2022年10月、豪雨災害から11年ぶりに全線再開通したJR只見線。その只見線の沿線で、タスキをつなぐリレーマラソンが開催された。地域の大切な鉄路を守り続けるために、住民は「関わること」と「発信すること」を続けている。

<秘境路線沿いを走るイベント>
2024年3月30日・午前6時。JR只見駅前にはたくさんの人が集まっていた。
開催されたのは「只見線リレーマラソン」
只見川と山々が織りなす絶景から、全国屈指の秘境路線として知られてきたJR只見線。その沿線の28駅・約100キロをタスキをつないで走る。只見町や金山町などの中学生を中心に38人が参加し、それぞれが自分たちが住む地域の景色を楽しんだ。参加者は「初めてこういうところ走ったので、地理を知れたというか、地元っていいなと改めて感じた」と話す。

<豪雨で甚大な被害>
2011年7月、新潟・福島豪雨が発生。只見線では3つの橋が流失するなど、甚大な被害を受けた。
その後、住民や沿線自治体の強い要望を背景に復旧工事が進められ、2022年10月に全線で再開通を果たした。

<地元への思いを胸に 最高齢ランナー>
リレー参加者の中で、最高齢の大竹タカ子さん(76)は、5区の会津横田駅ー会津越川駅間を走った。
只見線が走る金山町出身で、現在は福島県会津若松市に住む大竹さんは、2013年に東京マラソンを完走するなどマラソン歴は10年以上。長年地域を支えてきてくれた只見線を盛り上げたいと、今回参加を希望した。「若者たちが、こういうイベントをこれから続けてもらいたいと思って」と話す。
沿道の人や金山町の景色に見守られながら、3.4キロを駆け抜けた。

<豪雨の年に生まれたランナー>
駅から駅、ランナーからランナーへと繋がれるタスキ。
七日町駅から会津若松駅までを走るアンカーを務めたのは、只見中学校2年生の角田杏さん。
角田さんは2022年7月、全線再開通を前に「自転車で全ての駅を巡る」ことに挑戦した。新潟・福島豪雨の年に生まれた角田さんは、町役場に務める父親の祐介さんとともに只見線について知る活動を続けてきた。
復旧後も赤字が続く只見線。地域の財産を残し続けるためには、住民が「関わり続け」「発信する」ことが大切だと考えるようになった。
沿道からの応援を受け、ゴールテープを切った角田さん。「これを通して、また只見線が盛り上がるとうれしいです」と話した。

ランナーと応援する人、全員が地域の魅力を再発見したリレーマラソン。タスキとともに、只見線活性化への思いは繋がれていく。

福島テレビ
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