4月19日、宮城県南三陸町に「海藻」を使ったメニューを提供するカフェがオープンします。南三陸町は海の町ですが、それにしても、カフェで海藻のメニューというのはすぐにはイメージできないですね。意外な組み合わせですが、食べてみるとどれも納得の味でした。そして、海藻カフェのねらいは、意外性だけではありませんでした。
こちらが、海藻カフェ「SEASON」。南三陸町歌津に4月19日、オープンします。
梅島三環子アナウンサー
「こんにちは阿部さん、よろしくお願いします。できましたね、カフェ」
SEASON 阿部将己オーナー
「ようやく完成しました」
出迎えてくれたのはオーナーの阿部将己(38)さんです。木のぬくもり溢れる店内には、大きな窓を設置しました。
SEASON 阿部将己オーナー
「歌津の伊里前湾を一望できるカフェにしたいと思っていて、この景色を楽しみながら海藻料理を味わってもらいたい」
景色もさることながら、やはり気になるのは、カフェのメニュー。すべて、海藻を使ったものだといいます。まずはこちら。
SEASON 阿部将己オーナー
「当店の看板メニューSEASONランチプレートです」
スープにキッシュ、ソーセージにサラダのドレッシング…全てに、異なる種類の海藻を使っているそうです。
SEASON 阿部将己オーナー
「まずお勧めが、手前にある三陸産の茎ワカメを使ったポークソーセージです」
梅島三環子アナウンサー
「ソーセージに茎ワカメですか!頂きます。結構スパイシーですが、ワカメのうまみ、食感しっかり生きている」
SEASON 阿部将己オーナー
「食感も香りも味わってもらいたいと、一番開発の段階で工夫した」
ホタテに合わせた宮城県産のノリのソースも絶品です。
梅島三環子アナウンサー
「海の旨味と海の旨味でよりおいしくなる」
SEASON 阿部将己オーナー
「相乗効果でおいしく召し上がっていただけると思います」
驚いたのは、このメニューです。
梅島三環子アナウンサー
「これ、パフェですよね」
SEASON 阿部将己オーナー
「海藻を使ったシーズンパフェです」
梅島三環子アナウンサー
「パフェに海藻って全然想像つかない(笑)」
パフェの中身には、7種類の海藻が使われています。トッピングにはアオサ、ソースにはトサカノリ。そして、ジェラートには、スジアオノリが練り込まれています!その味は?
梅島三環子アナウンサー
「頂きます!んー、アオノリ!合いますね」
SEASON 阿部将己オーナー
「調べたらアオノリには、お茶と同じ香り成分が入っていることが分かって合点しました。抹茶アイスにも少し似たような香りがある」
梅島三環子アナウンサー
「確かに!抹茶アイスの風味しますね」
SEASON 阿部将己オーナー
「だから合うとわかりました。これまでにない海藻の新しい食べ方を提案したい。デザートや洋食のような食べ方という新しい提案で、皆さんに海藻の可能性を感じていただきたい」
意外ながら、どれも絶妙なものばかり。ただ、意外なのは、メニューだけではありません。オーナーの阿部さんは、実は、地元の建設会社の専務。地域の会社として街づくりへ貢献したいという思いがありました。
SEASON 阿部将己オーナー
「本業、建設業ですが、広いくくりで言うとまちづくりをしている仕事と思っているので、そういった意味で海藻事業もまちづくりの一端を担えるものにしていきたいと思って始めました。地域ならではの資源を使って、全国に伝えられるもの無いかと探したときに、私は海藻がすごく魅力的に見えた」
さらに、阿部さんのねらいは、それだけではありません。
SEASON 阿部将己オーナー
「こんにちは、お疲れ様です。どうも~」
訪れたのは、歌津の泊浜漁港。ここで料理に使うワカメを調達していますが、買い取るのは、市場には流通しない部分です。
ワカメ漁師 高橋直哉さん
「メカブとワカメをつなぐ茎の部分が硬い。硬すぎて食品としては難しいと、廃棄するけれど、この部分をカットして有効に使ってもらっている」
加工のタイミングで廃棄される硬い茎ワカメが、細かく刻むことで、コリコリとした食感が特徴の自慢のソーセージになりました。
SEASON 阿部将己オーナー
「使われていないところを、いかに付加価値をつけて商品にできるかがやりがいでもあり、宝の山のようにも感じていたので困っているという話を聞いた時に、これだという思いがあって商品化したいと相談させてもらいました」
ワカメ漁師 高橋直哉さん
「救世主ですね(笑)」
SEASON 阿部将己オーナー
「カフェは、金土日の週末限定でオープンするのですが、仙台圏とか町外から南三陸に足を運んでもらって。海藻のこと、南三陸町のことどんどん広げていきたいなと思っています」
地域の資源を無駄なく生かして新たな価値を生み出し、まちのにぎわいにつなげようという幾重にも広がりのある取り組みが始まっています。