岸田首相が打ち出した経済対策の財源の裏付けとなる今年度補正予算案が、29日の参院予算委員会で自民・公明・国民・維新の4党の賛成多数により可決された。同日午後の参院本会議で可決・成立する見通し。
補正予算案は、総額約13兆2000億円で、物価高から国民生活を守るための予算として低所得世帯への7万円給付や、ガソリン・電気・ガス代補助などの費用計2兆7400億円、持続的な賃上げ、所得向上のための予算1兆3300億円などが盛り込まれている。財源不足を補うため、8兆8750億円を借金となる国債増発で賄う。
採決に先立っての締めくくりの質疑では、立憲民主党の杉尾議員が「国民は総理を信じられなくなっている。その最たるものが税をめぐる迷走だ、増税減税、何をやりたいのか、全くわからない」と指摘し、ガソリン税のトリガー条項解除検討について事前に相談があったか鈴木財務相に尋ねた。
鈴木財務相は、トリガー条項については去年も与党と国民民主党の協議があり、その際に色々な課題を指摘されたと言及し、「また協議をするということについて、事前に私は説明を受けていない」と述べた。その上でトリガー条項の実施には国と地方合わせて1.5兆円の財源が必要であり、協議の中で財源についても検討されるとの認識を示した。
これを受けて杉尾議員は岸田首相に対し「肝心な財務大臣にも説明せず、総理が唐突に持ち出した。一度検討して断念した経緯があるが、今度も検討だけで終わるのではないか」と追及した。
岸田首相は「エネルギーの激変緩和措置を来年4月まで継続することを政府として確認しているが、その先の議論として検討するとなっていたトリガー条項について、与党と国民民主党の政策責任者の中で検討していくことは有意義だ」と述べた上で「検討の行方を踏まえつつ、政府としても適切に対応したい」と強調した。