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「日本に任せれば安心」が揺らぐ…なぜアジア大会の混乱は防げなかったのか 専門家が指摘する“2つの要因”|FNNプライムオンライン

「日本に任せれば安心」が揺らぐ…なぜアジア大会の混乱は防げなかったのか 専門家が指摘する“2つの要因”

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熱戦と感動に沸いたアジア大会。しかし舞台裏では、国歌の取り違えや選手輸送の混乱などトラブルが相次ぎ、「日本に任せれば安心」とされてきた大会運営への信頼が揺らぎました。

なぜ混乱を防げなかったのか?JOCの元幹部は「自治体のノウハウ不足」や「分散型の宿泊体制」が大きな要因になったと指摘します。

■熱戦の裏で…揺らいだ「日本への信頼」

16日間にわたり、アジアの45の国と地域によって熱戦が繰り広げられたアジア大会が、10月4日に閉幕しました。

組織委員会の大村秀章会長(閉会式):
「われわれが目指した『ここで ひとつに』という理念は、愛知・名古屋大会で現実のものとなりました」

名古屋・栄の久屋大通公園ではメダリストセレブレーションが行われ、選手が直接、観客と触れ合うなど、数々の感動を残しました。

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しかし、熱く盛り上がったステージの一方、閉会式でもあちこちに“空席”が見られ、大会運営のトラブルが相次ぎました。

JOC(日本オリンピック委員会)で、長野オリンピックの招致などに携わった春日良一さんは…。

元JOCの春日さん:
「日本に運営を任せておけば大丈夫だというのは世界の共通理解だった。プライドもありました。そのプライドが、今回ちょっと傷ついたなというのはあります」

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春日さんは今回のアジア大会でも精力的に、会場や選手の宿舎となったコンテナハウスなどを回りました。今回の大会運営については…。

元JOCの春日さん:
「JOC時代に、オリンピックとかアジア競技大会に日本代表選手団の本部員として何回も参加しているわけですけど、大会の都度、絶対に最初は運営で不具合やうまくいかないことが起きる」

■相次ぐトラブルに海外からも批判…ボランティアも“戸惑い”

多くの国の選手らが集まる国際的なスポーツ大会において、運営のトラブルは付き物だとする一方で、あってはならないミスも起きました。

9月18日、男子ホッケー「韓国対バングラデシュ」の試合前に、韓国の国歌が流れるはずが、誤って北朝鮮のものが流れました。

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さらに、岡崎市の試合会場に向かうはずのパキスタン代表と、犬山市の練習会場に向かう韓国代表のバスが入れ違いになり、パキスタン代表は試合開始時間が遅れ、韓国代表は練習を中止する事態が発生しました。

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組織委員会の大参孝彰事務局次長:
「(配車漏れは)ゼロにはならない。とにかくチェックするしかない」

さらに男子サッカーの決勝では、韓国の国旗が掲揚されないトラブルもありました。

運営トラブルについては、海外メディアからも厳しい声が。中国共産党系の新聞記事では『日本は基本的な最低限の体裁を欠いた』と厳しい言葉で批判しています。

韓国メディアの記者は…。

韓国メディアの記者:
「様々な国際大会を経験してきた立場からすると、残念に思う点が多々あります。取材陣の立場からしても、バスが時間通りに来ないケースが多く、案内や説明が少し不足している場面が目立ちます」

現場で対応するボランティアからも、困惑の声が上がっていました。

ボランティア:
「自分たちが何をすべきかに対して指示が的確ではないので、動きようがないという話です。(運営に)質問をしても返ってこないので、現場では対応ができずに止まってしまうことが日々発生しています」

■なぜトラブルは防げなかったか…専門家が指摘する“2つの要因”

大会終了前日の3日、あらゆる面でトラブルが相次いだことに関して、JOCの橋本聖子会長が謝罪しました。

JOCの橋本聖子会長:
「アスリートにもご迷惑をかけたと思っております。どんなにシミュレーションをしていても、少しのトラブルはつきものですから、できる限りアスリートの負担にならない、競技に支障のない形でトラブルを解決させていくスピード感が問われた大会だった」

