明治安田生命が社会で果たすべき役割とは何か、経営トップと社員が議論した。

テーマは「パーパス」

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生命保険大手の明治安田生命は7日、全国から社員約300人を集めた研修会を開催し、その中でグループディスカッションを実施した。

明治安田生命・永島英器社長:
『明治安田フィロソフィー』というのがあり、われわれの"パーパス"です。

パーパスとは、企業の存在意義を表す言葉で社会での役割を明確にし、自社の存在価値をアピールすることで採用や経営につなげることができる。

このパーパスを社内でいかに浸透させるかをテーマに、社長や役員が社員と議論を交わした。

社員:
ベテラン層がわかる言葉じゃなくて、新人もわかる言葉でちゃんと発信していけば、みんなが納得してやりくりできるんじゃないか。

明治安田生命・永島英器社長:
言葉は大事だよね。難しい言葉なんてね、サステイナビリティと言われてもわからないよね。本社もこれから気をつけます。

社員:
社長は全員参画を実現するためにリーダーとして何ができますか?

明治安田生命・永島英器社長:
一番理想的なのは、1人ひとりの心に灯をともしてあげることが一番幸せだし、僕はそれができているとは思わないが、そういう存在になりたいと思っている。

2017年から、研修会の中でグループディスカッションを続けてきた明治安田生命。

2022年は3年ぶりに対面形式で実施し、社員同士が議論を重ねることで社員1人ひとりの企業風土などへの理解を高めたい考えだ。

参加した社員:
いままで一方的にみた社長の言葉ではなく、関心を高くお持ちだとわかったので、こちらも気を抜けないなということもあるし、それだけ真剣にやる価値があると感じました。

明治安田生命・永島英器社長:
1人ひとりが、自分の人生を真摯誠実に考えて自分の幸せを追求したときに、必ずお客さま満足度や会社の発展につながる。1人ひとりの価値観と会社の価値観を対話させて、"自分ごと化"すること、気づきや議論の機会がとても大事だと思います。

経営層の本気度を伝える試みは有効

三田友梨佳キャスター:
一橋大学ビジネススクール准教授の鈴木智子さんに聞きます。企業の存在意義、何のために企業があるのかを問う「パーパス」の重要性について、どうご覧になりますか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
今、資本主義の再構築を目指す動きが進んでいます。
企業にとって利益の最大化は大切ですが、それと同時に社会への貢献も求められています。

一見、矛盾するような2つの目的を共に実現するために重要な要素の1つが、企業の高い志を表すパーパスなんです。

三田キャスター:
パーパスを掲げて成功している例にはどんな企業がありますか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
アウトドアブランドのパタゴニアは 「地球を救うためにビジネスを営む」というパーパスを掲げています。かつて「新品よりずっといい」というキャンペーンを行い、新製品を買うよりも今あるものを長く大切にして欲しいと訴えました。

さらに、売上げの1%は地球の環境保全に尽くす団体などに寄付をするルールを持っています。こうしたパーパス経営を推し進めたことで職場や売り場などに求心力が生まれました。

例えば、パタゴニアで働くことは環境保全活動に参加することでもあるため、そこに参加することを望む人材が集まってきます。
また、売り場ではサステイナブルな志に共感したファンが、顧客として長く製品を愛してくれます。

三田キャスター:
パーパスをめぐって社長と社員が議論を行うことについてはいかがですか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
企業がパーパスの実現に向けて動くためには社員が自律的に動く必要があります。そのためには社長を始めとする経営層の本気度を伝え、社員一人ひとりをその気にさせる、すなわち彼らの志に火を付けることが大切で、明治安田生命のような活動は有効です。

三田キャスター:
高い志であるパーパスを定めるには、どんなことをポイントにすれば良いのでしょうか?

一橋大学ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
なぜ我々の企業は存在しているのか、どうして存在する必要があるのか、他の企業ではなく自社でなければならない理由とは何か、を考えることがパーパスを決める上で有効になってくると思います。

三田キャスター:
コロナ禍のような外部環境の変化によって企業の活動にも変化が求められる時にも、このパーパスの存在は重要な柱となるのかもしれません。

(「Live News α」6月7日放送分)