(解説:石橋美希アナウンサー)

日本国内では海外から帰国した人の「はしか」への感染が相次いで確認されています。

年間の国内での感染状況をまとめました。(国立感染症研究所より)
5年前の2019年は744人と多かったのですが、2020年は10人、21年と22年は6人と、コロナ禍で人の往来が少なくなったこともあり感染者は減っていました。

しかし、2024年はまだ3カ月ほどしかたっていませんが既に21人となっています。

岩手県内で感染者は出ていませんが、日本全体では近年にない数となっているんです。

(Q:はしかというと、かつてはもっと感染者が多い病気というイメージもありましたが、2023年まではかなり減っている印象ですね)

国内では2000年ごろまで地域的な流行が続いていたとされ、2001年には感染者数が28万人余りに上ったと推計されています。

しかし、2006年度から1歳児と就学を控えた幼児へのワクチンの2回接種が始まりました。
これにより感染者が減り、2015年にはWHO(世界保健機関)から日本では排除が達成されたと認定されています。

(Q:こうしたなかで2024年は感染が増えていて注意が必要ということですが、具体的な症状はどのようなものなのでしょうか?)

はしかは「麻しん」とも呼ばれ「麻しんウイルス」によって発症します。
発症すると38℃前後の熱が2日~4日続くほか、鼻水やせきといった風邪に似たような症状が出ます。
そして口の中に白い斑点が出てきたり、全身に赤い発疹が出たりします。

それによる合併症として、肺炎・中耳炎・脳炎(1000人に1人)を引き起こすおそれがあり、1000人に1人の割合で死亡するとされています。

このはしかは感染力が強いのが特徴です。
一度は排除を達成した日本でも、年代によってはワクチンを接種していない人もいて医師は「免疫があるかどうか確認してほしい」と呼びかけています。

2019年以降、県内では感染例がない「はしか」に、なぜ注意が必要なのでしょうか。

県医師会 感染症担当常任理事で、花巻市・小瀬川皮膚科医院の小瀬川玄院長は、「はしかは感染力が極めて強い」と強調します。

小瀬川皮膚科医院 小瀬川玄院長
「はしかにかかったことがない人がウイルスに感染すると、ほぼ100%発症すると言われていて、非常に感染力が高い病気」

はしかの感染経路には「空気感染」「飛沫感染」「接触感染」の3つがあり、はしかを発症している人と同じ部屋にいるだけで「空気感染」することがあるといわれています。

小瀬川皮膚科医院 小瀬川玄院長
「感染していない集団にはしかの人が入った場合、12~14人の感染を引き起こすと言われている。インフルエンザであれば1~2人、新型コロナウイルスであれば2~3人ほどの感染力と言われている」

はしかの感染力は新型コロナウイルスの4倍、インフルエンザの10倍にも上るのです。

合併症を引き起こし重症化や死に至る場合もある「はしか」で特に注意が必要なことについても聞きました。

小瀬川皮膚科医院 小瀬川玄院長
「妊婦の場合は、発症すると特に重症化しやすいと言われている。流産などの危険もあるので注意が必要」

はしかには特効薬がなく、最も有効な予防法は「ワクチン」です。
2回の接種により97~99%以上の効果があるとされています。

しかし、国内では50代以上の人はワクチンが任意の接種だったため、1回も接種していない可能性があります。
また、20代半ば以上の人は定期接種が1回だったため免疫が不十分である可能性もあります。

そのため自分がはしかの免疫を持っているかどうかを確認することが大切です。

小瀬川皮膚科医院 小瀬川玄院長
「母子手帳があれば(はしかに)かかったことがあるか、ワクチンを受けたことがあるか確認してもらう。分からない場合は医療機関で抗体検査してもらうことが重要」

免疫を持っているかどうかを調べる抗体検査は、医療機関で5000円~8000円ほどで受けられるということです。

あまく見ずに各自で確認することが必要です。

岩手めんこいテレビ
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