打つ手なし…養殖できないサンマやスルメイカの不漁

東日本大震災から9年。復興してきたかに見えた岩手県沿岸の水産業だが、今 かつてない不漁に多くの関係者が頭を悩ませている。

復興の原動力となってきたサケやサンマは5年ほど前から不漁が続いているが、2019年度は特に深刻な不漁となっている。
サケは前年度から8割減、サンマは7割減となった。

養殖で不漁をカバーできる可能性があるサケと違い、サンマやスルメイカは打つ手がない状況に追い込まれている。

本州一の水揚げを誇っていたサンマは、2019年度は震災前の18%ほどまで落ち込んでいる。
同じく、これまでは多くの水揚げがあったスルメイカも年々減少し、震災前の14%となっている。(岩手県水産技術センター水産情報配信システム調べ)

水産加工会社も苦しい状況…各社が必死の努力

原材料の不足と高騰に、水産加工会社も頭を痛めている。

森下水産・森下幹生社長:
特にサンマは近年にないというか、歴史にない大不漁

大船渡市の森下水産は、サンマやイカ、サバの加工品を作ってきた水産加工会社。
震災で本社工場、第二工場、冷蔵庫全てが被災したが、その年にいち早く再開させ、順調に業績を回復させてきた。

ところが、4~5年前から不漁が続き、苦しい状況が続いている。

森下水産・森下幹生社長:
見通し、事業計画が立てられないということになるので、やはり違う魚種への転換を早急に考えなければ厳しい

そこで森下社長は、2020年から県内で水揚げが好調な魚種・イワシを有効に活用したいと考え、フライの製造に着手した。

森下水産・森下幹生社長:
原料として付加価値をつけて売るのを、われわれとしたら、ぜひやり遂げなければならない大きな課題。加工原料にまわすサンマもイカもなくなってしまったので、止まってしまったラインを使って、イワシフライ製造に今取り組んでいる。まだまだ販路は確立していない。これから

販路が課題の一つだが、地元のスーパー「マイヤ」と協力して、新たな商品のPRに努めている。
マイヤでは、2月に全店21店舗で販売し、6,000枚余りの売り上げがあったという。

マイヤ総菜バイヤー・紺野寿満さん:
もっともっと地元のスーパーとして、大船渡産・大船渡で揚がった旬の魚を、みなさんに、食卓の場に届けられればいいと思います

資源回復の見通しが立たない中、水産業界では、それぞれの立場で必死の努力が続いている。

(岩手めんこいテレビ)

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