福岡県議会の金銭授受疑惑で、自民党の現職県議が会見を開き「議長就任前に総額1千万円以上を支払った」と新たに証言した。実名で証言した議員は、今回で3人目となった。
“参加していないゴルフ会”に300万円
「私が議長に就任する前年の2016年4月『蔵内会』という自民党県議団幹部によるゴルフ会、もしくは他会派も交えたゴルフ会である『マスターズの会』、いずれかに参加し、私が全額負担しました。約150万円だったと記憶しております」

俄には信じがたい金額を証言したのは、自民党の現在6期目の樋口明・県議(55・福岡市南区選出)だ。2017年5月から1年間、県議会議長を務めた。

議長に就任するまでの約1年間で、自民党県議団の幹部からの求めに応じ、多額の現金を支払ったとして次々とその内容を明かした。

「同年(2016年)秋に、自民党県議団幹部との食事会が福岡市内の料亭で行われました。この食事代の代金、及びお車代。同年12月にも『マスターズの会』が開催されました」

「私は、この会には参加しておりませんが、この会に係る旅費とゴルフ代として、300万円を負担しました。年が明けた2017年の1月には、県議団幹部との新年会が福岡市内のフランス料理店で開催され…」

自らは不参加のゴルフ会に旅費も含めて300万円。更に食事会やそのお車代も含め、総額は700万円以上に及ぶという。

記者) ゴルフ会に参加していないのに『なぜ?』と言わなかったのか?
樋口県議) 『そういう慣例なんだろう』と私は理解しました。もし、私がそれに応じなければ、恐らく議長就任、その後の私の議連の会長や県連幹事長就任は危ぶまれたんじゃないかなと…。

食事会の“割り勘”は一度もない
一方で、支払いを要求された幹部の実名は、第三者委員会の調査で話すとして、この日は明言しないと宣言。しかし、記者からの質問は続く。

記者) 要求してきた幹部は全て同じ人物か?
樋口県議) 話をしてきた人物ですか?私の記憶の中では1人です。

記者) 既に報じられている方、蔵内、中尾、松尾、原口、松本のどなたからか?
樋口県議) 幹部はそうですから…、幹部です。

記者) 渡した相手は今も議員として籍を置かれている方?
樋口県議) はい。
この問題を巡っては、吉松源昭・県議(58)と江藤秀之・県議(66)が、議長と副議長への就任に際し、合わせて2840万円を蔵内勇夫・前議長をはじめとする幹部5人に支払ったと証言。

5人のうち、既に2人は議員辞職している。

記者) ゴルフ代に関して、蔵内さんは割り勘だったとか、料亭での食事代に関して、中尾さんが割り勘で払ったとか、と自民幹部は主張しているが?
樋口県議) 私が関わってきたものについては、割り勘は一度もありませんでした。基本的に、割り勘文化というのはないと。私が経験した事実がありますので、私のことで言うと『私が正しい』ということははっきりと申し上げられる」

樋口県議は「今回の証言より、更に前の期間も含めると負担額は、総額1千万円にはなる」と証言。しかし、それらの証拠について樋口県議は「そういう証拠は、現時点では見つかっておりません」と応えた。通帳の記録はないのかという質問には「今後、確認はしていこうと思いますけど、現時点では見つかっておりません」と応えた。

告発した県議「えらい金額少ないんだな」
この会見を受け、金銭を渡したことを最初に告発した吉松県議は「特に驚きはありません。驚いたとすると『えらい金額少ないんだな』と。『会派として調査をする』『党として調査をする』とみんな言うが、会派でいくら調査されたって、会派の幹部が請求しているわけですから、正直に言うわけ、言えるわけないんですよ。そういった意味で、私はかねがね『第三者が調査をすることに意味がある』と。その効果がこうやって現れたということは、『大変良かった』と思っています。そして『これからにつながっていく』と期待しています」と語った。

また約800万円を渡したと告発している江藤県議も「これによってまた1つ、ほかの方々も真実を述べて頂けるんではないかな」と話した。

更に松尾統章・県議(53)も、テレビ西日本の電話取材に応じ、役職を得るため、先輩議員の食事代を負担することをやってきたと認めた。
松尾県議) その役職になった人が『今後お願いします』というかたちで、先輩議員、もしくは後輩も呼んだりとかもありますけども、食事で懇親会したりとか、そんなのやってましたけど。

記者) 1回当たりの支払いは、多いときどれぐらい?
松尾県議) 多かったでしょうね。やっぱ昔、多かった月もありましたね。
記者) 100万とか?
松尾県議) そんなのもあったかな。ちょっと覚えてないけど。
名指しされた県議「食事代?確か集金が…」
一方、当時、自民党県議団の会長を務めていた原口剣生・県議(72)に直撃した。
記者) 2017年1月の新年会、福岡市内のフランス料理店で食事会をした?
原口県議) それならメンバーに入っていると思います。
記者) このときの食事代は?
原口県議) あとで後日、確か集金があったんではなかろうかと思います。

記者) 中尾さんから集金?
原口県議) 中尾君か、誰か分かりませんが、多分、中尾君がそういったのは、結構やってくれました。
記者) いくらぐらいだったか?
原口県議) 大体10万円前後ぐらいは、飲み放題とかそういったかたちになるので、ただここで足らない、ここで多かったは、合算的なものになっていくじゃないですか。

また5人組の1人とされる松本国寛・県議(69)は当時、まだ自分は幹部ではなかったとして関与を否定している。
記者) 誰かの命を受けて要求したり負担をお願いしたことは?
松本県議) ありません!私の趣旨と反します。
記者) 趣旨とは?
松本県議) そういうことはいけないでしょう。言われたくもないし、言いたくもない。そういった事実はないです。

蔵内前議長は取材に応じず
議員辞職した蔵内勇夫・前議長(72)は取材に応じていない。

中尾正幸・元県議(61)は「第三者委員会が立ち上がっていますので、調査に誠実に協力し、真実を語る」とコメントしている。

樋口元議長を支える副議長を務めていた国民民主党の守谷正人・県議(61)は「私に関しては、そういう金銭に関して要求等はございませんでした。会食等同席したことはございますけれども、基本的には会費制ということで相応分をお支払いさせて頂いておりました」と今回の報道を見て驚いたと話す。

現職県議による実名での告発がこれで3人目となり、金銭授受疑惑は新たな局面に入ったといえる。

第三者委員会の調査でさらなる証言が出てくるのか、県議会の浄化に向けた動きは、県民からの厳しい目に晒されている。
(テレビ西日本)

