北海道で初めて「緊急銃猟」が行われてから1年が経ちました。
2026年はヒグマの出没が減っていますが、緊急銃猟に参加したハンターは今が若い人材を育成するチャンスだと訴えています。
「あそこにクマいました。ここまで移動しましょうか。高い木はクマにとっても乗り越えられない遮蔽物なので利用しましょう」(ヒグマ防除隊の隊長・玉木康雄さん)
若手のハンターを指導しているのは、猟友会札幌支部に所属し「ヒグマ防除隊」の隊長を務める玉木康雄さんです。
玉木さんは2025年、札幌市西区西野で行われた北海道初の緊急銃猟で2頭のクマを駆除しました。
「最大射程距離が前日の倍でしかもクマの姿が見え隠れする難易度の高い状況。撃つ方には結構苦労があった」(玉木さん)
2頭のクマは公園の周辺で出没を繰り返していました。
2025年10月23日、札幌市は市民に緊急の危険があるとして、自治体の判断でハンターが発砲できる緊急銃猟を決定。
しかし…
「緊急銃猟の解除を受けてハンターたちが山から下りていきます」(吉村直人記者)
住民が制限区域に立ち入ったため、緊急銃猟は中断。実施されたのは翌24日でした。
「(中断は)発砲5分前だと思う。住民の方が緊急銃猟のさなかに家から出てきたので緊急銃猟中断ということで失敗した」(玉木さん)
「『不用意な外出については控えてください』とお願いしたつもりだったが、そこを隅々まで理解してもらえるようにアナウンスできるかがポイントだと思う」(札幌市 環境共生課 坂田一人課長)
2025年度、札幌市内で確認されたヒグマの出没は363件。
過去10年で最も多くなりました。
しかし、2026年度は10月25日時点で62件にとどまっています。
前年度に駆除した個体が過去最多の19頭に上ったことが影響しているといいます。
「積み重ねだと思う。去年あれだけの捕獲ができたことが今年の落ち着いた状況につながっている。次世代のハンターを育てていく、神様から与えられたチャンスじゃないか」(玉木さん)
「神様から与えられたチャンス」を生かそうと玉木さんは今、若手の育成に力を入れています。
10月18日、玉木さんは普段シカなどの駆除を担当している「さっぽろボランティア駆除隊」のメンバーを指導しました。
札幌ではここ2、3年で、狩猟免許を取る若者が急増しています。
「普段はサラリーマンとして働いている。出勤前、罠の見回りをしている」(若手ハンター)
「(ハンターには)比較的年齢高めのイメージがあったと思う。ここ数年は若い、これから始めたいという人が増えている」(さっぽろボランティア駆除隊 戸沢郡平隊長)
どこを狙えば確実に捕獲できるのか。玉木さんは模擬銃を使って説明します。
「狩猟として仕留めるなら前腕部の肩甲骨を外した形で心臓を貫く位置を誰もが狙う。でも100mとか50m走ってから息絶える。それが街の真ん中、市街地だったらどうでしょう。その間に他の人を巻き込む確率があれば、100m走らせないだけの精密な射撃が必要」(玉木さん)
市街地で行われる緊急銃猟は、山の中での駆除よりも多くのことが要求されます。
「二股に分かれた木だったらこうやって乗せる人もいる。何でもいいから安定する方法でやる。もしできるなら耳の後ろくらいに脳があるのでそこを狙撃すると一発で倒れる。でも自信ないかなと思ったらバイタル(急所)を狙うのも手」(玉木さん)
「駆除という意味では未経験。自信を持って100%というところには至っていない」
「クマは銃で撃った時のタフさもあるので、安全を確保しながら駆除するのが難しそう」(いずれも若手ハンター)
「緊急銃猟だけでなく夜間銃猟。いろんな高いハードルを超えるにはどうしても時間がかかる。今年のような落ち着いた時期に次の世代をちゃんと育て上げることが10年、20年先の札幌を守っていくことにつながる」(玉木さん)
育てたいのは、コミュニケーションを取りながら正しい判断ができる人材。
将来クマが大量に出没することに備えて、準備が進んでいました。
ハンターの玉木さんは今年のシカの出没に懸念を持っていました。
2026年度、シカが市街地に出没する事でヒグマを寄せつける可能性があるというのです。
例えば、秋に市街地でのシカ出没が増えると、冬に雪が積もったシカの死骸を求め、春に熊が市街地に出る可能性があるというのです。
熊を寄せつけないためには、シカも駆除していかないと負のサイクルになってしまいます。
札幌市は、鹿の死骸などを見つけたら、市に連絡をするよう呼びかけています。
町に来たら、食べ物があると、クマに思わせないことが大切です。
今、人間側のマナーも問われています。
