空き家問題です。長野県中野市は、大雪で空き家が倒壊し、近隣に危険が及ぶ可能性があるとして、「行政代執行」で空き家の撤去を始めました。市は、所有者に再三、撤去を求めてきましたが、応じなかったということです。

(記者リポート)
「こちらの建物、壁も落ちて、屋根も崩れて完全に倒壊しています。これは危ないです」

中野市更科にある原形がわからないほどにくずれた住宅。2022年の大雪で倒壊した「空き家」です。

長く放置されてきましたがー。

開始宣言:
「行政代執行により、特定空き家等の除却を行います」

立ち入ったのは、市の職員と解体業者です。29日から「行政代執行」で、撤去に向けた作業を始めました。

中野市都市計画課・小林雄一課長:
「道路を利用している方、近所の方に危害を加える恐れがある状態なので、私どもとしても手を打たなければいけないと考えた」

この物件は、市内に住む男性の所有ですが、3年前から空き家に。

倒壊した後、市は、再三、撤去を求めましたが、所有者は応じず、放置されてきました。

近隣住民はー。

近隣住民:
「前々から瓦とか落ちていたから危険だったことは確か」

隣に住む住民:
「風が吹くと土壁の埃が高いところから舞い降りてくる状況なので、洗濯物に埃がかかったりして洗濯物は外にできない」

(記者リポート)
「倒壊した壁が隣の敷地まで入ってきてしまっています」

一方、岩船地区にあるこちらの空き家も去年の大雪により倒壊。すでに壁の一部は隣の住宅の敷地にも入っています。

ただ、県外に住む所有者は、市の撤去要請に応じず、手つかずのままとなっていました。

市は、2戸の空き家について「保安上危険になる建物」として「特定空き家」に認定。

今後、撤去に向けた準備作業を始め、年明けから本格的に撤去を始める予定です。

市が把握している空き家は1033戸。このうち「特定空き家」はこれまで4戸確認されていて、行政代執行で撤去に乗り出したのは今回が初めてです。

撤去にかかる費用は合わせて1000万円余りで、市はそれぞれの所有者に請求するとしています。
(※撤去費用 更科440万円 岩船594万円)

中野市都市計画課・小林雄一課長:
「建物の所有者は適切な管理をするのが大事。空き家に関して困ったことがあれば空き家の相談所とか直接、来庁して相談していただければ活用方法等について一緒に対応していきたい」

空き家問題は中野市に限った話ではありません。県内では2018年の調査で19万7000戸の空き家が確認されていて、各自治体などが対策に頭を悩ませています。

長野放送
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