街で次々名前が挙がる店…目玉は大きな「サイコロトースト」

今や全国的にも知名度がある東海地方の「モーニング」。どこも豪華だが、中でも愛知県一宮市のモーニングは群を抜いている。果たして、なぜ豪華になったのかを調べた。

まずは一宮駅前で地元の方に“豪華なモーニングのお店”を聞いてみた。

女性:
クローチェ

男性:
クローチェとか結構有名ですね

別の女性:
クローチェ!クローチェ!クローチェはすごい、すごい!

「クローチェ」というお店の名前が次々と挙がった。

また別の女性:
有名ですよ。結構女性に人気で、それこそ本当に1斤のパンの半分くらいかな

相当大きなパンがついてくるとのこと。どんなものなのか、実際にそのお店へ。

広い駐車場には車がびっしり!待っているお客さんも。店内へ入ると、広い店内はほぼ満席。

皆さんモーニングを楽しんでいるようで、同じく注文してみた。頼んだのはアイスコーヒー(450円)だけだが、そこに大きな塊のパンとスープとサラダ。これはお得感がある。

街の女性が言っていた大きなパンというのは、“サイコロトースト”のこと。それにスープとサラダも付いていて、評判になるのも納得だ。

実際にサイコロトーストをいただくと、やわらかくてモチモチ。量があり、食べ応えがある。これだけでメニューになりそうなのに、サービスで付いてくるのが「一宮」だ。

しかし何故ここまで豪華にしたのか、オーナーに聞いた。

店主 伊藤直記さん:
美味しいものを作って喜んでもらいたいのが一番。そのままだと美味しさが閉じ込められているので、1個を割って食べる贅沢感がいいよね、みたいな。たまたまボリュームが多かっただけで、基本的には美味しいものを、と考えていますね

とはいえ、採算は合うのだろうか。

店主 伊藤直記さん:
採算度外視でやっている部分はあります。朝の5時半には来て、夜の7時とか8時とかまでやるので、自分が作るから原価を抑えられているというのは間違いなくあります

自分が朝から晩まで働くことでコストを抑えていた。お客さんのためとはいえ、頭が下がる。

さらに一宮のモーニングをリサーチしようと、オーナーの知る豪華なモーニングを出すお店を聞いた。

店主 伊藤直記さん:
メールネージュさんとか。メールネージュさんは昔の「モー1グランプリ」で金賞を2回とっているので、「The一宮モーニング」の代表ですね

モーニングサービスNo.1を決める「モー1」で2年連続グランプリ

一宮のモーニングを代表する有名店ということで、今度はその「メールネージュ」を訪れると、こちらも駐車場が埋まっていた。

白を基調としたおしゃれな店内には、大勢の女性客が。

人気は「フレンチトーストのモーニング」。過去に行われた一宮のモーニングサービスを競い合うイベント、「モー1グランプリ」で2年連続グランプリを受賞。まさしく一宮を代表するお店だ。

そんな中、一風変わったモーニングもあった。

店主 遠藤由香里さん:
テイクアウトをできるように考えました。持って帰って、どこかでモーニングサービスを食べるっていう不思議な感覚ですけど

そのテイクアウトモーニングは、ドリンクに、自慢のワッフル生地に特製きんぴらごぼうを挟んだワッフルバーガーが付く。お客さんの事を考えてテイクアウトにしたとのこと。

店主 遠藤由香里さん:
土日はお客様にお待ちいただく場合が多いので、お忙しいから次の事の間に食べられるよう持って行ってもらえるサービスができたらいいなということを考えて。皆さんが少しでもお得に楽しくモーニングサービスが食べられるようにと考えたのがテイクアウトです

ついにモーニングサービスをテイクアウトする時代に。想像以上に一宮モーニングは進化していた。

店主 遠藤由香里さん:
小さい頃からモーニングサービスってこういうものだと思って育っているんですよね。一宮といえばモーニングが文化。「おもてなしの文化」なので、楽しくみなさんが喜んでいただけるようにということですね

モーニングは「一宮の文化」。だからその文化を絶やさぬように手間を惜しまないのだという。

朝昼晩も関係ない…1日中モーニング!原動力は「喫茶店を次の世代に」

さらに一宮市を取材していると、気になるお店を見つけた。「1日中モーニングサービス」と書かれた看板を発見。

すでに午後だったがモーニングサービスを注文できるのだろうか、訪れたのは「ありすかふぇ」。

ーー1日中モーニングは今の時間(午後)も?

