家賃の支払いが企業を苦しめている!?

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が全国に発令される中、与野党の間で“家賃をめぐる問題”がにわかに活発化してきている。つまり、感染拡大防止のため、休業を余儀なくされている飲食店などの『家賃の支払い』をどう支援していくのかという議論だ。

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政府が実施を予定している緊急経済対策では、中小・小規模事業者対策としては、中小企業に最大200万円、個人事業主に最大100万円の現金給付や、雇用を維持するための雇用調整助成金として、労働者の正規・非正規を問わず解雇を行わなかった場合に、中小企業は賃金の10分の9まで、大企業は賃金の4分の3までの助成を行うこととしている。

一方で、固定費としての家賃に関しては明確な支援や助成が盛り込まれていないため、事業主は通常時と変わらず、賃料あるいはテナント料を支払い続けなければならない状況だ。この家賃負担が、休業を続ける飲食店などにとっての死活問題となっている。これを受けて、政府に先んじて与野党から、対策案が提示され始めた。

野党は家賃の支払い猶予を提案、法案化作業に

国民民主党の玉木代表は4月15日の記者会見で「特に飲食の方々で、家賃を払えないと廃業せざるを得ないっていう悲痛な声がたくさん届いています」と事業主の苦しい現状を紹介するとともに、「我々としてはいわゆる家賃支払い猶予法、家賃支払いモラトリアム法案というものを、政調に指示をして法案化の作業を今進めております」と自らの腹案を披露した。

つまり貸主への家賃支払いが難しい借主に対して一定期間の支払い猶予を認め、その間の家賃は政府系金融機関が当面肩代わりするという法案だ。日本維新の会がこの提案にすぐさま「全力で協力をしていきたい」と応じると、立憲民主党など他の野党も、家賃問題が「目下の急務である」として急速に足並みを揃えた。そして共同で法案として提出する構えで、与党にも賛同を求めている。

対する自民は家賃の「補助」で勝負 岸田氏“政府の対応は十分でない”

対する自民党も4月21日、岸田政調会長が臨時の記者会見を開き、「家賃の負担の問題が話題になっています」と自ら切り出した。そして、現在の政府の対応は「十分ではない」として、「支援は家賃の支払いをするための助成金ですとか、補助、こういったことを考えていかねばならない」と主張し、こちらも議員立法も視野に対応する意向を示した。

野党案が“家賃の支払いの猶予”なのに対して、岸田氏は“家賃の補助”という考え方だ。また報道陣から、与野党での具体的な連携を問われると岸田氏は、「周りの議論にふりまわされるということはあってはならないかと思います。まずは自分たちがどうするのか、これをしっかり議論したいと思っています」と述べた。自民党内の議論を最優先することを強調し、野党側とは距離感を取る考えを示した格好だ。

こうした発言の背景として、党内からは「与党が何も検討していませんじゃまずいでしょ」(自民党ベテラン議員)などと、家賃問題に関して野党に先行されたことへの焦りが感じられる一方、「(野党とは)中身が違う。猶予っていうのは背負っている負担は減らないということだ」(自民党幹部)」と、自民党案の方が国民の理解を得られるとの強気な声も聞かれた。

国会では、27日に緊急経済対策の財源となる今年度補正予算案の審議が始まり、この家賃問題も議論の大きな焦点となる見通しだ。与野党が対策案を出し合い論戦を展開するのは歓迎されるべきことだが、その上でこの家賃問題が、党利党略ではなく必要な人に速やかに届く支援の形になることを期待したい。

(フジテレビ政治部 福井慶仁)