休日は満席 “寺カフェ”
お墓参りでお寺へ行く方もいると思うが、全国的に減少傾向にある。北海道も例外ではなく、寺に人を呼ぶためにあの手この手で奮闘するお坊さん…
今のお寺業界を探る。
北海道北広島市の郊外・富ケ岡。21年前に建てられた曹洞宗・達磨寺。 2700坪ある境内にはたくさんの仏像にお賽銭ポスト、うそ供養の閻魔堂などがあり、一般の人も自由に見学・お参りができる。
境内の一番奥には寺カフェ「伽羅(きゃら)の森」が。休日は満席になるほど人気で、最近では男性客やファミリー層が訪れる事も。
常連客:
カフェまで歩いてくるまでの間も、お地蔵さんがあったり、心が落ち着く
初めて来店した客:
日常から離れて、こういうところで過ごすのは、たまには必要だなって。すごく親しみやすいお寺ですよね。普段、お寺に行こうってはなかなか…
人気メニューは、豚肉のコクと玉ねぎの甘味がたっぷり感じられるカフェオリジナルのカレーセット。
店長の小川さんは縁があって達磨寺の住職に誘われ、2018年に伽羅の森を始めることにした。
小川恵理香さん:
最初、お寺って言われたから、“ゲゲゲの鬼太郎”みたいなイメージだったんですけど、全然そうじゃなくて。まずここの場所を見せてもらったら、ものすごい感じが良かったんですよ
小川さんは静かな環境を味わってもらうため、あえて客席は少なく、ゆったりした内装にこだわった。
小川恵理香さん:
この雰囲気を壊さない人に来てもらえるとうれしいです。ここで大声を張り上げてディスカッションをするような感じで使われるよりは、おひとりでも自由に好きにこの空間を楽しんでくれたらいいなと思ってます
“いつでも誰でも来てほしい” 住職が描く本堂の将来像
達磨寺の本堂に2000以上あるダルマの半分は、一般の人から寄贈されたものだ。
そんな達磨寺の境内は現在工事中。至る所に大きな石や土砂が積まれている。
今後の境内の構想を達磨寺の伊藤住職に伺うと…
達磨寺 伊藤朋山住職:
ここにいろんな草木を植えて、子どもたちが水に入って楽しめるような小川を…
境内の湧き水で小川を作る予定という住職。実はお寺を建てた時から将来を見据えの、多くの人が自由に入ることのできる観光寺の設計図まで描いていた。
ペット供養、弁財天、北海道日本ハムファイターズが建設予定のボールパークにちなんだスポーツの祈願など、住職の壮大な構想の裏にはこんな思いも。
達磨寺 伊藤朋山住職:
人口が少なくなるということは、お寺を支える人がいなくなる、すると経営できなくなる。個人個人がお寺に立ち寄ってくれることが一番大事なこと。いつでも誰でも来てお寺で遊んでいく、そういうお寺作りをしたい
子どもたちの公園は、2020年秋完成予定だ。
だれでも参加できる「寺嫁寺ヨガ」って!?
かわって、札幌市中央区の東本願寺円山支院。
実はここで、女性を中心に人気を集めているのが「寺嫁寺ヨガ」というヨガ教室だ。
講師を務めるのはヨガインストラクターの資格を持つ、まさに寺嫁の月輪麻里さん。
寺嫁でヨガ講師 月輪麻里さん:
このお寺だけでも去年の4月から「もうお参りはいいです」とか、毎月1回お参りさせていただいている家でも「もう今月からいいです」とか、(檀家さんが)減っていっていると感じます
年々減っていく檀家さん。寺嫁として何かできないか…
そう思った月輪さんは、宗派関係なく誰でも参加できるヨガ教室を4年前にスタートした。
すると檀家さんはもちろん、子ども連れのママさん、夜の教室には仕事が終わってから駆け付ける女性が年々増えているという。
初めて参加した女性:
シーンとした空気の中でヨガを楽しむというのは、楽しそうだなって参加しました
寺嫁でヨガ講師 月輪麻里さん:
やっぱり私も嫁に来るまで、お寺に足を踏み入れることは無かったですし、神社とお寺の違いも分からなった。和の心だけでも、凛とした空気だけでも味わってもらったり、本堂に来て手を合わせてみる、目を閉じるだけでも、本堂に来て手を合わせてみる、目を閉じるだけでもいいし、そういうきっかけになればいい
日本の伝統食をベースにした精進料理を提供
滝川市江部乙町にある、照光寺に併設して1年半前にオープンした寺カフェ「ペコの寺」。日本の伝統食をベースに、精進料理を提供している。
「ペコの寺」一番人気は、「精進プレート」。おかずは日替わりで、この日はカボチャとワカメの和え物、カブの大豆和え、キャベツのコロッケなど、玄米と黒米と一緒に。ボリュームもたっぷりだ。
常連の外国人客:
素晴らしかったです。いつも通り。滝川の町の中で一番好きな場所です
オーナーの木曽さんは、隣の照光寺の住職でもある兄の誘いで、滝川市内のカフェからペコの寺へ移ることに。
木曽宇法さん:
日本の伝統の調味料みたいなもので味を付けるので、割とやってみると簡単というか、若い人たちにもこの精進料理などに興味を持ってもらえたらうれしい
照光寺は前の住職が亡くなり、空き寺になっていた。
しかし、別のお寺の住職でもあった木曽さんが、檀家さんもすでに離れ始めていた照光寺の住職を兼務することになったのだ。
木曽旬映住職:
お檀家さんの皆さんに、お檀家さん以外の方でも、お気軽にコーヒー一杯を飲みに来てもらえないかなと。それによってお寺を維持していこうと
住職は今後、2000坪ある寺の敷地に子どもが遊べる遊具やドッグランの建設も考えています。檀家さんに負担をかけず自分たちで費用を賄う、果たして住職の計画は?
木曽旬映住職:
今後クラウドファンディングを用いて、お寺のことを知ってもらうのにも繋がりますし、設備なども作っていきたいという構想はあります
(北海道文化放送)