ありすかふぇ マスター坂本龍基さん:

そうです、1日中同じサービスを受けられますよって。うちはずっと閉店まで

それだけではない。メニューを見ると「一日中モーニングメニュー」の数がすごいことに。

その数、実に20種類!おにぎりにサンドイッチ、トーストだけでも9種類。しかも、どれを頼んでも、味噌汁が付いてくる。

常連客は、このモーニングをフル活用していた。

常連客:
このおにぎりは夜にまわすの。一人暮らしだで

別の常連客:
これはお持ち帰り。これはお父さんのおみやげ

サービスで付いたモーニングを家に持って帰るなど、生活の一部として欠かせない存在となっていた。

さらにすごいサービスが、食べきれない程のボリュームの「ありすセット(650円)」。もはやモーニングの域を超えている。

ありすかふぇ マスター坂本龍基さん:
これは(種類が多くて)「迷うよ」っていうお客さんに。好きな物を3つ選んでもらって、若い方はモーニングをおかわりしたいという要望があったので、1皿で足りるようにしようと。お昼も食べられる方もたくさんいらっしゃいます

お客さんの要望に応えようとしたら、こんなに豪華になってしまったとのこと。何故ここまでするのだろうか?

ありすかふぇ マスター坂本龍基さん:
昔ながらの喫茶店は減っていっているので、幅広い世代に、次に繋げたいなと思って、おじいちゃんが孫を連れてきてもらったり、若い人にも来てもらえるように、どうすればみんなに喜んでもらえるかな、という想いだけでやっています

一宮のモーニング文化を次世代に繋いでいきたい…そんな想いがあった。

一宮のモーニングが豪華になった理由…「繊維の町で新しい名物を」

もう少し「なぜ豪華になったのか?」をはっきりさせたい…と向かったのが一宮商工会議所。一宮のモーニングを全国にPRする活動をしている。

その活動に初期から携わっている森さんに、なぜ一宮モーニングがここまで豪華になったかを聞いてみた。

一宮モーニング推進委員会 森副委員長:
12年前に一宮市の知名度をもっと上げて全国にPRしようと、一生懸命いろんな企画を考えていました。その時、モーニングサービスという一宮独自のたぐいまれな食文化ということに改めて気がつきました

高度経済成長期、一宮は“繊維の町”として栄えた。

そして時代は平成へ。商工会議所は「繊維以外でも一宮の名前を全国に広められないか」と熟考。お土産で名を広めようとも考えたが、一宮市で最も文化として根付いているのが「モーニングサービス」だと結論付けた。

一宮モーニング推進委員会 森副委員長:
これを全国に売り出そうということで、「一宮モーニング」と名前を付けて全国にPRしようと

2007年、商工会議所の青年部が「一宮モーニング博覧会」というイベントを開いて盛り上げを図ろうとすると、その2年後、市全体でも後押ししようと「一宮モーニング協議会」を設立。次第に県外からも注目を集めるようになった。

すると、各喫茶店もサービスの向上に努め、気付けば豪華になっていったのだ。

一宮モーニング推進委員会 森副委員長:
皆さんがそれぞれの個性・こだわりを持って、切磋琢磨してバリエーションが非常に多くなりました。これが傍からみると、“豪華”ということに繋がっているのかなと思います

市を挙げての「モーニングを名物に」という動きに、各喫茶店のモーニングに対するプライドが呼応し、現在のような豪華なサービスへと成長を遂げていたのだった。

(東海テレビ)

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