幼い子どもの車内への置き去り死亡事故が、またしても起きてしまった。8月26日、福岡・北九州市にある大型商業施設「コストコ北九州倉庫店」の駐車場に停められていた車の中で、中山喜寿生ちゃん(10カ月)が心肺停止の状態で発見された。

この記事の画像(10枚)

喜寿生ちゃんは病院に搬送されたが、死亡が確認された。なぜ、0歳の喜寿生ちゃんは締め切られた車の中に置き去りにされたのか。

“息子と一緒”両親が互いに勘違い

店が週末の買い物客で賑わう中、事故は起きた。

消防への通報:
息子の呼吸が苦しそう、顔面蒼白になっている。

消防が駆けつけると、喜寿生ちゃんは車の中で心肺停止の状態で発見され、その後、死亡が確認された。両親は商業施設に到着後、別々に車を降り、別れて買い物をしていたため、お互いが「喜寿生ちゃんと一緒にいると勘違いしていた」という。

喜寿生ちゃんは、気温30℃を超す暑さのなか通報までの少なくとも2時間、施錠され窓の閉まった車の中にいたことになる。

警察は、保護責任者遺棄致死の疑いも視野に捜査する方針だ。

800台を収容する駐車場の広さも影響か

警察によると、商業施設を訪れたのは父親、母親、知人女性、長男(5)、長女(3)、喜寿生ちゃんの6人。喜寿生ちゃんは母親の横で、チャイルドシートで眠っていたという。

商業施設には午前10時ごろに到着し、まずは父親と知人の女性がそれぞれ降車。続いて、母親が長男と長女を連れて車を降り、別々に買い物をしていたという。そして、フードコートで合流した際に初めて喜寿生ちゃんがいないことに気づき、正午過ぎ、母親が車内にいる喜寿生ちゃんを発見した。

宮司愛海キャスター:
喜寿生ちゃんは施錠され、窓の閉まった車の中に少なくとも2時間いたとみられています。この日の最高気温は32.9℃でした。

榎並大二郎キャスター:
車内も大変な温度になっていたのではないかと思いますけれども、一番はなぜ、置き去りにしたことに気づけなかったのかという点ですよね。

両親は別々に車を降り、別れて買い物をしていたため、お互いが喜寿生ちゃんと一緒にいると勘違いしていたというが、2時間という長時間、なぜ置き去りになってしまったのか。

要因の一つに挙げられるのが、駐車場の状況だ。コストコ北九州倉庫店には、約800台が停められる駐車場があり、かなり広いものとなっている。

宮司愛海キャスター:
当日の駐車場の様子を見ると、お店に近いところはびっしりと車が停められていて、離れたところにもまばらに停められているといった状況です。

榎並大二郎キャスター:
ひさしのようなものもないし(駐車場が)これだけ広いと外からの目が届きにくいだろうし、10カ月の赤ちゃんとなると、ベルトをとってSOSということも不可能ですからね。

コストコは売場面積も広く、フードコートも充実しているため、滞在時間が2~3時間になるのはよくあることだという。

貴重品を子どものそばに…“無意識の置き去り”防ぐ有効策

さらに、子どもの置き去りに関する実態を調べた次のようなデータもある。

子どもを乗せて運転するドライバー3377人のうち、20.4%が「1年以内に子どもを残したまま車を離れたことがある」と回答。このうちの約2%が子どもがいることを認識していなかったという。

新潟青陵大学の碓井真史教授によると、無意識の置き去りは誰にでも起こりうることで、特にいつもと違う行動パターンを取ったときには、子どもの存在を忘れがちになってしまうという。

これを防ぐには(1)必ず後ろを振り返って確認する習慣をつけること、(2)財布やスマホなどの貴重品を、常に子どものそばに置いておくことなどが有効だという。

榎並大二郎キャスター:
今回の事案はまだわからないことがたくさんありますけれども、いろいろ想像したんです。駐車場だと車がいっぱい通るので「まず建物の中に」という気持ちで、見落としがちなところもある。夫婦の役割分担をどうしていたのか、何があったら防ぐことができたのか。

古市憲寿氏:
今回お子さんが3人いるという家庭で、お母さん側が長男・長女を連れていて。3人いたら2:1だったりとか、分担してきたのかなと思うけども、この家族がそうじゃなかったのかもしれない。通園バスには、安全装置の義務化という流れがあってつけるバスも増えてきましたけど、マイカー全てでつけるのはすぐには難しいと思うので、結局個人個人が気をつけるしかないが、ヒューマンエラーはどうしても起こってしまう。育児で疲れている方が多いことも考えると、防ぐのはどうしたらいいのだろう……ぐるぐるしてしまう事案ですよね。

榎並大二郎キャスター:
他人事に感じられない。(自分)1人なら全部管理したかもしれないけど、相手がいたら、役割分担という連携のミスが取り返しのつかないことになってしまう。どうしたらいいのかなと。

宮司愛海キャスター:
先ほどご紹介した対処を取っておくこと、そして専門家の方は、何か一つに頼るということなのではなく二重三重の対策をとることが大事だとしています。

(「イット!」8月28日放送より)

イット!
イット!

知りたかったことが分かれば、きっと明日が楽しくなる。
知らなかったことが分かれば、きっと誰かに話したくなる。
「明日も頑張ろう」と思えるそのささやかな力になれればと今日もニュースをお届けします。
フジテレビ報道局が制作する夕方のニュース番組。毎週・月曜〜金曜日午後3時45分より放送中。榎並大二郎と宮司愛海が最新ニュースを丁寧にお伝えします。

テレビ西日本
テレビ西日本

山口・福岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。