97人の感染判明...都内感染者は684人に

感染拡大を続ける新型コロナウイルス。東京都では4月2日、新たに97人の感染が確認され、都内の感染者は計684人となった。

安倍首相は緊急事態宣言について、「今この時点で出す状況にはない」としていたが、事態を受けて「必要なら躊躇なく決断を実行する」と一段トーンを上げた発言をしている。

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一方で政府の専門家会議は1日、都市部を中心に感染者が急増していることを受けて、「オーバーシュート(爆発的感染の拡大)の前に医療崩壊が起きる」とこれまで以上に危機感を強調。

専門家会議が示した内容を確認すると、状況分析として「都市部を中心に感染者が急増していること」「医療現場が機能不全に陥ることが予想されること」などが挙げられている。

また、地域ごとの状況を判断する指標として、「感染拡大警戒地域」「感染確認地域」「感染未確認地域」の3区分なども提言された。

医療現場では、今何が起きているのか。

感染者のための病床数が足りなくなってきている

加藤綾子キャスター:
和田先生、専門家会議は強い危機感を示したのですが、その背景にはやはり、医療現場の逼迫した状況があるのでしょうか

国際医療福祉大学・和田耕治教授:
医療機関、特に東京を中心とした大都市でのベッドがかなり足りなくなってきているということもありますし、さらには今全国への広がりを見せています。特に医療機関での院内感染で多くの患者さんが出ているということには、非常に大きな危機感を感じています

東京都が感染者のために用意している病床数を見ると、700床のうち531床が使用されていて、残りは169床(2日判明分を除く)となっている。都は急増する患者に対応するため、4000床の確保を目指しているという。

市民の不安や混乱は日増しに膨らんでいるが、今すぐ緊急事態宣言を発令すべきなのか。
街の人に現状や思いなどを聞いてみると...。

30代:
こうすれば大丈夫ですよっていうのが明確になれば。今トンネルの中にいるような感じなので...少し光が見えれば

10代:
あんまり危機感を持ってないかもしれない

50代:
自粛っていうよりもやっぱり、買い物とかは普通に出なきゃいけないので...

60代:
遊びに行きたいのが行けなくなっちゃってますよね。それが寂しい

40代:
ちょっときついですね。家の中に閉じこもっているのは(子供の)けんかが続いたりして、つらいので大変。できる限りは自粛するんですけど、ストレスがたまるので、限界が来ない程度に

緊急事態宣言で“医療崩壊”は防げるのか

加藤綾子キャスター:
和田先生は緊急事態宣言を出すべきだと思いますか

国際医療福祉大学・和田耕治教授:
はい。緊急事態宣言を出すことに何を期待しているかというと、人と人との交わりのような「社会的な距離戦略」をしっかりとやることが大事なんです。そういった意味で自粛などをしていただくわけですが。本当の流行の時には社会活動を下げなきゃいけないんですね。でもその準備が私たちや企業ができているかというと、その辺が心配なんです。緊急事態宣言はいずれ出るんでしょうけど、そこの準備も非常に重要だと私は考えています

加藤綾子キャスター:
緊急事態宣言が出されると、医療崩壊は防げるんですか

国際医療福祉大学・和田耕治教授:
医療崩壊をさせないために大事なことは、感染患者を減らすことなんです。感染患者を減らすのはどうしたらできるかというと、家にいていただくのが大事になります

加藤綾子キャスター:
緊急事態宣言が出されていない中でも、自粛要請だったりとかはある。そこから大幅に何かできることが変わるということではないですよね

国際医療福祉大学・和田耕治教授:
もっと減らさなければいけないということが言えます

フジテレビ・風間晋解説委員:
緊急事態宣言はそれだけで、世の中が一夜でがらっと変わるわけじゃないと思うんですよね。出しても医療崩壊を防げるという保証はないわけです。一方で出さないと防げないとも思わない。
要はこの1カ月でやるべきことをきちんとやってこなかった、市民の行動もそうなんだけれどもでも、政治と行政の行動を変えなければいけないというのが本質じゃないでしょうか

政府は宣言をためらっている?

ジャーナリスト・柳澤秀夫氏:
感染の拡大を止めるためにはとにかく人の動きを抑えるしかない。例えば、緊急事態宣言が出されたときに何が変わるかといえば、これまでの要請ベースだったものが指示とかあるいは命令とか強制とか、この部分の変化だけでしょうね。基本的に外出の自粛っていうのは要請ベースでしかないんですよ。緊急事態宣言を出しても出さなくても、われわれ一人ひとりがやることについて言うとそんなに違いはないんですよ。ただ法律に基づいて出すことになれば、いわば法律のお墨付きが出たということでなんとなく“箔”がついたんですかね。緊張感をこれまで以上に持ってくださいというメッセージ性は持てると思う

国際医療福祉大学・和田耕治教授:
医療崩壊に関しては医療職の感染というのも出ていますし、海外でも事例がありますけど医療職が感染して亡くなるような事態がもし今後出てくると、私たちも非常に怖い思いをしながら診察をしておりますので。気持ちの支えとか安全面の保障、防護具がないなどいろんな課題がありますので、一体でみんなで支えていかなければいけないと考えています

加藤綾子キャスター:
人工呼吸器を増産するにしても、人手が必要になってくる。ここが大きな課題ですよね

フジテレビ・風間晋解説委員:
そこも緊急事態宣言をやったら変わるかというと、全然そうじゃなく出さなくてもできること。なぜ政府が緊急事態宣言に踏み切らないかというと、社会的・経済的な打撃っていうのをできるだけ低くしたいっていうのがあるんですけれども、医療の問題だけじゃないんだっていうところで何かためらっているところはありますよね


(「Live News it!」4月2日放送分より)