けたたましい警報音に振り向き、その場を立ち去る1頭のクマ。
10月2日午前1時20分ごろ、北海道千歳市のサケ養殖場の敷地内に設置された監視カメラがとらえた映像だ。
体長約1メートルとみられている。

「クマが歩いたとみられる道では、幅約13センチの足跡やふんが見つかったということです」(渡部健太記者)
こちらの施設は今の時季は稼働していないため、被害はなかった。

クマが立ち去った方向には山林が広がっている。
100メートルほど離れた場所には住宅が広がり、かつてはクマによる被害もあった。
千歳市では警戒を強めている。
「数年前に付近の向陽台地区で、生ごみを荒らしたクマを捕獲している。住民にはごみ出しルールや生ごみの処理を適正にしてもらう」(千歳市農業振興課 前田克利課長)
クマを人間の生活圏に近づけないために、十分な注意が必要だ。
進む電気柵の設置
そのための一つの方法が電気柵だ。
札幌市では電気柵に関して新しい動きが。

「盤渓小学校は山や川に囲まれています。その周囲を囲むように、電気柵を張るためのポールの設置が進んでいます」(木村洋太記者)
札幌市中央区の盤渓小学校では、10月6日から電気柵の設置作業が始まった。
2025年度に札幌市内で過去最多となる、360件以上のクマの出没が確認されたことを受けての対策だ。
「子どもたちが安心・安全に活動できる場所を確保したいので、設置され心強い」(札幌市立盤渓小学校 佐藤正樹校長)

盤渓小学校ではこれまでも独自に電気柵を設置してきたが、今回はより高さのある柵が校舎を囲むように450メートルにわたって設置されている。
「電気柵を設置したから大丈夫ではなく、子どもの指導や登下校の対応など複合的な対策で子どもの安心を図っていきたい」(札幌市立盤渓小学校 佐藤校長)
札幌市では山林に近い学校など8施設で、このような電気柵の設置を進めている。
札幌市円山動物園でも
その一つが札幌市円山動物園。
円山動物園では2025年11月に園内へのクマの侵入が相次いだことから、9月28日に設置。

全長約800メートルで、木に登って侵入する可能性もあるため、木の周辺にも設置した。
そして、電気柵を巡っては、今までの弱点を克服する新たな動きも。
北海道南部の上ノ国町では2025年、クマの出没が相次ぎ家庭菜園が荒らされるなどの被害が出た。

駆除されたクマは106頭に上る。
ここで今、電気柵に関する新たなシステムの実証実験が行われている。

「電圧が低下したら『電圧低下』というメッセージが表示され、どの場所で電圧が低下したかわかる。電気柵は広い範囲に設置されているので、問題が起きている場所を探すのがとても大変。維持管理に時間がかかる」(NTTドコモ 横野脩也さん)
クマ対策に有効な電気柵だが、実は弱点があった。
伸びた草木が触れたり、野生動物が何度も触れたりすると、切断したり故障したりすることが。
新たなシステムでは電気柵の状態を常時、遠隔でモニタリングする。
故障した場所などを即座に特定して、修理することが可能になる。
さらに。
「クマがどこで触れたか、わかるようになると考えている。それにより侵入経路の特定や、応用的な獣害対策ができると考えている」(NTTドコモ 横野さん)
実証実験は住宅地に隣接する約300メートルの電気柵を対象に、11月30日まで行われる。

10月から11月のヒグマは、冬眠に向けて食べる量が増える時期。

2025年に比べ、2026年は札幌市でのクマの目撃・出没件数ともに格段に減っているが、油断は禁物だ。