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一方で、大会組織委員会の会長を務める大村知事は…。

組織委員会の大村秀章会長:
「ご意見・ご指摘などについては真摯に受け止め、ご迷惑をおかけしたアスリートの皆さんには、率直に申し訳なかったと申し上げたいと思います。日々の改善の努力と、OCA、NOCの皆さまのご協力によりまして、競技運営に支障を生じさせることなく対応することができました」

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春日さんは、これまでの国際スポーツ大会とは違った2つの部分が、トラブルの根本的な原因だったと話します。

元JOCの春日さん:
「今回の場合は、愛知県・名古屋市という自治体が中心になって組織委員会を作っていく形になっていたので、彼らには培ったノウハウも経験値もないわけですね。だから県と市が中心の組織委員会でやっていかなきゃいけないというところに、ちょっと無理が出るだろうなと」

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東京オリンピック・パラリンピックで、これまで数多くの国際スポーツ大会の運営に携わってきた大手広告代理店の談合事件や、組織委員会の理事だった元電通の幹部をめぐる汚職事件が発生し、アジア大会では「大手広告代理店に頼らない運営」が求められていたのです。

元JOCの春日さん:
「なぜ広告代理店がうまくできたかというと、1984年(ロス五輪)以降に培ったノウハウもありますし、それにプラスして日本の官公庁に対しての“あうんの呼吸”というか、日本の風土に合った在り方が分かる」

そうした中、アジア大会の組織委員会と運営に関わる約630億円の随意契約を結んだのが、フランスに本社を置く「GLイベンツ」です。

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元JOCの春日さん:
「仮設インフラについていうと、GLイベンツは特化できる企業、イベント会社なわけです。そこの部分は専門的なんですけど、官公庁や国を扱っていくという大きな部分はできない。世界選手権とか小さなイベント、あるいは博覧会をやるオペレーションの代理店みたいな形で使われていた。今回、その上だった大手代理店が抜けたので、自分たちがその役をやらなきゃいけなくなっているから、そこまでの能力はない」

さらに、もう一点は「分散型の宿泊体制」によるものだといいます。

元JOCの春日さん:
「選手村を作らなかった愛知・名古屋というのは、やはり考え直さなければいけない部分で、これさえできていれば、今起こっている問題は逆に吸収されていたと思います」

大会経費の削減のために、選手らは名古屋港の金城ふ頭に停泊するクルーズ船や、ガーデンふ頭に整備されたコンテナハウスなどに分かれて宿泊することになりました。

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元JOCの春日さん:
「(大会運営にとって)経費削減は大きな課題です。しかし、イベントが何のために行われているかという魂の部分は切ってはダメなわけですよ。アジア競技大会やオリンピックにとって、最も大切なのが選手村。仲の悪かった国同士の選手たちが仲良くなって、アジアは一つだと実感できる場所。選手が国境や宗教を乗り越えて集まって、一緒に暮らす空間。これがないのは、何のためにやっているの?と。ただ競技を争って金メダルをとればいいの?成績残せばいいの?違うでしょと。だから、ここの部分だけは絶対に曲げてはいけない」

一方で、トラブルが相次いだ中でも今大会の意義については…。

元JOCの春日さん:
「『大手代理店の力を借りなくてもやった』ということはある。現場にいる人たちはボランティアも含めて必死になって、機械とかオペレーションだけじゃなくて、現地の人たちの気持ちがこの大会を作っていった、これは残ると思うんです。失敗はあったかもしれないけどやり抜きました、というのは誇れるんじゃないかと思うし、そこは残していいことだと思います」

国際的なスポーツ大会の運営の在り方を問われたアジア大会。相次いだトラブルも、未来に向けての貴重なレガシーとなるのでしょうか?

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