TSKと山陰中央新報社のコラボ企画「カケルサンイン」。後編として浜田市出身三浦龍司選手の強さに迫ります。前編は、心技体の「技」、ハードルを飛び越える技術という点から強さに迫りました。後編は「体」と「心」から強さを紐解きます。地元・浜田で培ったというしなやかな体、さらに大舞台でも動じないメンタルの強さにスポットを当てます。

三浦 龍司選手
「地元のクラブチームに所属していて、陸上以外のスポーツをやったり、長距離が得意だけど短距離をやったり、跳躍系の種目をやったり総合的にやっていた。その子ができる動作、やれる動き、運動が増えていく感じ。小さい頃に培われた体に残っている」

浜田市出身、陸上の三浦龍司選手。
3000メートル障害でオリンピックのメダルを狙うトップアスリートです。
最大の長所は卓越したハードリング技術と、バネのある走りを生み出すしなやかな「体」。そのルーツは地元・浜田にありました。
三浦選手が小中学生のときに通っていた浜田市の陸上教室。現在、小学生約60人が三浦選手の背中を追いかけ汗を流しています。教室では、今も三浦選手が通っていた頃とほぼ同じ練習を行っています。速く走る方法を教えるだけではありません。ボール投げや高跳び、ハードル走など、練習メニューには体の使い方を覚え、身体機能を高めるトレーニングが組み込まれています。

当時三浦選手を指導した浜田ジュニア陸上教室・大石学さん
「身体の軸を保つ、蹴った力が地面に伝わって前に進む、身体のバランスなど細かい動きをしながら身に付けていく」

教室では身体機能を高めるトレーニングのあと、それぞれがやりたい種目を選択させています。当時、三浦選手は「長距離」と「ハードル」を選んでいました。

ハードルを指導した浜田ジュニア陸上教室・叶松久雄さん
「小学生のときに柔軟体操や股関節を広げるような体操から今のハードリング技術、ハードルをまたぐ技術を教えて、本人もものすごく飲み込みが良かったですから、それを見て6年生の頃に、『こいつはもう将来3000m障害だな』とスタッフの間ではもう話をしていました」

地道なトレーニングで培ったしなやかな「体」。そこにハードリングの技術が加わったのもこの教室がきっかけでした。

三浦龍司選手
「3000m障害は高校からだったが、クラブチームの先生が3000m障害という種目を小学生のときですかね、やらせてみたい、やってみてほしいっていうのを言われてたので、出会いというか、きっかけをもらったのは小学生の時だったかもしれないですね」

小さいころからのトレーニングによって備わった「体」と「技」。それを最大限生かすのが、三浦選手のもう一つの武器「心の強さ」です。東京オリンピックの決勝という大舞台。スタート前も落ち着き払った表情を見せていました。

三浦龍司選手
「無頓着というか、マイペースなので、(メンタルが)強いというわけではないが、気にしないという感じ」

中長距離走におけるメンタルの重要性について、元マラソン選手で細かすぎる解説でお馴染みの増田明美さんに聞きました。

マラソン解説者・増田明美さん
「トラックの長距離は、最後はもう人間力というかね、どこまでつらさを我慢できるかというのがありますけども失敗したらいけないとか、ロスしてはいけないという(プレッシャー)を超えてるわけですよ」

三浦選手の冷静な表情からも強さを窺い知ることができるといいます。

増田明美さん
「その走る前の表情を見ているとイメージトレーニングしてるような、自分の良い走りを思い描いてるようなね雰囲気に見える。走る前の表情が、終わってからのコメントも「イメージがこうで」「イメージにはまった」とか、そういうコメントが多いので、その辺も三浦さんの強さの秘密ではないかと」

最後に三浦選手の「細かすぎる情報」を聞いてみました。

増田明美さん
「(趣味は)洋楽を聞くことと、時間がある時にアニメを見るくらいで、「本当に趣味がないんです」って真顔で言われた。本当に三浦さんは真面目な人だなと思う」

傑出したハードリング技術。バネのある走りを生み出すしなやかな体。冷静に自分を分析できるメンタル。競技に必要な「心技体」すべてを兼ね備えた三浦選手。

三浦龍司選手
「選手として自分の競技をしている姿、走りで人を感動させるというか、何かグッとくるようなものを与えられる選手になりたい」

浜田が生んだ日本陸上界の逸材は、世界の頂点を見据え挑戦を続けます。

TSKさんいん中央テレビ
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