地域課題の解決を志す青年が、後継者のいない農業法人の事業を引き継ぎました。
ビジネスで課題解決を図ろうと、事業承継で新たな世界に飛び込んだ青年の狙いを聞きました。

射水市でカイワレや豆苗などの発芽野菜、スプラウトを栽培する庄東ノーサンです。
創業43年の農業法人で、高齢となった創業者には後継者がいませんでした。

この農業法人の事業を引き継いだのが、射水市の古民家を拠点に地域の課題解決に取り組む中谷幸葉さん(31)です。

*農業法人を事業承継した 中谷幸葉さん(31)
「スプラウト農家自体が統合されていく中で攻勢をかけてきて、県内(のスーパー)には滋賀県産や三重県産が多く入っているのが現状。その状況を変えられないか。富山でたった1つのスプラウト農家を継承して(県産を)広げていけないかと思い、今回引き継ぐことを決めた」

中谷さんは、農業とスポーツを掛け合わせて耕作放棄地などの農業解決につなげるアグリスポーツの普及や磯焼けを防ぐためにウニを駆除している氷見高校と農家をつなぎ、規格外野菜を餌にウニを養殖するプロジェクトなどに取り組んできました。

そうした実績を踏まえ、中谷さんは自ら新たな会社組織を立ち上げ、農業法人の事業を引き継いだのです。

*シテン 中谷幸葉代表
「今まで(の農業)は作って売っていれば成り立ったことかもしれないが、実際僕が農家になることを決意して言われたことは、農家は儲からない、大変だ、若い人がやるもんじゃないって言われる中で、これでは、若い農家が増えるはずもないと思った。だからこそ、僕らがかっこいい農家である必要があると思った。しっかりと稼げて、生き生きとやっている。そういう農業を実現させたい」

中谷さんは栽培ノウハウを持つ従業員を再雇用し、半農半Xという形で新たな人材を加えました。
自分の得意分野を生かして副業で関わるスタイルで、本業はユーチューバーや営業、経理職などのフリーランスの30代の6人です。

これまでしていなかった小売店への営業や、SNSで消費者に直接アプローチして販路拡大を目指します。

目標は年間の出荷量を現在の200万パックから1年後には400万パックと倍にすることです。

*シテン 中谷幸葉代表
「1つ1つ違いはないが、愛情がすごい湧くし、大事に育てているのがみなさんに伝わってほしい」

さらに、高岡市の子育てコミュニティとタッグを組み、規格外スプラウトをパウダー状にして商品化する試みを始めています。
パウダー状にすることで特有の苦みも軽減し、子どもたちも食べやすくなるということです。

有効活用できれば、廃棄コストも軽減でき、環境にも優しい農業が実現します。

*シテン 中谷幸葉代表
「生産量を上げ、事業自体を大きくすることはもちろん、ただ野菜を売るだけでなく、スプラウトを通して街づくりをしたいと思う。スプラウトは新芽だが、若い人たちが射水市に増えてきている。そういう人々が活躍する、いきいきとした射水の町になるといいなと思っている」

中谷さんは将来的に売り上げの一部を基金化し、社会課題の解決に取り組む若者たちを支えていきたいと話しています。

富山テレビ
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