全国一斉に行われている「春の交通安全運動」。今年の重点目標は「子供の安全」です。子供の事故は特に登下校時が多く、低学年ほど多いという傾向があります。通学路に潜む危険を専門家に聞きました。

宮城県内をはじめ、全国で行われている「春の交通安全運動」。4月15日まで各地で事故の防止が呼びかけられます。

新入学児童
「大人の人も交通ルールを守ってください。私たちも交通ルールをきちんと守ります」

今年の重点目標のひとつに掲げられたのが、「子供が安全に通行できる道路交通環境の確保」。警察庁の統計によりますと、2019年からの5年間で交通事故による小学生の死者・重傷者は全国で3505人。学年別では2年生が最も多く、低学年ほど「歩行中」の割合が高く、高学年ほど「自転車」の割合が高い傾向になっています。

歩行中の事故を目的別にみると、「登下校」がおよそ37パーセントと最も高く、次いで「遊戯」という結果になりました。

日本交通事故調査機構 佐々木尋貴代表
「横断歩道があるから安全ではなくて、横断歩道があるからこそ、そこに人や車が集まってくるので、より注意する必要がある」

元警察官で、現在は民間の事故調査会社で交通事故の鑑定や調査をしている佐々木尋貴さんです。青葉区の通町小学校の通学路を一緒に歩き、危険が潜む場所を教えてもらいました。

日本交通事故調査機構 佐々木尋貴代表
「例えばこういう道路、歩道がないので外側線との間を歩かざるを得ません。でもその中に電柱があってしまうと、子供はその電柱を避けざるを得ないんですね」

道幅が狭い上に、ところどころに電柱があり障害物となっています。周辺の道路も幅が狭く、相当の注意が必要な通学路です。これは実際の登校風景です。

記者リポート
「児童が道路にはみ出して通行する姿が確認できます」

この光景、取材中にたびたび見られました。

日本交通事故調査機構 佐々木尋貴代表
「極端な話を言えば一分一秒でも、自分の進路前方から注意力をそらすなという運転が求められるくらい、慎重な運転が求められてくる道路だと思います」

危険な場所は他にも。見通しの悪い交差点です。

日本交通事故調査機構 佐々木尋貴代表
「運転手とすれば変則的に運転し交差点を通過することだけに意識がいく、そういった時は交通事故が発生する可能性は増えてきます」

事故の背景には、子供の特徴も関係していると佐々木さんは指摘します。

日本交通事故調査機構 佐々木尋貴代表
「身長が低くなると、運転手側からも子供が見えなくなるし、子供の視点からも周囲の状況がさえぎられて、車が見えなくなる危険性はあると思います」

通学路でドライバーに求められるのは、いつも以上に気を配った運転。同時に、子供たちへの交通安全教育も重要になります。通町小学校でも、新1年生が入学した4月に合わせて、通学路の特徴に合わせた歩き方を教えています。

通町小学校 井上康介教務主任
「低学年のころには4月に交通安全教室という授業を行います。できるだけ道路のはじを一列で歩いていく歩き方。前後確認してすばやく電柱を回り込む。そういう練習をしています」

危険な場所で、具体的に教えること。佐々木さんもその有効性を認めています。

日本交通事故調査機構 佐々木尋貴代表
「電柱を避けようと思ったら、一旦きちんと車が来ないか、後ろを見ながら、電柱を避けて歩行するんだよとか、場所場所で具体的に大人が子供に教えてあげる。場所場所、地点地点で教えてあげるということが、僕はとても有効な教育じゃないかなと思います」

かけがえのない命を守るために。ひとりひとりの安全への意識が求められています。

仙台放送
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