秋はクマがエサを求め、活動が活発になる時期です。クマが大量出没した去年、富山県内では10月と11月だけで734件の出没があり、1年の7割近くを占めました。
一方、今年の秋は大量出没する可能性が低いとされていますが、先月、富山県南砺市では登山中の男性がクマに襲われケガをしました。
その人身被害を防ごうと、デジタル技術を活用した新たなクマ対策が進んでいます。
クマの出没が増える秋。
しかし、今年は・・・。
*立山カルデラ砂防博物館 白石俊明学芸員
「冬眠前のツキノワグマが重要な食物であるドングリ類、ブナ、ミズナラ、コナラが、豊作や並作という良い傾向がある。そういった年は平野部での大量出没は回避できる可能性がある」
ツキノワグマのエサとなる「ドングリ類」。
県森林研究所の調査によりますと、今年県内ではブナが「豊作」、ミズナラとコナラが「並作」と実りが良く、クマが大量出没する可能性は低いとされています。
ただ、クマの生態に詳しい立山カルデラ砂防博物館の白石俊明さんは、過去に出没した地域では対策を緩めないでほしいと話します。
*立山カルデラ砂防博物館 白石俊明学芸員
「クマは長生きする生き物で、とても頭がよい、記憶力もある。人里を訪れてカキを食べた、ごみを食べたなど経験をしているクマは今年も出てしまうことは考えられる」
そのクマとの遭遇を防ぐため、デジタル技術を活用した新たな対策が進んでいます。
暗闇を歩くクマ。今年4月、富山県砺波市でAIカメラが撮影しました。
AI搭載のカメラシステム、「Bアラート」。
富山の企業が開発しました。
近年、県内だけでなく、全国の自治体で導入され始めています。
*北電VISION 橋本茂男社長
「このトレイルカメラを使ってAIでクマの情報を確定することによって、メールを受け取った瞬間にクマの出没情報が固まるので、初動対応が早くなった効果がある」
カメラは熱を感知してクマなどの動物を自動で撮影。
その画像をAIがクマと判別すると、自治体の職員などに自動で知らせます。
判別の精度は99.9%です。
*北電VISION 橋本茂男社長
「今実験で台車に乗せたクマを移動させた。トレイルカメラで撮れた画像が、このようにクマが移動した。これを1秒に1枚の静止画に切り出し、AIがクマかどうかを判断する」
2021年に開発されたこのシステム。
今は県内11の市と町が導入していて、県内ではおよそ100台、全国ではおよそ400台設置されています。
*北電VISION 橋本茂男社長
「クマによる人身被害を少しでも減らしたい、秋はクマが出没する時期なので、Bアラートを使ってクマの早期発見、発見した情報を地域住民の方にお伝えすることで、身の安全に努めていただきたい」
一方、空からのクマ対策も。
*ドローンオペレーター
「ドローンの画面。ここから飛び上がって、今20メートルまで上昇した。広角カメラ、ズームカメラ、赤外線カメラ」
飛行やカメラなどの操作をすべて机の上で行うことができる「基地式ドローン」です。
これまではクマが出没した現場の近くでドローンを飛ばしていましたが、このドローンは衛星回線を使用しているため、どこからでも操作することができます。
*フルテック 橘吉宏社長
「東京の事務所から、パソコンでボタン1つ押せば、富山でプログラムされたルートを自動的に飛ぶ」
ドローンには動物などの熱を感知するカメラがついているほか、画面で選択したものを追跡する機能もあります。
*ドローンオペレーター
「これがクマだとする、選択して、自動でカメラが追尾する。対象との距離が40メートル、どんどん数字が増えていく」
さらに、飛行ルートを設定すれば、「パトロール」にも活用できます。
*ドローンオペレーター
「クマの出没が予想される地域に対して、巡回ルートを設定することによって、いつどの場所がクマが出てきたとしてもすぐに対応ができる。現地にいく以上、クマに遭遇する可能性があるので、遠隔から探せる所は安全面でも非常に重要」
県内の自治体ではまだ導入されていませんが、空からのパトロールは、広い範囲を効率的に監視できるだけでなく、クマの捜索にあたる職員や猟友会の安全確保にもつながると期待されています。
*フルテック 橘吉宏社長
「これを置くとクマがいるかどうか定期的に、自動的に決めたルートで見てくれる。非常に省力化と少人化となる。新技術を使って、皆の安全に役立つことができればと思う」
