パレードや演奏会を通して交通安全や防犯意識の向上を呼びかける道警音楽隊。ある刑事に憧れ、警察官になった新人シンバル隊員に密着した。
全国で唯一のユニット「シンバル隊」
北海道警察の広報課に所属する道警音楽隊。

各地で警察がパフォーマンスを通して交通安全や防犯意識の向上を呼びかける音楽隊だが、北海道には全国で唯一のユニットが存在する。
シンバルを鳴らしながら一糸乱れぬ踊りを見せるのが、「シンバル隊」の隊員だ。

2026年、3人の新人隊員が入隊した。
音楽隊ではクラリネット担当、24歳の井上茉子さん。
同じく24歳でホルンを担当する新井田茅由さん。
そしてパーカッション担当の29歳、前中駿伸さんである。

警察を目指すキッカケは「ある刑事」
前中さんは、音楽隊では珍しい刑事課からの異動で、2026年にメンバー入りした。
警察を目指すきっかけになったのは、小学生の時に出会った「ある刑事」だという。

「小学生の時に『踊る大捜査線』の再放送を結構見ていて、青島が活躍しているシーンがあって、刑事ってかっこいいなって」(シンバル隊隊員 前中駿伸さん)
9月18日に全国公開された映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』の主人公、織田裕二さん演じる青島俊作だ。
「あのドラマを見てしまったら、誰もが刑事に憧れると思う」(前中さん)
中でも忘れられないというのが、容疑者逮捕のためバーで張り込み中の青島が、決断を迫られる場面。
「そこでたまたま青島が暴行を受けている女性を見るんですよ。本部の偉い人たちからは『青島、やめろ。行くな』と。青島はそんなの許せないと、困っている人がいるなら助けるべきだと助ける」(前中さん)
容疑者を取り逃し、柳葉敏郎さん演じる室井管理官から、「事件解決のため」には動くべきではなかったと伝えられた青島。「これを持っていると人を助けられないなら、こんなものはいらない」と警察手帳と手錠を投げつけ、立ち去るシーンだ。
「そこがほんとにかっこよくて、僕の中の一番の憧れ。当時、小学生の僕は、かっこいいと見ていた」(前中駿伸さん)

配属先のシンバル隊で『運命の出会い』
前中さんは青島に導かれるように警察官になり、交番勤務などを経て、刑事課で薬物取締を担当した。そして、2026年4月に配属されたのが音楽隊である。
「今まで事件を取り調べる側だったが、事件を未然に防ぐ方にも回ってみたいと思った」(前中さん)
幼少期にピアノを習っていたものの、吹奏楽の経験はないという前中さん。
配属されたシンバル隊で、運命の出会いが。

最初の課題曲が、「踊る大捜査線」の劇中にも流れるテーマ曲だった。
「とてもうれしい、こんな奇跡があるんだなと」(前中さん)
この曲の演技は、シンバル隊の先輩、笹村さんが考えた。

「警察になじみ深い曲でもありますし、何度も映画化映像化されているので、幅広い世代にも親しまれている曲なんじゃないかと」(先輩隊員 笹村伊吹さん)
年間約120回、ステージに立つ道警音楽隊。
演奏だけではなく、1人1人のキレのあるダイナミックな動きも、シンバル隊のパフォーマンスの魅力だ。
「一番最後の大回しがもう少し面見せられるといいかな」(指導者)
シンバルの向きや回転の数など、細かい部分を修正し、この日の練習は終了。
「5人全員が目立てる場所があるので、1人1人に注目してもらえたら嬉しい」(笹村さん)

ついに迎えた本番…
本番当日、音楽隊が大通公園に到着した。前中さんも立ち位置や動きを入念に確認。
しかし…。

本番直前に突然、雨が降り出した。
話し合いの末、曲目を減らしての開催に。
雨脚が強くなる中、パフォーマンスが始まった。

5人の息の合った演奏と迫力ある動きで、会場を盛り上げた。
いつしか雨も上がり、音楽隊のパフォーマンスは大盛況に終わった。
「すごく楽しかった。楽しみに来たんです。本当に楽しかったです」
「シンバルも素敵でしたね。シンバルは初めて見ました」
「(Q:元気をもらえた?)もらえました。すごく。雨なんかへっちゃらです」(いずれも来場者)

本番を終えた前中さんは―。
「お客さんが身振り手振り楽しんでもらっているのを見ると、とてもうれしい。僕たちが市民の方との架け橋になりたい」(前中駿伸さん)
憧れの刑事に導かれた、警察官という仕事。前中さんは北海道警察のシンバル隊隊員として、これからも演奏を続ける。
