことが起きているという。

まる優 財部優次郎代表:
本当に高い金額を出して、(マスクを)横取りしていくんですよね。ほかの所に送る予定だったマスクを、コンテナを乗せてる港でお金を払って、乗せてる人たちにお金を払って、チャーターの飛行機でばっと積んで…もう映画の世界。そういう状況が、うちの関係の周りでも目の前で起こって

中国マスクメーカー担当者「年末まで値下がりすると思えない」

マスク争奪戦の影響は、日本にも及んでいた。

福岡市で貿易会社を経営し、マスクの輸入にもくわしい男性は、欧米に対する「買い負け」が品薄につながっていると指摘する。

マスクの輸入にくわしい小島尚貴さん:
海外の企業は、1回で買う単位が非常に大きい。日本人が10回に分けて買ったり、10社で買ったりするぐらいの量を、1社が現金前払いで値下げも要求せずに買っていく。これはオーストリアから来ているものだが、注文数量が1,000万枚と。

ーー1回で?

マスクの輸入にくわしい小島尚貴さん:
1回です。やっぱりどちらが優先されるかというと、当然(注文が)大きい所になってくる

鍵を握る中国のとあるマスクメーカーが取材に応じた。

ーーいろんな国から購入の依頼がきていると思うが、買い方に違いは?

中国のマスクメーカー担当者:
欧米の人たちは、たくさんマスクを買ってくれる。それだけ多くの需要があるのだろう。(一方で)日本の人たちは、決定を下す時に慎重すぎます

日本と欧米では、やはり印象が違うようだった。

中国のマスクメーカー担当者:
この状況下では、ほとんどをヨーロッパに輸出している。ヨーロッパの人たちは、マスクをあまり好まないが、今はマスクをせざるを得ないのでたくさん買っている

ーーヨーロッパ向けは?

中国のマスクメーカー担当者:
パーセンテージにすると80%以上

ーー2019年はどうだった?
アジア向けが多く、60%以上だった

中国の得意先が、アジアからヨーロッパへ。世界のマスク市場をコロナが大きく変えていた。

ーーマスクの値段は今後も上がっていく?

中国のマスクメーカー担当者:
短期間では、通常の値段には戻らないと思う。なぜなら、ヨーロッパでは感染状況が日に日に悪くなっているので、ことしの年末までは値段が下がるとは思えない

しばらくは続きそうだという価格の高騰、そして品薄。

町のドラッグストアは、たとえマスクを調達できても高値での販売となり、抵抗があると苦悩する。

ドラッグコーエイ三井伊田店 三浦準子店長:
今まで取引のなかった業者から、「そういったマスクがありますよ」という提案はあるが、値段の問題だったりがあるので、お客さまとしてはどうなのかな

(テレビ西日本)