マイページ
昭和レトロなモノが1つなんでも100円 「1つ買ったら、いらないものも1つ持ち帰る」独特ルール 捨てられたモノが輝きを取り戻す 不用品再生の現場|FNNプライムオンライン

昭和レトロなモノが1つなんでも100円 「1つ買ったら、いらないものも1つ持ち帰る」独特ルール 捨てられたモノが輝きを取り戻す 不用品再生の現場

Google ニュース プリファードソース

近年、きちんと処理されていない不用品が各地で問題となっている。

京都市伏見区の住宅街には産業廃棄物が山積みとなり、雨風で崩れるリスクも指摘されている。神奈川県川崎市では、約8年間にわたって運河に放置されていた遊覧船の強制撤去が6月についに始まった。

こうした”処理されないゴミ”の問題が全国各地で表面化するなか、不用品に新たな価値を見出し、もう一度輝きを取り戻す取り組みが滋賀県で行われている。

■1つ買ったら、いらないものも1つ持ち帰るフリマ?

滋賀県守山市にある古民家の前に、まるでテーマパークのような行列ができていた。

お目当ては「100円市」。訪れた人からは「ネットで見て来た。フリマの感覚かなと思って、面白いものがあるかなと」という声が聞かれた。

このイベントを企画したのは、全国空き家アドバイザー協議会の谷口陽介さんだ。

谷口陽介さん:空き家対策をしていて、家の中にものがいっぱいあって、活用に進まない、処分するにもお金がかかる、手間もかかる。悩まれている方が多かったので、イベントを考えました。

会場となったのは、5代続く小森さんの土地。先祖代々受け継がれてきたおよそ130坪の敷地にある倉庫や蔵には大量の家財が残されており、処分に困った末にこのイベントへの参加を決めたという。

100円市のルールは独特です。欲しいものを1つ100円で買えるかわりに、いらないものも必ず1つ持ち帰らなければいけない。

「100円市」にまるでテーマパークのような行列
「100円市」にまるでテーマパークのような行列
この記事の画像(8枚)

■唐箕、竿秤、あんか…昭和の暮らしが並んだ会場

並んだ商品は多彩だ。料理用の家電や新品未使用の小皿・グラス・ネクタイといった実用品から、レトロな乳母車、餅つきで使う杵まで、100円市ならではの幅広いラインナップだ。

午後1時の開始と同時に、目星をつけていた来場者たちが一斉に動き出した。

木琴を手にした参加者は「傷んではいるんですけど、塗ったりしたら大丈夫かなと思って」と話し、暖炉型のヒーターも一緒に買っていった。

古いものが好きだという男性は、収穫した穀物から風の力でゴミを除く昔ながらの農具・唐箕(とうみ)や、デジタルのはかりが普及する前に主流だった竿秤(さおばかり)など計8点を購入。豆炭を使う足温め器「あんか」を手に取りながら、その使い方を説明してくれた。

そうめんのお皿や絵本など8点を購入したご家族も、支払いは100円。開始から1時間後に「100円で袋に詰め放題」のタイムセールが始まり、ある参加者は「全部で200円しか払っていない。満足な1日です」と笑顔を見せた。

豆炭を使う足温め器「あんか」
豆炭を使う足温め器「あんか」

■700点以上の家財が旅立った

この日の来場者はおよそ500人。

売上は3万5800円で、谷口さんは「100円で2個持っていってもらったので、単純計算で700点以上のものがなくなった。イベントとしては大成功」と振り返る。

家主の小森純二さん(73)も「他人さんに家の中を見られるのは多少抵抗があった。ものがたくさん残ってしまって、処分に5年10年かかると思っていた。本当に大助かりです」と話した。

売上の3割にあたる1万740円は小森さんに還元される。売れずに残った家財は、運営チームと一緒に処分する予定だ。

全国空き家アドバイザー協議会の谷口陽介さん
全国空き家アドバイザー協議会の谷口陽介さん

■「ゴミとして捨てられた家具」を商品によみがえらせる 全国初の試み

滋賀県ではもう一つ、注目される取り組みが大津市で行われている。

古民家の前には、こちらにも長い行列ができていた。

「リペアチャレンジ」と名付けられたこの事業は、滋賀県が中心となって取り組むもので、県内の一般廃棄物の中からまだ使える家具を選定し、清掃・修理を施して商品として再生する取り組みだ。

