西九州新幹線の開業で地元悲願の鉄道駅が誕生した佐賀・嬉野市では年々観光客が増加。一方、開業から4年が経ち新幹線効果に限界を感じている観光業者は、魅力的な“まちづくり”が今後の課題と指摘する。
嬉野では“新幹線効果”を実感
4年前の2022年9月23日、西九州新幹線の開業に伴い、嬉野に91年ぶりの鉄道駅「嬉野温泉駅」が誕生した。

嬉野市によると新幹線の開業以降、観光客数は年々増加。宿泊客は去年、コロナ禍前のピークの水準まで回復し、日帰りの観光客は過去最高を更新し続けている。

温泉観光地として知られる嬉野。観光客を相手に店を営む人たちは“新幹線効果”を実感している。

天ぷら ふく田 福田俊介さん:
(交通手段が増えて嬉野に)来やすくなったのは間違いない。(車を運転しないので)お酒を楽しみに来られるようになったと聞くとうれしい

Select Fashion Asahiya 赤澤侑子さん:
海外からの客も増えた気がしますね
91年ぶりの鉄道駅 土地価格も上昇
新幹線開業に伴う“新駅効果”は土地の価格にも反映されている。
嬉野温泉駅が開業した2022年以降、国が毎年公表する地価公示で住宅地・商業地、どちらも価格の上昇が続いているのは、佐賀県西部では嬉野市のみ。

地価高騰が続く福岡都市圏から離れたエリアでは、その堅調さが際立っている。
西九州新幹線開業の効果に“一服感”
一方、西九州新幹線開業による効果については“一服感”を指摘する向きもある。
温泉街で旅館大村屋を営む嬉野温泉観光協会の北川会長は、新幹線に更なる期待を寄せる一方、開業から4年が過ぎた現状を次のように認識している。

嬉野温泉観光協会 北川健太 会長:
新幹線ができたから客がどんどん来るというフェーズはたぶん終わっている。どのような魅力的な宿や滞在体験をつくれるかが大切な時期に入った

2022年9月に開業した西九州新幹線。フル規格で整備されたのは武雄温泉駅から長崎駅までの約66㎞。

九州新幹線長崎ルートの「新鳥栖-武雄温泉」間の整備方式・ルートは決まっておらず、レールは途切れた状態が続いている。
国と佐賀県の合意 市民は複雑な思い
今年7月、国と県は整備方針が決まっていない長崎ルートの新鳥栖-武雄温泉間の整備をめぐり、特定のルートを前提としない環境アセスの実施などについて合意した。

合意では、佐賀県内の区間の整備費用について長崎県も一部を負担することが適当とされたほか、新幹線の整備後も在来線の利便性維持などをJR九州に求めるとされている。

一方、整備方式に合意したわけではなく、フル規格整備のためには別の合意を交わす必要性が明記されている。
長崎ルートの整備をめぐっては嬉野市民から不満や複雑な思いが聞かれた。

「知事の表明が遅すぎる。生きている間に新幹線乗れない。今合意できて進んだとしても」

「(在来線への影響など)不便になる人もいると思うと、どっちがいいとも言えない。話はしていてもなかなか進まないのかな」
「周辺の街にもつなげていく使命」
開業から4年が経ち、沿線にもたらす効果も変わりつつある西九州新幹線。観光協会の北川会長は新幹線駅がある街としての責任を口にする。

嬉野温泉観光協会 北川健太 会長:
嬉野に客がたくさん来ていただいて、さらに嬉野以外の周辺の街にもつなげていくという使命があると思う。新幹線ができたことで(在来線の)便が減らされた街も実際ある中で我々ができるのはそこしかない

「新幹線ができたから観光客が来るという時期は終わっている」と新幹線効果の限界を指摘する声も上がる中、街の魅力づくりや、並行在来線沿線など周辺地域にも新幹線効果を広げていく取り組みが今後の課題となりそうだ。

