池袋暴走事故で、検察側は、車を運転していた飯塚幸三被告に禁錮7年を求刑した。

タクシーの後部座席で帽子をかぶり、終始うつむいて裁判所へと向かった飯塚幸三被告(90)。

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一昨年の4月、東京・池袋で飯塚被告が運転する車が暴走し、松永真菜さん(当時31)と娘の莉子ちゃん(当時3)が死亡し、9人がけがをした事故の裁判が7月15日午後1時半から行われた。

真菜さんの父親が証言台に

裁判は、遺族らが心情を語る意見陳述から始まった。最初に証言台に立ったのは真菜さんの父、上原義教さんだった。

真菜さんの父・上原義教さん:
莉子は傷が深すぎていたので遺体を見られませんでした。加害者には刑務所に入ってほしい。どんな刑事罰でも二人は戻ってきませんが、せめて反省はしてほしい。それが今の私の願いです

意見陳述で真菜さんのことが読み上げられると、真菜さんの夫、拓也さんは眉間にしわを寄せ、必死で涙をこらえていた。

車椅子に座り、うつむきながら聞いていた旧通産省工業技術院元院長の飯塚幸三被告。

過失運転致死傷の罪に問われているが、これまでの裁判で「車に何らかの異常があり暴走した」と話し、無罪を主張している。

「形式上謝罪したということで絶対に減刑をしないで…」

そして被害者参加制度を利用し、公判に臨んできた拓也さんが遺族の最後に意見陳述をした。

松永拓也さん:
私は真菜の夫であり、莉子の父である拓也です。事故で一人残されました。真菜の顔は傷だらけで、莉子の顔は「見ないほうがいい」と看護師に言われました。顔を覆っていたガーゼが血で染まっていました。夢を見ました。真菜が「一人にしてしまってごめんなさい」「莉子はこの世に『顔を置いていきたくない』と言って泣くので困っている」と言われて起きました。過失がないと言いながら、謝罪する意味がわかりません。形式上謝罪したということで、絶対に減刑をしないでください。被告人には重い実刑判決を望みます

今日の論告で検察側は、飯塚被告に禁錮7年を求刑した。過失が問われた交通事故としては、かなり厳しい求刑となる。

論告の中で検察は、飯塚被告について「運転技術を過信し、個人の利便性を求めて事故を起こした」「心からの反省を拒絶し、自分の主張にのみ固執している」と指摘した。

過失事故としては最も重い求刑の部類

飯塚被告への禁固7年の求刑について、フジテレビの平松秀敏社会部デスクは

フジテレビ・平松秀敏社会部デスク:
かなり厳しい求刑だと思います。同じような過失を問われた事故としては、最も重い求刑の部類に入ります。それはそれだけ検察側としては今回の事故の重大性を重く見ているわけですし、飯塚耕三被告自身も罪を認めていない。しかも遺族感情が非常に厳しい。それらを全て加味して、これぐらい厳しい求刑で臨んだのだろうと思います

飯塚被告は最後の意見陳述でこう述べた。

飯塚幸三被告:
「アクセルとブレーキを踏み間違えた記憶がまったくない」と裁判を通じてそのような話をしましたが、今もそう思っています

裁判での意見陳述を終え、会見に臨んだ松永さんはこう語った。

松永拓也さん:
命が戻るわけではないですけれども、将来この先、生きていく私たちにとって、(裁判を)やってよかったなと思える日が来るのではないかなと今思っています

(「イット!」7月15日放送より)