北海道のドラッグストアでマスクなど開店時の販売を中止に

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、全国的なマスク不足が現在も続いている。さらには、なかなか購入しづらい状況となったことから、ドラッグストアなどではさまざまなトラブルが生じているという。

開店前の早朝からマスクを求める行列がTwitter上にも投稿されているが、行列の割り込みをめぐって口論となり、男が女性に暴行を加え逮捕、また、薬局でマスクが販売されていないことに腹を立て「俺コロナ」などと言った50代の男が威力業務妨害の疑いで逮捕される事件まで起きているのだ。

そのような中で7日、北海道のドラッグストアチェーンの「サッポロドラッグストアー(サツドラ)」が、Twitterで「8日からマスクや消毒液などの開店時の販売中止」を告知した。
 

マスクなどの商品供給が追いついていなく、お客さまには大変ご迷惑をおかけしております。

少しでも多くのお客さまに購入の機会を設けることを目的に、サツドラでは明日8日より原則全店でマスク・消毒液などの「開店時」の販売を中止させていただきます。ご理解のほどよろしくお願いいたします。



さらに、このコメントともに投稿したのは「お客さま各位」から始まる告知文だ。
 

(サツドラ公式Twitterに投稿された告知文)
(サツドラ公式Twitterに投稿された告知文)
この記事の画像(5枚)

お客様各位

いつもご利用いただきありがとうございます。
新型コロナウイルスの影響で、マスク・消毒液などの商品供給が追いついていなくお客さまには大変ご迷惑をおかけしております。

そのような中で連日、開店前からお客さまに長時間お並びいただく状態が続いています。
お並びいただいているお客さまにもご苦労をおかけしている事と、朝にお並びいただけないお客さまはずっと買えないという事から誠に勝手ながら、

当店では、マスク・消毒液などを「開店時」に販売する事を、中止させていただきます。

商品の入荷状況などは本部で一括してる上、変更する可能性もある為、販売日や販売時間に関しましてお答えしかねますのでご了承下さい。

まずは朝の開店前の混乱を無くしていく事。
お並び頂けないお客さまにも購入の機会を設ける事を目的に、このような対応となります事を何卒、ご理解いただきたいと存じます。

                          株式会社サッポロドラッグストアー


サツドラの強い決意が読み取れるこの投稿には、「英断ですよ!」「グッジョブです」といった賛同のコメントが並び、1万3000以上のいいねがつくほどの反響となっている(4月10日現在)

多くの店舗では、閉店後や開店前に品出しをして売り場を保っているはず。商品が充実している時間帯が開店直後の可能性が高く、このことから客が開店前から並んでいたのだろう。

「開店時におけるマスクや消毒液の販売中止」は、朝並べない人にも購入できる機会ができトラブル防止などの効果はありそうだ。では、このような対応に踏み切るきっかけが何かあったのだろうか? サツドラの広報担当者の吉田さんに話を伺った。
 

少しでも多くのお客さまに購入の機会を設けたい

ーー開店時の販売中止に至った経緯は?

理由は大きく2つあります。

(1)長時間お並びいただくことで、お客さまの感染のリスクを生んでいるのではないかという懸念があったため
(2)朝お並びいただけないお客さまはずっと購入できないことから、少しでも多くのお客さまに購入の機会を設けたいという思いがあったため



ーーTwitterでの告知の形式をとった理由は?

一部店舗で実施した様子をSNSでお客さまが投稿してくださり、非常に好意的な反響をいただいたため、全店で実施が決まったことをいち早く正式に発信できる手段としてTwitterで告知しました。  


サツドラでは、大量購入を防ぐために「マスク・消毒液等はお一人様1点まで」と制限を設けていたのにも関わらず、それでも開店時の行列には100人以上が並んだ店舗もあったという。さらに、開店前の駐車場混雑や路上駐車発生など、通常の買い物客や近隣住民へ迷惑をかけてしまったことも要因の1つだと教えてくれた。

またTwitterユーザーの反響に接したことで、「マスク等を購入できずお困りのお客さまが多数いらっしゃったことを改めて痛感した」という。改めて「購入できずに困っていた人」の声を知ったことで、一部店舗の「開店時におけるマスクや消毒液の販売中止」の実施から全店への展開に至ったということだ。

なお、Twitterでの告知の他、各店舗ではTwitterに投稿した画像と同じ掲示物を店頭に貼ることで、周知を図っている。

(サツドラ店舗入り口に掲示されている様子)
(サツドラ店舗入り口に掲示されている様子)

ーー「開店時販売を中止」することで、どういった変化を予想した?

十分な数を供給することが難しい状況において、少しでも商品が多くの人に平等に行き渡るのではないかと考えています。

ーー店舗を利用されるお客にお伝えしたいことは?

マスクや消毒液など、十分な数を供給できておらずご迷惑をおかけしております。 今回は「少しでも多くのお客さまに購入の機会を」ということから、このような販売方法としましたことをご理解いただきたいと思っております。


マスクの供給枚数は2~3月は1600万枚で、その全てが売り切れている状況にあったという。より多くの人に商品を届けるため、「商品供給に努めることはもちろんですが、販売方法なども引き続き工夫を重ねていきたいと思っています」と語ってくれた。

また、今後の入荷・販売日時に関しては、店頭での問い合わせ殺到を避けるため、本部で一括管理する。そのため「各店舗に問い合わせてもお答えできない」そうだ。

(サツドラ旭ヶ丘南8条店)
(サツドラ旭ヶ丘南8条店)

マスク以外の予防法や手作りマスク動画も発信

さらに、サツドラ公式Twitterでは新型コロナウイルスに対する情報発信も行っている。

2月22日には、サツドラの保健師がすすめる「マスク以外の予防法」を投稿。

「予防には手洗いが有効」だとし、「石けんやアルコール消毒液を使用しての手洗いが有効とされています。十分な手洗いを行いましょう。指と指の間やつめの間は汚れの残りやすい部位です。洗い残しのないようにしっかりと洗うようにしましょう。また、十分な睡眠や食事で免疫力を高めましょう」と呼びかけている。
 

(サツドラ公式Twitterに投稿されたマスク以外の予防法)
(サツドラ公式Twitterに投稿されたマスク以外の予防法)

8日現在も「手づくりマスク」の作り方動画などを準備中で、近く投稿するという。「色んな情報をこれからも発信していきたいと思いますので、どうぞ皆様宜しくお願い致します」と今後の取り組みについても語ってくれた。

新型コロナウイルスの感染拡大により、ドラッグストアの重要性を感じる機会が増えた。品薄への対応やカスハラなど大変なことが多い中、このような「本当に困っているお客」への対応は是非とも続けてほしい。

(画像提供:サツドラ)
 

【関連記事】
「なぜ2枚?いつ頃届く?」 布マスク配布のQ&Aを厚労省が公開中

マスクを消毒したら“再利用”できるって本当? 実際はどうなのかマスクメーカー2社に聞いた

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。