内閣改造から2日後の9月13日午後。自民党の石破茂元幹事長は、今回の改造内閣の顔ぶれについて、初めて記者団に思いを語った。

内閣改造の顔ぶれについて思いを語る石破茂元幹事長(9月13日午後)
内閣改造の顔ぶれについて思いを語る石破茂元幹事長(9月13日午後)
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ついに入閣ゼロに…冷遇を受けやんわり疑問呈した石破氏

石破氏が会長を務める“石破派”には国会議員が19人所属する。派閥発足以来、組閣や内閣改造がある度にメンバーから1人が入閣していたが今回は山下前法相が退任する一方、新たな入閣はなく、初めて閣僚0人となった。昨年の総裁選で善戦したにも関わらず、“冷や飯を食わされてきた”状態がさらに加速した形となった。

退任した山下貴司前法相(右)と後任の河井克行新法相(左)
退任した山下貴司前法相(右)と後任の河井克行新法相(左)

この人事について石破氏は、内閣改造の直後は沈黙を守っていたが、2日後のテレビ出演の後に言及する機会があった。その中では「人事権者は安倍さんだからどうこう言うべき筋合いにない」と言いつつも、次のように疑問を呈した。

石破派は数は少ないがそれぞれの分野で通暁している。私は派内でこの人がこの分野をやったら素晴らしいという人が沢山いると思うがそこが安倍さんと違ったのではないか

言葉は選びながらも、石破派のメンバーが起用されなかったことをやんわり当てこすった形だ。

加計問題はぶり返されるか?萩生田氏の文科大臣就任へのコメント

萩生田文部科学相(9月12日)
萩生田文部科学相(9月12日)

また今回の改造人事で一部から疑問の声が挙がっているのが、萩生田前幹事長代行の文部科学相への起用だ。安倍首相の側近である萩生田氏が加計学園問題で忖度したとの疑惑が出たのは記憶に新しい。その問題が再燃するリスクを抱えながらも、萩生田氏を、加計学園も含めた教育行政を所管する文部科学相の大臣に起用したことについてどう捉えるか記者団が問うと、石破氏は次のように応じた。

どんな場においても全くそういう問題がないという説明を文科大臣がなさるということでしょう。それに全てがかかっている

さらに萩生田氏については、「色んな追及に対してもごまかすことなく逃げることなくきちんと正面から向かう人だと思う」と持ち上げつつ、「なるべく早くこの問題にきちんと国民が得心のいく答えがでないといけない」と強調した。

文科行政に総力をあげて臨むためにも、加計学園問題で国会審議などが停滞してはならず、萩生田氏の丁寧な説明が求められるという認識を示唆した形だ。

小泉進次郎氏は信念ゆらぐことなくやってほしい

停電が長引く千葉県を視察する小泉進次郎環境相(9月16日)
停電が長引く千葉県を視察する小泉進次郎環境相(9月16日)

そして今回の改造の目玉人事はなんといっても小泉進次郎氏の初入閣である。進次郎氏は他の閣僚に比べて断トツに若く経験も豊富とまでは言えず、昨年の総裁選で前回に続き石破氏に投票するなど、安倍首相と距離を置いてきたため本来は“冷や飯メンバー”のはずだが、今回は環境大臣への抜擢を受けた。

これについて石破氏は「環境大臣は極めて難しい役職。被災地の思いを一番知る小泉さんであり、エネルギー政策についても力がある小泉さんだからその信念をゆらぐことなく閣内でやってほしい」とエールを送った。

安倍首相による進次郎氏の起用については様々な要因があげられているが、進次郎氏を石破氏から引き剥がす目的もあったという見方が出ている。今後、石破氏と進次郎氏の関係に変化が生じるかどうかは、将来の政局を左右する1つの要素だ。

石破氏の行く先は

この進次郎氏の処遇や「石破派外し」も含め、安倍首相サイドが石破氏の孤立化を図ろうとするような動きが続く中で、石破氏と石破派がどう存在意義を示していくかは課題だ。

今回の改造について石破派内からは、「0人の方が1人よりも派内の結束は強まるかもしれない」「とにかく楽しく明るくやることが大事」などと入閣ゼロを悲観せず、今までと変わらず現政権と立ち向かい一致団結しようという声が上がっている。「政策で勝負する石破派」という点に意義を見いだし、厳しい状況に屈せず立ち向かう考えだ。

この期待感を維持し、さらに上積みできるか、今後の動向が注目される。

(フジテレビ政治部 自民党担当 森本涼)

森本 涼
森本 涼

フジテレビ 報道局 政治部