厚労省が病院の受け入れ態勢を確認できるウェブサービスを公開
国内での感染者が5000人を超え、なおも広がりを見せる新型コロナウイルス。この状況で問題視されていることの一つが、感染予防対策で外来患者などの受け入れを制限する医療機関が出始めたことだ。
医療従事者がウイルス感染すると、院内感染でのクラスター発生や医療崩壊などを招く可能性もあるため、患者の受け入れにも慎重にならなければいけない。その一方で、本当に治療が必要な患者が受診できなければ、症状の悪化などを招く可能性もある。
こうした状況もあり、厚生労働省は4月8日、全国の病院の受け入れ態勢などをインターネット上で確認できるウェブサービス「全国医療機関の医療提供体制の状況」を公開した。
そこで入手できる情報や利用方法などをお伝えしたい。
各病院の対応などを一目で確認できる
全国医療機関の医療提供体制の状況には、病床数を20床以上確保している全国の病院から提供された受け入れ態勢の情報が集まるシステムとなっていて、大きく分けて「医療提供情報」「医療提供状況詳細」「医療制限もしくは停止状況」の3つの情報を知ることができる。
※各病院から集まる情報は掲載前日時点のもの
医療提供情報では「外来」「入院」「救急」などの機能が、病院で正常に対応できているかどうかがグラフで確認できる。グラフは「通常」「制限」「停止」の3種類で構成され、通常は平常通り、制限は機能の一部に制約があること、停止は機能が停止していることを示している。
このグラフは全国または各都道府県別に見ることができ、例えば、4月10日午後1時時点で、外来は、全国の統計だと病院の91.0%が通常の対応をしているが、感染者が急増している東京都では、通常の対応をしているのは78.4%にとどまっていることが分かる。
居住地域の自治体がどのような状況なのか、把握するのに役立つはずだ。
医療提供状況詳細は、こうした情報を地図上に表示して見やすくしたものだ。
地図上には各病院の所在地がピンで示されていて、マウスカーソルを合わせると病院の医療提供情報、郵便番号、住所、電話番号などが一目で分かるようになっている。
この地図は拡大・縮小もできるので、近隣の病院の対応が知りたい時などに役立つだろう。
医療制限もしくは停止状況は、制限または停止の対応をとっている病院の割合をまとめて、都道府県別の地図で比較できるようにしたものだ。地図は割合別に色分けされていて、赤色が濃くなるほど、制限や停止の割合が高くなっている。
こちらもマウスカーソルを合わせると詳しい情報が表示されるので、他の都道府県と比べて、居住地域の自治体がどのような状況か調べたいときに役立つはずだ。
症状が心配な場合は「帰国者・接触者相談センター」に電話相談しよう
全国医療機関の医療提供体制の状況は、政府サイトの「政府CIOポータル」からもアクセスできるので、新型コロナウイルスの症状に限らず、病院の受診を考えている人は一度目を通しておくといいかもしれない。
また、「一部制約あり」や「停止」の標記は、院内で新型コロナウイルスの感染が確認されたことを意味するものではないということなので誤解しないでほしい。そして、自身や家族の症状に不安や心配がある場合、まずは各地域の「帰国者・接触者相談センター」への電話相談を活用することも呼び掛けている。
むやみに出歩かないことは、ウイルスを移さない・もらわないことにもつながるので、こうしたネットや電話相談などの手段を賢く活用して、日頃から情報収集しておくことを心がけたい。