福岡県議会で“匿名アカウント”問題が表沙汰になった林泰輔・県議に対する2つの問責決議案が可決された。その後、林県議は一連の行為について同僚の県議らに謝罪していく考えを表明した。
自民党県議団を離脱した林泰輔県議
10月1日午前10時頃、県議会に姿を見せた林泰輔県議。「のちほど、きちんとお話ししますので、すみません」と報道陣の前を急ぎ足で通り過ぎる。

一方、林県議が所属する自民党県議団の渡辺勝将会長は議会事務局へ向かった。自民党県議団を離れた林県議が、1人で活動していく届けを提出するためだ。

自民党県議団の渡辺勝将会長は記者団からの問いかけに「本人も『自民党県議団にご迷惑をおかけしました』と。『大変申し訳ない』ということと、もちろん『被害に遭われた方にも本当に申し訳ないことをしました』ということを言われていました」と応えた。

『開かれた議会』のはずが…
林県議に対する2つの問責決議案が採決される10月1日の議会。開始前の代表者会議ではこんな一幕がみられた。

▼大島道人・議長 「何か意見はありますか」

▼吉松源昭・県議 「ちょっと質問いいでしょうか。質問、質問です」

▼大島・議長 「代表者会議では、オブザーバーの発言は認めておりません。意見等は会議終了後、議長に申し出て頂くこととなっております」

▼吉松・県議 「意見ではなくて質問、質問です」
▼大島・議長 「ご了承願います」
▼吉松・県議 「いや、分からないところがあるんで、質問、質問なんですが」

▼大島・議長 「それも含めてですね、代表者会議ではオブザーバーの発言は認めておりませんので、発言を中止して下さい」

代表者会議では、少数会派の議員はオブザーバーとして出席はできるものの、発言はできないというルールになっている。

これに対して吉松県議は「大島議長は就任時に『開かれた議会をこれからやっていく』という趣旨の表明をされていたと記憶していますので『開かれた議会』というなかで、質問を受け付けないというのは如何なものかと」と疑問を口にした。

違いは「責任を問う」と猛省を促す」だけ
その吉松県議が提出した問責決議案に被せるようなかたちで出された、自民党主導の問責決議案。

違いといえば、吉松案が「責任を問う」としているのに対し、自民党案では「猛省を促す」となっていることくらい。

果たして、各議員がどう対応するのか、議場では林県議が退席した後、問責決議案の採決となった。

しかし、その前に『県民の声ふくおか』の山本耕一・県議から「2つの問責決議案が並立するという県民の目から見て非常に奇異な状況になっています」と一連の流れに苦言を呈する声が上がった。

厳しい指摘がされた上で、まずは自民党案から採決。吉松県議などが反対したものの、賛成多数で可決された。

続いて吉松県議の案には自民党の一部議員が反対したものの、こちらも賛成多数で可決された。

結局、2つの同じような決議案が共に可決されたことについて、吉松県議は「それ(自民主導案)をわざわざ後から出すというのは、県民には分わかりにくい。山本議員の仰る通りだと思う」と納得のいかない様子だった。

また“裏アカ”を使用して吉松県議を攻撃した林議員に対しては「県民に対しても相当な侮辱や名誉毀損にあたる投稿をしている。だからまずは県民に謝罪するのが先だと思う。私が謝罪を求めるのはその後で、まずは『県民の皆さんにしっかりと謝って来い』と言いたい」と語気を強めた。

用意した文書を読み上げるだけの林県議
当事者の林県議も取材に応じたが…。

「大変、申し訳ございませんでした。『X』という空間に飲まれ、著しく冷静さを欠いた精神状態にあり、自らの弱さを痛感しております。しかしながらどのような状況であれ、私の立場としてとるべき行動ではなかったと、そのことは明白でございます。今後につきましては、地元とも話をするなかで、県議会議員として本来の実務に専念し、また第三者委員会等の調査にも全面的に協力し、県民に信頼される議会を取り戻すための努力を続けて参りたいと考えています」

林県議は、用意した文書を読み上げるだけで、質疑に応じることはなかった。

早期の幕引き図りたい自民党県議団
林県議が所属していた自民党県議団の渡辺会長は「後は、林議員個人の判断だと思いますので、私はこれで一区切り、林先生のこの件については一区切りしたんだ、と思っています」と述べ、早期の幕引きを図りたいとの思いが覗く。

林県議を巡る2つの決議案騒動。分かりにくい決着を迎えたことで、また県民からの不信感が高まることは避けられそうにない。

林県議着に対して2つの問責決議案がそれぞれ可決されたが、問責決議案には議員辞職や法的処罰を強制する効力はない。可決は「議会の場で正式に責任が問われ反省を促した」という意味合いに留まる。

その林県議は自民党県議団に所属していたが、会派から離脱。そして、林県議は報道陣への取材の中で用意した文章を読み上げたが「これまで、できる限り報道対応をしてきたが、私の未熟さが混乱の要因となることは本意ではない。今後は個別の取材にも応じかねる」として、暫くの間、取材を受けないことを強調した。

自分の言葉で混乱を招いたから取材を受けないというのは、議員としての説明責任という意味で疑問が残る。
(テレビ西日本)

