福岡で桜開花観測も… 公園に“宴会自粛”の呼び掛け

日本人に春の到来を感じさせてくれる「桜」。3月21日、九州のトップを切り、福岡でも開花が観測された。

例年であれば、これからの時期、福岡県内の桜の名所は、宴会しながらの花見でにぎわうはずだが…。

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テレビ西日本・鑓水航記者:
花見スポットとして毎年にぎわう公園ですが、設置された看板には、“宴会自粛”の文字が記されています

2600本の桜の木がある北九州市内の公園。職員が園内をまわり、花見の際の宴会自粛を呼びかける看板を取り付けた。

福岡県営中央公園 巡回指導員・西本剛さん:
自粛するということも、非常に大切なこと。ウイルスの感染防止に取り組んでいるので、皆さんにぜひともご協力お願いしたい

花見の宴会自粛 店への注文量が通常の3分の1ほどに

感染拡大を防ぐための措置だが、花見の宴会自粛は、飲食業界にとって死活問題ともなっている。

福岡市にある弁当店。3月から4月にかけては、花見や新卒採用のイベントなど1年の中でも1、2を争う「稼ぎ時」だが、2020年はまるで様相が違う。

マンジャ・永吉真策さん:
2月の末に、どんどんキャンセルが毎日のように増えまして

この弁当店の売り上げの大半は団体客からのものだが、新型ウイルスの影響で予約を受けていた弁当のほとんどがキャンセルになった。

マンジャ・永吉真策さん:
肉や魚の仕込みのストックスペースですが、注文量が激減して、通常の3分の1くらいのストックに

感染拡大前は、1日約1000食作っていた弁当は、今では100食ほどにまで減り、3月初めからの2週間で約1000万円もの損失が出たという。

こうした状況に負けてはいられないと、店では、思い切った値段設定で勝負に出ている。それは、500円のワンコイン弁当。通常は1000円ほどする内容の弁当を、地元企業や臨時休校で給食が出ない小中学校の職員などに期間限定で販売している。

さらに店では、自宅で花見に行った気分を味わってほしいと、鮮やかな彩りを意識した春限定の花見弁当の販売も始めた。

マンジャ・永吉真策さん:
なかなか団体で花見というのは難しいかもしれないんですが、せめて自宅で花見気分を味わって、春の季節を感じていただければと思う

「諦めるのではなく、自宅で楽しむお花見を」

そして、宴会自粛が呼びかけられる中、桜を楽しみたいという人が訪れている店がある。
福岡市中央区の生花店「フラワーショップ 野の花」では、2月下旬から1束500円前後の早咲きの桜の売れ行きが好調。

また、卒業式の中止などで需要が減っている花と組み合わせてアレンジした1000円ほどのミニブーケの売れ行きも伸びているという。

来店した子ども:
かわいいと思います

子どもの母親:
外出しにくいかなというのがあるので、せめて自宅に。変わりますね、部屋の雰囲気と気持ちと

フラワーショップ 野の花・石橋真由美さん:
なかなか外でみんなで集まるということはできないけれど、お花見を諦めるのではなくて、自宅での時間を楽しむお花見をしてもらえたらと思います

さらに、2020年はこんな花見も登場している。

桜が咲いているのは、パソコン画面の中。気象情報会社のウェザーニューズは、自宅で花見を楽しめるようにと、バーチャルで花見ができる動画を無料で公開している。

京都の嵐山や青森の弘前公園など、全国50以上の桜の名所を360度見渡せ、まるでその場所にいる感覚を味わうことができる。

桜のシーズンを直撃している新型ウイルス。
例年と同じ花見は望めないものの、ちょっとした工夫で春を感じてみてはいかがだろうか?

テレビ西日本
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