「3年生存率」「5年生存率」ともに上昇
がんと診断された患者の3年後の生存率と5年後の生存率が、前回調査から上昇した事を、8日、国立がん研究センターが発表した。
今回が2回目の発表という「3年後の生存率」は、2012年にがんと診断された人を対象に調べたもの。
最も生存率が高かったのは「前立腺がん」で99.2%、次に「乳がん」95.2%。
その一方で最も低かったのは「膵臓がん」の16.9%。
すべてのがんの「3年後の生存率」は72.1%で、前回の71.3%から0.8ポイント上昇した。
また、2009年と2010年のデータを合算した「5年後の生存率」を見てみると「前立腺がん」は98.6%で「乳がん」は92.5%。
最も低い「膵臓がん」では9.6%だった。
すべてのがんの「5年後の生存率」は66.1%で前回からは0.3ポイント上昇、2015年に発表されたデータと比較すると1.8ポイント上昇した。
この結果について、街の人に意見を聞いてみると・・・
80代女性:
やはり医学で色々研究されて、治療法が変わってきたというのもある。
60代女性:
かなり生存できる。知り合いにもたくさんいますよ。
「結論づけはまだできない」
データを発表した国立がん研究センターの東医師に話を聞いた。
国立がん研究センター 東尚弘がん登録センター長:
生存率が少し上がったからといって、実際に生存率が上がっていると結論づけるのはまだできないと思います。
今の段階では何よりも正確な調査を継続していくことが大事だと思います。
背景に「オーダーメイド治療」や機器の進歩
国立がん研究センターの医師は慎重な見方をしているが、今回、生存率の数字が上昇した事についてどんな要因が考えられるか、医療ジャーナリストの意見を聞いた。
医療ジャーナリスト 森まどか氏:
生存率が高くなった要因として一番大きいのは、薬が進歩して個々に合った治療、オーダーメイドのような治療ができる薬が研究開発され、世に出てきたという事が非常に大きいと思います。
もう一つは放射線の治療器の進歩。
動いている臓器を追いかけながら放射線をしっかりとがんにだけ当てることができるようになったことも要因のひとつだと思います。
また、ロボット医療の導入も生存率上昇のひとつの要因との見方もある。
執刀医が患者の体内に入れたカメラから送られた映像を見ながらハンドルを操作する、そしてロボットアームが人間の指では不可能な動きを、手ぶれも補正して代わりに手術を行うというものだ。
検診受信者の増加も奏功
もう一つ、がんと診断された人の生存率が上昇した理由について考えられる要因が、検診だ。
厚生労働省がまとめた40歳から69歳までのがん検診受診者の割合を見ると、胃がん・肺がん・大腸がんともに受診者が増加している。(2007年と2016年の比較)
医療ジャーナリスト森まどか氏:
早期にがんが見つかる人が増えれば、生存率は上がってくると思う。
がんになっても治せる可能性がそれだけ高いのであれば、がん検診に行かないのはもったいないと思います。
がん治療の新薬にはまだ課題も
生田竜聖アナウンサー:
がん生存率の上昇についてはまだ課題もあるそうです。
がん治療の新薬にはまだ保険適用外のものがあり、がん患者の金銭的負担となっているということです。
(「めざましテレビ」8月9日放送分より)