去年7月に安倍元首相が死去して以降、会長不在の状態が続いていた自民党の最大派閥・安倍派は31日、議員総会を開き、塩谷元文科相を座長とし、派閥の中心となる「常任幹事会」のメンバー15人を決めた。
新設された常任幹事会のメンバーは、事実上のトップとなる「座長」の塩谷元文科相のほか、萩生田政調会長、松野官房長官、西村経産相、世耕参院幹事長、高木国対委員長の「5人衆」と呼ばれる有力議員も入った。また、松島元法相や柴山元文科相、岡田地方創生相ら閣僚経験者が名を連ね、総勢15人となった。
総会後、記者団の取材に応じた塩谷座長は「これからが本当に正念場。最大派閥として結束を固め、安倍総理が蒔いた政策の種の花を咲かせる」と抱負を述べた。また、会長は当面空席とし、派閥の通称は「安倍派」のままが望ましいとの認識を示した。
一方で、これまで塩谷氏とともに会長代理を務め、集団指導体制に反対してきた下村元文科相はメンバーから外れた。下村氏は、派閥の元会長で今も派内に影響力のある森元首相と折り合いが悪く、森氏の意向が働いたとみられる。
下村氏は常任幹事会のメンバーから外れたことについて聞かれ、「これからも清和(安倍派)の一員として貢献したい」と話した上で、「みんなを支え、縁の下の力持ちとして貢献したい」と引き続き派閥に残り、メンバーを支えていく考えを強調した。
派閥の方向性をめぐり混迷が続いていた安倍派は、塩谷氏を中心とした集団指導体制に移行することで一応の決着はついた。
ただ、下村氏と同様、「会長は一人にするべき」と集団指導体制に反対する声は派閥内に根強い。9月に想定される内閣改造や党役員人事を控え、塩谷氏の手腕が問われることになるが、今後に火種を残したままの決着となった。