青森・八戸市の老舗駅弁店が製造した弁当を食べた人に、相次いで食中毒の疑いが浮上。
20日になり、体調不良などを訴える人が全国で300人に迫っている。

295人が体調不良など訴え

創業明治25年という、青森・八戸市の老舗駅弁店「吉田屋」。
ぎっしりと敷き詰められたウニに、どんぶり一杯に盛り付けられたピカピカのいくらなど、名物社長が生み出す数々の海鮮駅弁が人気を集め、デパートの駅弁フェアでは大行列ができる。「惣菜・べんとうグランプリ」で毎年のように金賞を受賞する有名店だ。

20日、八戸市にある吉田屋の本社はひっそりとしていた。駅弁製造直売所の入り口には、「臨時休業のお知らせ」が貼られていた。

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八戸市保健所は20日、1都23県から被害の報告があり、295人が体調不良などを訴えていることを発表。対象の商品は9月16日と17日が消費期限の、いくらやうに、ホタテなどが入った海鮮系の駅弁11種類だ。

八戸市民も、「びっくりですよね、本当にまさかです。昔からの吉田屋さんだし、まさかと思いましたね」と驚きを隠せない。

消費期限内なのに「納豆みたいに糸引いてた」

人気の老舗駅弁店で何があったのか。

被害報告が相次いだ16日昼頃、静岡県内の薬局で「海女のうに弁当」を購入して食べたという男性は、「(食べたら)ちょっと刺激がするというか、ピリッとするというか、下の方のご飯を持ち上げたら納豆みたいに糸を引いていた」と話す。

消費期限はその日の午後10時だったが、昼の時点で異変を感じたため、男性は途中で食べるのをやめた。しかし、吐き気がしてきてもどしてしまい、熱を測ると38.4度くらいあったという。

また埼玉県は、大手スーパー「ヤオコー」で販売された吉田屋の駅弁を食べた10人に体調不良の症状が出たと発表。被害を訴える声は今後も増える恐れがある。

食品問題評論家の垣田達哉氏は、ご飯の異常を訴える声があがっていることから「ご飯にも何らかの食中毒菌がついている可能性がある」と指摘。考えられる原因については、「(輸送で)運ぶまでの期間、例えば、お店の工場の暖かいところに置いてしまったとか」との見解を示した。

吉田屋の社長は、ホームページで謝罪。保健所とともに原因を調査中で、判明するまで弁当の製造販売を自粛するとしている。
(「イット!」9月20日放送より)

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