弁当店の倒産件数が、過去最多だった去年をさらに上回るペースで増え続けている。
倒産の大きな要因は、材料費、光熱費、人件費などの高騰。
そんな中で工夫を凝らして生き残りをかける2つの店を、関西テレビの西中蓮アナウンサーが徹底取材した。
■消費税1%は追い風になるか 新規参入増え激しい戦いも?
調査会社の東京商工リサーチによると、去年89件と弁当店の倒産件数は最多を記録したが、ことしは8月末の時点ですでに83件に達していて、さらに更新してしまいそうな状況だ。
大きな要因は、材料費、光熱費、人件費などの高騰ですが、追い風もある。
高市政権が進めている「食料品の消費税を2年間1%に減税する」ことが実現した場合、お弁当の消費税は1%になり、外食よりテイクアウトのほうがお得だと考える人が増えそうだ。
一方で、新規参入する企業も現れ、今後は激しい戦いも予想される。

■「30年越しのお弁当屋」経営が夢だった店主が30歳の時にオープン
そんな厳しいお弁当業界で「努力と工夫で戦い続ける“コスパ最強”の弁当店」があると聞いた西中アナウンサーが、大阪府柏原市を訪ねた。
JR柏原駅前で2年前にオープンしたその名も「30年越しのお弁当屋」。
店主の難波隼さんは店名の由来について、「私が30歳のときに立ち上げたっていうので、『30年越しのお弁当屋』っていう名前にしました」と説明。
ずっとお店を経営することが夢だったそうです。
店は難波さんと母のみどりさん(53)と妹のももさん(18)という家族中心で切り盛りしていて、明るくほのぼのとした空気に、連日多くのお客さんが訪れている。

■最大の売りは「母の味」 市長も常連
値段は他店とそこまで変わりませんが、最大の売りは「母の味」。店主の母・みどりさんによると、「塩はほぼ使わず出汁でしっかりとした味付けをしている」ということだ。
さらにメニューの9割以上が手作りで、砂糖も控えめの健康的なお弁当が人気を集めている。
常連客は「家庭的で、作っている人の顔も見えて、どれもおいしい」と魅力を語った。
店主・難波隼さん:月にだいたい、多いときで2000個ぐらい作れますね。(売り上げは)だいたい150万円ぐらいはいってくれますね。
そしてこの日、「今日はコロッケカレーが食べたいです」と訪れたのは、地元・柏原市の冨家正浩市長。月に2~3回通う常連だそう。
柏原市 冨家正浩市長:最近、ハマっているのがカレーなんですけど、おかんの味みたいな感じで、まろやかで、お子さんでも食べやすいカレーなんですよ。辛くなくて。応援したくなる店ですね。

■実は元警察官!安定を捨て選んだ夢
難波さんの前職は、大阪府警の警察官。
高校卒業後、11年間勤めたが、お店を持ちたい夢は捨てきれず、安定した収入を手放し、飲食業の世界へ。
母・みどりさん:なんで警察辞めさしたん、っていう声は多かったんですけど、本人がやりたいことをやって、生き生きとやってくれてるほうがいいんで。『次に進もう!』と。

■片道約150キロを運転し米を仕入れて節約も
夢の店を続けていくため、この物価高を生き抜くため、難波さんは涙ぐましい努力を続けている。
難波さん:お米を取りに行きます。三重県の多気郡(たきぐん)まで、33袋、約1トン取りに行きます。
午前3時、一人トラックに乗り込み、道が空いている時間に出発。高速道路は一切使いません。所要時間は4時間、片道約150キロです。
難波さん:物価高や世の中が悪いとか言ってもしゃあないんで、この現状をどう打破するかを考えたら、下道で行くのも1つです。まあ、でもしんどいですよ…。
仕入れたのはコシヒカリ990キロで、5キロに換算するとおよそ2000円。お店で使う3カ月から4カ月分にあたる。
今後の目標について難波さんは「フランチャイズ展開をして、母の味を未来につなぐこと」と語った。

■ふたが閉まらない唐揚げのデカ盛り弁当店「キッチンクレイジーラボ」
次に西中アナウンサーが訪れたのは、兵庫県三田市で、開店前から行列ができている「キッチンクレイジーラボ」。
人気は、フタがまったく閉まらない唐揚げのデカ盛り弁当だ。4個入りでSサイズ、890円。あえて野菜はなしで、総重量は700グラム超え。
3個入りのSSから9個入りのLLまで5種類あり、LLは1880円だが、お弁当をすっかり覆うほどの量のから揚げだ。
さらに1羽分をからりと揚げた「丸どり弁当」(1250円)も名物で、1カ月で1トンもの鶏肉を揚げているそうだ。
この店を切り盛りするのは木村亮介さん(38)と恵さん(41)夫妻。恵さんは「2人とも結構食べるので、みんなが驚いてもらっている姿を見るのがうれしいので大盛りにしました」とこの量にしたことを説明する。

■土木関係の現場監督をしていたが…
夫の亮介さんは、土木関係の現場監督の仕事をしていましたが、「デカ盛り唐揚げで」有名な「キッチンBUS STOP」という店に衝撃を受け、突如退職して修業に入った。
妻・恵さん:仕込みから経営まで、すべてのノウハウを無償で教えていただいたんです。
「丸どり」をカットする技術も「キッチンBUS STOP」直伝だそうだ。
売り上げは週末ともなると1日で15万円を売り上げるそうで、物価高の中でも「できる限り値上げせずに頑張りたい」ということだ。

■元アメフト部も食べきれない…「LL」弁当
LLサイズを食べきった若いお客さんに触発され、元アメフト部の西中アナウンサーがLLサイズに挑む。唐揚げだけで1キロオーバー。
「余裕です。食べきります!」と食べ始めた西中アナ。
西中アナ:サクサク。めちゃくちゃジューシーですね。
にんにくの効いたタレに2日間漬け込まれたから揚げに、箸が止まりません。しかし、半分を過ぎたあたりで…完食ならず。(その後、スタッフで美味しくいただきました)
西中アナ:さっき、これ一家族分だって言った理由が分かりました。大満足ですね、これは。
物価高の中、たくましく生き抜く弁当店には、斬新なアイデアと涙ぐましい努力があった。
(関西テレビ「newsランナー」2026年10月23日放送)