一度ゴミとして捨てられた家具を商品化するのは、全国でも初の試みとされている。

こちらにも長い行列
こちらにも長い行列

■「文豪が使っていた?机」職人の手でよみがえった586点

店内には1000円から8万円と幅広い価格帯の商品が586点並んでいる。

木のいい香りが漂う中、古いチェアの趣をそのまま残しながら職人の技術で修理された椅子や、かつて嫁入り道具としても親しまれた長持(ながもち)などが来場者を迎える。

滋賀県リペアチャレンジ事業を運営する野村俊夫さんのイチオシは、独特の高さを持つ木製の机だ。

野村俊夫さん:今ではこういう高さの机は見ない。文豪さんが使っていた雰囲気。元々は木の色が褪せてしまっていたが、全体的にヤスって表面をきれいにして、色を付ければ価値が蘇る。

販売される家具の一部は事前にSNSで公開されており、目当てを決めてくる来場者も多いという。

オープン2時間前から並んでいたジェームスさんは、開場からわずか30秒でお目当てのロッキングチェアを確保した。テレビを見るために使うとのことで、1万円の価格がついていた。

野村さんイチオシの机
野村さんイチオシの机

■「昔使われていたものの物語を受け継ぎたい」

野村さんのイチオシだった文豪風の机を購入したのは、藤山さん夫妻だ。

「たまたま今知って、巡り合いました」と語る藤山さん。

過去にもリペアチャレンジでアンティーク家具を購入したことがあり、「昔使われていた家具のストーリーを受け継いで、大切にできたらなと思っている」と話す。

現在は日記をつけるなどの日常的なデスクとして愛用しているそうだ。

「昔使われていたものの物語を受け継ぎたい」と藤山さん
「昔使われていたものの物語を受け継ぎたい」と藤山さん

■捨てられたものに「手を入れる」社会へ

今回のリペアチャレンジで売れた家具は173点、売上は41万5000円に達した。

野村さんは今後の展望をこう語る。

野村俊夫さん:一度捨てられたけれど、手に取って、長く使っていただく。そういう社会を目指していきたい。

不用品をゴミにするのではなく、次の誰かの手に届けるという発想は、空き家問題や廃棄物問題が深刻化するなかで、一つの現実的な選択肢として注目されつつある。

守山市の100円市も、大津市のリペアチャレンジも、モノの”終わり”を”始まり”に変える試みだ。その輪が滋賀県から全国へと広がっていくかどうか、今後の動向が注目される。

(関西テレビ「newsランナー」2026年6月26日放送)

滋賀県リペアチャレンジ事業を運営する野村俊夫さん
滋賀県リペアチャレンジ事業を運営する野村俊夫さん
関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。

  • 1
  • 2
関連記事
関西テレビの他の記事
【速報】奈良県吉野町の全域で停電が発生 原因わからず復旧見込みも未定
【速報】奈良県吉野町の全域で停電が発生 原因わからず復旧見込みも未定
社会
秋の夕暮れは交通事故起きやすい“魔の時間帯” 理由は歩行者の“服の色” 白は「37.6m手前で気づく」も黒は「さらに10m進まないと気づけず」 秋の長雨と対向車のライトで歩行者見えない「蒸発現象」も
秋の夕暮れは交通事故起きやすい“魔の時間帯” 理由は歩行者の“服の色” 白は「37.6m手前で気づく」も黒は「さらに10m進まないと気づけず」 秋の長雨と対向車のライトで歩行者見えない「蒸発現象」も
社会
「米の価格が下がってもほかが上がる」弁当店の倒産件数が過去最多になる見通し 食材高騰や人件費増で苦境 「地域の食を支える」30年続く店も閉店へ 生き残りをかけて新たな形の弁当も
「米の価格が下がってもほかが上がる」弁当店の倒産件数が過去最多になる見通し 食材高騰や人件費増で苦境 「地域の食を支える」30年続く店も閉店へ 生き残りをかけて新たな形の弁当も
社会
自宅に79歳母親の遺体を放置か…55歳息子を逮捕 訪れた裁判所職員が「室内で高齢女性が亡くなっている」と110番 京都・伏見区
自宅に79歳母親の遺体を放置か…55歳息子を逮捕 訪れた裁判所職員が「室内で高齢女性が亡くなっている」と110番 京都・伏見区
社会
一覧ページへ
×