新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、政府が「緊急事態宣言」を出すかどうかに注目が集まっている。

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経済への影響が長期化する中、宅配やコンビニなどの各社では、どんな対応を行い、そして今後、検討するのだろうか。(4月3日時点)

コンビニ「首都封鎖の規模によっては…」の声も

コンビニエンスストアの対応はどうなるのだろうか。
ある業界関係者は「緊急事態宣言が出たり、ロックダウンとなったりした場合でも、物流が完全に止まることはない」とみていて、社会インフラの観点からも、できる範囲での営業は続けられると話す。
ただ一方で、別の関係者は「緊急事態宣言がどれくらいのレベルになるか、そして、万が一首都封鎖となったら、どれくらいの封鎖となるのかが読めない。その規模次第では、営業継続できるかどうかわからない」と不安をのぞかせる。

大手3社も現在、対応をまさに検討中のようだ。
セブン-イレブンでは、基本的にはできる範囲での営業を継続する考えだ。
また、ファミリーマートでは、状況を見て柔軟に対応していくことにしているほか、ローソンは、地方自治体の方針に沿って対応するとしている。

Amazon「置き配」 宅配便は「対面なし」対応も

Amazonは、国内で都市封鎖となった場合も「通常時と同じく、注文商品を届けられるよう取り組んでいる」と説明し、現状では物流を止めるつもりはないとしている。
現在、Amazonは30都道府県で、配達した荷物を玄関横などに置く、いわゆる「置き配」対応をしている。また、国内での配送の注文数も増えていることから、配送能力を拡充して対応しているという。
Amazonでは、アメリカやヨーロッパで先週くらいから、日用品、衛生用品や医療用品を、優先的に倉庫に揃えて配送する対応を進めていて、日本でも同様の措置がとられる可能性もありそうだ。

ヤマト運輸は、「緊急事態宣言」が出された場合でも、重要なライフラインとして営業を継続する方針だ。
すでに対面での荷物の受け渡しを希望しない人を対象に、配達した荷物を玄関横に置いたり、宅配ボックスに入れたりする対応を行うほか、受け取りの押印やサインを不要としている。「1ヶ月ぐらい実施して、ある程度認知されつつあるが、まだ知らない人もいるため、利用者への周知を今後も続けたい」と説明している。

佐川急便でも「どのような内容が出るかにもよるが、客と従業員の感染防止を最優先にして、業務を継続する方針」だ。
そのために、電子端末を使った受け取りサインを、端末のペンを介しての感染するリスクをなくすため、現在控えている。
また、対面での荷物の受け渡しに抵抗がある利用者には、玄関先などに荷物と伝票をいったん置き、利用者が対面することなくサインし、荷物を受け取った時点で、配達員が伝票を回収しているという。

飲食店でバイトできない人の雇用も

フードデリバリー大手の出前館では、「都市封鎖」の場合でも、100%ネット決済を導入し、客と従業員が接触しない方法をとることで、十分な安全対策を行いながら、可能な限り出前を続ける予定だ。
現在 人手の確保にも力を入れていて、新型コロナウイルスの影響で、飲食店でのアルバイトができない人を積極的に採用している。

ドミノ・ピザでも今のところ、デリバリーや店頭での受け取りの際、商品の直接の手渡しを避けることができる「あんしん受け取りサービス」を活用して営業を継続する予定だ。
また、当面は全従業員のマスク着用など店舗内での衛生管理を強化する。
ただ、「緊急事態のルールはまだ明確ではないため政府から出される指針に従い対応したい」としている。

ピザ・ハットは国や自治体の指示が、営業を認める内容であれば、配達を続けるつもりだという。現在も直接対面せずにピザを受け取ることができる「置きピザ」などに取り組み、接触しない方法での宅配にも対応している。

社会インフラとしても、営業の継続を模索する各社。
新型コロナウイルスの感染状況や、政府の対応を注視しながらの動きとなっている。

(フジテレビ報道局経済部)

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