新型コロナの影響で裁判が延期に

新型コロナウイルスの影響は、司法の場にも及んでいる。

緊急事態の宣言で、裁判の日程が延期されるケースが相次いでいて、刑事裁判を受ける被告の拘束が長期化しているのだ。

等間隔に貼られている「着席は御遠慮ください。」と書かれた白い紙。

これは、福岡の裁判所の法廷で取られている感染対策。

裁判を傍聴するにはソーシャルディスタンス、1.5メートルほどの間隔を開けなければならない。

カルロス・ゴーン被告:
わたしは非常に残虐な形で拘束された。異常な日本の司法制度を告発したい

元日産自動車の会長、カルロス・ゴーン被告は、2020年1月、100日を超える長期拘束を受けたとして日本の司法制度を痛烈に批判した。

日本における勾留期間の長さは、ほかの先進国に比べ長く、海外からも厳しい目が向けられている。

拘束の長期化で被告人には身体的な負担が…

そんな中、福岡の裁判所でも緊急事態宣言以降、裁判の大半が延期に。

公判が延期されれば、その分、被告人の身体的な拘束が長引くことになる。

刑事事件を多く担当する弁護士は、この点を問題視している。

田村和大弁護士:
被告人が罪を犯したのか、犯していないのか、その裁判を迅速に行わないといけない。非常事態宣言という行政府の判断によって、司法府が判断を放棄してしまう。裁判を停止してしまうことは重大な人権侵害につながる

これは、拘置所のイメージ図。
4畳ほどのスペースにトイレと布団、窓ガラスは1つだけ。

刑事裁判のうち、身柄の拘束をともなう被告人は、有罪か無罪かの判決を受けるまでの間、ここでの生活を強いられる。

密輸などの罪で起訴の男女…保釈もできず

2019年4月に福岡空港で、3億円相当の覚醒剤が発見・押収された。

密輸などの罪で起訴されたマレーシア国籍の男女2人は、「覚醒剤と知らなかった」と無罪を主張している。

ところが、3月中旬に予定されていた裁判は6月まで延期に。

結果として、拘置所での生活が90日以上長引くことになる。

保釈できないことに対し、検察の幹部は、「逃走・証拠隠滅のおそれがあるため、やむを得ない」としている。

また、一連の裁判の日程を取り消した福岡地裁は「各裁判官の個別の判断」としているが、弁護士は…

田村和大弁護士:
執行猶予が相当な事案、あるいは罰金刑が見込めるような事件、こういった事件については、判決を早く行って、(あるいは)保釈を認めることによって、身体拘束を解く判断もあってしかるべき

経済的な影響に目が向きがちだが、新型コロナの感染拡大は、人権にも暗い陰を落としている。

(テレビ西日本)