球磨川の支流、川辺川に建設が計画されている流水型ダムについてです。

まず位置関係ですが川辺川は人吉盆地で本川と合流する球磨川最大の支流です。

合流地点から北に約15キロ、相良村四浦に建設が計画されたのが流水型ダムで、上流の五木村はダムの完成後、一部地域の水没が想定されています。

五木村は21日村民集会を開き木下 丈二 村長が流水型ダムの建設を受け入れる意向を表明。

集会に参加した村民からはダム建設への賛否や村の振興策について意見が上がりました。

【五木村 木下 丈二 村長】
「流水型ダムを前提とした村づくりに向けて、新たなスタートラインに立つべきであると判断した」

五木村の五木東小学校で開かれた村民集会には、村民など143人が参加しました。

木下 丈二村長は川辺川に建設が計画されている流水型ダムが「環境に極限まで配慮されたものであること」、村の振興策についても「国や県から最大限の回答があったこと」などを踏まえ、村長として流水型ダムの建設を受け入れる意向を表明しました。

川辺川へのダム建設をめぐっては、頻発していた球磨川の水害を受けて、1966年に当時の建設省が計画を発表しましたが、村の中心部が水没する五木村は反対を表明しました。

その後、賛成と反対で村を二分する状況が続きましたが、国と地権者との和解が進み、村は1996年に本体工事着工の協定を結びます。

しかし、社会情勢の変化や反対運動などによって本体工事の着工には至らず、計画発表から42年後の2008年、蒲島(かばしま)前知事が『白紙撤回』を表明。

その後、2020年7月の豪雨で球磨川などが氾濫し甚大な被害が出たことを受け、蒲島前知事が再び方針を転換し、流水型ダムの建設を容認しました。

貯水時に一部が水没すると想定されている五木村。

木下村長がダム建設を容認したことで着工に向け前進した形となりました。

21日の集会では村民からダム建設への賛否や村の振興策について意見があがりました。

【参加した村民】
「これから村の振興策をする上で流水型ダムの有無では雲泥の差。私は村長の意見と同じ」

【参加した村民】
「ダムを前提としなくても振興策は進めていいのでは」

一方で、木下 村長は賛否を問う村民投票は行わない考えを示しました。

集会に参加した前の村長、和田(わだ)拓也(たくや)さんは。

【和田 拓也 前五木村長】
「全体的には村民の考えと一致していると思っている。水没地域も含めてダム事業も絡ませながら振興計画が具体化できるのでスピードが上がる状況になった」

集会では振興計画の課題となっている平地の確保について、国が盛り土などを行い、最大20ヘクタールの整備を検討していることを発表。

整備することが決まれば、宅地や企業の誘致先、貯水時に水没する施設の移転先などに活用される見込みです。

また、流水型ダムを含めた『緑の流域治水』を進める考えの木村 知事は22日朝、木下 村長と電話で会談したことを明らかにしました。

【木村 敬 知事】
「清流を守るダムがどうあるべきかサポートし、住民に説明していくと(木下村長に)約束した。県として村民と向き合いよりよく具体的に振興計画を実現したい」

国は、2027年度に本体工事に着手し、2035年度の完成を目指しています。

テレビ熊本
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