日本維新の会の藤田幹事長は15日、建設費の倍増で批判を浴びている大阪・関西万博について、「我々は成功に導けるように汗をかく必要性はある」と述べ、党としてPRを強化していく考えを示した。
万博の会場建設費が当初の1250億円から2350億円にまで増えた背景には、木製の巨大リングの存在が大きい。「世界最大の木造建築物」とされ、約350億円を要する。これについて藤田幹事長は「福島の木材を使うというメッセージもある。万博の期間が終われば解体するが、オールリサイクルでリユースするSDGs的なコンセプトもある」と、巨大リングの意義を強調した。
巨大リングをめぐっては、維新の馬場代表が9日、「ビッグイベントにはモニュメントが要る。(1970年万博で)太陽の塔が作られ、私も子供ながらに『なんて気持ち悪いものを作ったんだろう』と感じた記憶があるが、今となっては大阪の一つのシンボルになっている。(リングの建設で)未来永劫残っていくようなスピリッツが継承されていく」などと述べている。
これに立憲民主党の泉代表が反発。10日の会見では、「リングは当初の計画になかった。シンボル、モニュメントという考え方は採用しないというところからスタートしたのに、どこでどう変わったのか。リングで削減が可能なら検討すべき」と批判していた。
維新は臨時国会の開会直後、代表質問で万博に触れないなど、万博と距離を置くような対応が目立った。ある衆院議員は「党内に万博を取り上げにくい空気があった」と証言している。しかし「開幕500日前」が目前に迫り、党内外から「逃げずにもっとPRすべき」との声が高まったという。大阪府の吉村知事(維新共同代表)が関東や東北のローカルテレビ番組に相次いで出演するなど、万博PRが再び目立つようになってきた。国会でも維新は9日の馬場代表の会見から、演台に万博の公式キャラクター「ミャクミャク」のぬいぐるみを置いている。
維新のこうした“変化”について会見で問われた藤田幹事長は、「何か意図的に『下げていた』ということはなかったと思う」とする一方、「もっと積極的に、様々な情報を分かりやすく国民の皆さんにお伝えするという意識をもっと高めないといけない。そういう危機感は党内でも共有している」と述べた。
万博の開催期間中は各国の要人が大阪・関西に滞在することになるが、藤田幹事長は「様々な自治体も万博に来て、(各国の要人に)自分のところの市町村にも来てもらう。または地元企業とビジネスチャンスが生まれていく。そういったことを積極的にやってほしい」と、万博がもたらす経済的な利点を繰り返しアピールした。