8年前、2人が殺害された奥田交番襲撃事件で、強盗殺人などの罪に問われた男の、やり直しの裁判が来週から始まります。
裁判で黙秘を貫いている男。
事件で亡くなった警備員の妻は、「せめて名前ぐらいは言ってほしい」と話します。
これまでの判決などによりますと、事件は2018年、元自衛官の島津慧大被告(30)が、富山市の奥田交番に押し入り、稲泉健一警部補(当時46)を持っていたナイフで殺害。
その後、警部補から奪った拳銃で、奥田小学校近くで警備をしていた中村信一さん(当時68)を射殺しました。
2021年の1審で検察は、「強盗殺人罪」の成立を訴え、死刑を求刑しましたが、富山地方裁判所は「殺人罪」と「窃盗罪」を適用し、「無期懲役」の判決を言い渡しました。
しかし、控訴審で、名古屋高等裁判所金沢支部は「1審判決は事実誤認で、強盗殺人罪の成立を前提に量刑を判断するべき」として、1審判決を破棄。
審理を富山地裁に差し戻しました。
差し戻し審は来週5日から16回にわたり開かれ、12月8日に判決が言い渡される予定です。
これまでの裁判では一貫して黙秘している島津被告。
事件で亡くなった中村信一さんの妻は「せめて名前ぐらいは言ってほしい。この裁判は彼がやったことに対する裁判なので、法廷で自分の存在を示してほしい」とコメントしています。
来週月曜から始まる裁判について取材を続けている齋藤記者です。
「差し戻し審」のポイントを教えてください。
一言でいえば、「強盗殺人罪」の成立を前提に被告の「量刑」について審理し直す裁判です。
2021年の1審で富山地裁は「殺人罪」と「窃盗罪」を適用しましたが、差し戻し審ではより罪の重い「強盗殺人罪」の成立を前提に被告の量刑を審理し直します。
全16回裁判員裁判で行われ、裁判員は1審とは異なり、新たに選ばれたメンバーです。そのスケジュールがこちらですね。
5日の初公判では検察・弁護側双方が冒頭陳述を行い、今後の裁判でそれぞれが立証する内容を説明します。
その後は証人尋問が5日に渡って予定されていて、11月12日に論告、つまり検察が求刑し、16日に弁護側が最終弁論を行います。判決は12月8日の予定です。
通常の裁判では、島津被告自身から話を聞く、「被告人質問」がありますが、今回は予定されていないのですね。
裁判所と検察、弁護側で協議した結果、差し戻し審では、被告人質問は行われないことになりました。
これまで黙秘を貫いてきた島津被告が、事件の動機などについて何を語るのか注目されましたがスケジュール通りに裁判が進めば、島津被告が「事件について」発言する機会はほとんどないとみられます。
中村信一さんの妻は島津被告に対し、「せめて名前ぐらいは言ってほしい」と話していますが、どうなるのでしょうか。
そして、量刑も注目されますが、判断する上でのポイントはどこになるでしょうか。
争点の一つが島津被告が抱える発達障害・自閉症スペクトラムです。
関係者によりますと、証人尋問では、島津被告の精神鑑定を担当した医師が、1審に続き、再び証人として出廷する予定です。
差し戻し審で成立が前提となっている「強盗殺人罪」は、法定刑が「死刑または無期拘禁刑」と定められていますが、弁護側が自閉症スペクトラムが事件に影響した程度をどこまで立証できるかが、量刑を決めるカギとなりそうです。
初公判は5日来週月曜日です。
