ある女性の携帯電話に7日、警察官を名乗る人物から、自身の旧姓を把握したうえで犯罪容疑を告げる不審な電話がかかってきたという。専門家は、相次ぐ企業の個人情報流出を背景に、無差別に狙う“ばらまき型”から特定の個人を狙う“標的型”の特殊詐欺が増えている可能性を指摘する。
専門家「アプリからの漏えいか」
横行する特殊詐欺の新たな傾向なのか。
7日、警察官を名乗る人物からかかってきた電話は…。

特殊詐欺とみられる電話を受けたナガイさん(仮名):
〇〇(旧姓)さんですかというふうに尋ねてきて。私の旧姓ですけど、名前を知っていたのもすごく怖かったですね。

旧姓を含む個人情報を把握した上で、“犯罪容疑がかかっている”などと偽の説明を行う詐欺電話が確認された。
専門家は次のように指摘する。

ITジャーナリスト・三上洋さん:
アプリに旧姓を使っていたということで、アプリからの漏えい(が考えられる)。シルバーウィーク以降、非常に多くの大量のデータ流出が起きています。
最近、各企業で続出している個人情報の流出が、特殊詐欺の手口に及ぼす影響とは…。
海外の番号でなく「旧姓」での確認から
新潟県在住、ナガイさん(仮名)のもとに電話がかかってきたのは、7日のことだった。

ナガイさん(仮名):
登録されていない、知らない携帯電話の番号でした。

特殊詐欺の電話に多い海外の携帯番号ではなかったこともあり、ナガイさんはそのまま電話に出た。
すると相手は最初、名乗ることなく次のように切り出した。

ニセ警察官:
旧姓ムラカミさんの電話で間違いないですか?
相手は現在の姓・ナガイ(仮名)ではなく、結婚前の姓であるムラカミ(仮名)を知っていた。
ナガイさんは当初、安心感すら覚えたという。

ナガイさん(仮名):
(Q.旧姓を言われると「知ってる人?」みたいな…)ありました。きっと登録していないだけで、知っている人とか、ひいきにしているお店とかの方なのかなと。

ところが、相手は警察官を名乗り、ナガイさんに「マネーロンダリングに関わる容疑がかかっている」と説明した。
ここでナガイさんは、通話の録音を開始した。
ニセ警察官:
今お仕事中か何かですか?
ナガイさん(仮名):
いや、違います。
ニセ警察官:
30分から1時間ほどかかる内容となっておるんですけど、お電話の方対応していただけますか?
ナガイさん(仮名):
それはちょっと…30分から1時間はちょっと厳しいです。

ニセ警察官:
難しいですかね。でしたら、明石警察署の方に足を運んでいただくんですよね、本来は。
ナガイさん(仮名):
はい。

新潟県在住のナガイさんに、“きょうか明日、兵庫県の明石警察署まで足を運べるか”と確認した。
この会話の流れにナガイさんは…。
ナガイさん(仮名):
自分の家からは、すぐに行けないような警察署を言ってくる。よくニュースで見る特殊詐欺の定型文だなって。
「どこから情報が漏れているんだろう」
金の振り込み要求を警戒しながら通話を続けると…。

ニセ警察官:
明石警察署までお越しいただけますか?きょう明日中でいいので。
ナガイさん(仮名):
いや、厳しいですね。
ニセ警察官:
厳しいですか。でしたらご都合の良いお時間というのはありますか?
ナガイさん(仮名):
ちょっと今パッとは分からないですね。

ここで警察官を名乗る人物の方が通話を切断した。

特殊詐欺の電話にある程度の知識もあり、被害に遭うことはなかったナガイさんだが、今後こうした詐欺まがいの電話などが増えるのではと、強い不安を覚えているという。
ナガイさん(仮名):
相手の方が私の旧姓ですけど、名前を知っていたのもすごく怖かったですね。どこからこの情報が漏れているんだろうって。
“ばらまき型”から“標的型”へ
こうしたケースは特殊詐欺の手口において主流になりつつあると、ITの専門家は指摘する。

ITジャーナリスト・三上洋さん:
今までの詐欺のメッセージはほとんどが“ばらまき型”でした。それは誰でもいいメール、ショートメールに総当たりの方式で送って、偶然に当たることを待っていた。しかし(このケースは)名指し、つまり“標的型”の詐欺なんですね。
今回のケースもまさにそうです。この方の旧姓を知っていて、そして電話番号を知っていて、電話をかけてきている。
名指しの電話、名指しのメールについては、どこかから情報漏えいが起きてるだろうなということを考えた方がいいかもしれません。
企業の情報漏えいが相次いでいる現状に、街の人からも詐欺被害などを警戒する声が上がっている。
70代:
不安でしょうがないですよね。まして機械に弱いから、そういうのが自分では対処できないし、まんまとひっかかると思うよ私。
20代:
アプリとか登録するのがちょっと怖くなっちゃう。絶対(個人情報が)漏れないって保証できないので。
水谷隼さん「企業側でセキュリティー強化徹底を」
こうした中、元卓球選手で東京オリンピック金メダリストの水谷隼さんは、自身のXに次のように投稿した。

水谷隼さんのXより:
情報漏洩と関連してなのか急にフィッシングメールめっちゃくる…しかも今までなかった名前バレしてる。

水谷さんはイット!の取材に対し、週に2〜3件だったフィッシングメールが1日2〜3件ほどに増えたとした上で、次のように語った。

元卓球選手・水谷隼さん:
信用して個人情報を渡しているので、企業側でセキュリティーの強化は徹底していただきたい。
(「イット!」10月8日放送より)

