台湾で起きた地震は、日本人に人気の観光地にも大きな被害をもたらしている。
土砂崩れや落石による死者も出た“台湾のグランドキャニオン”とも呼ばれる渓谷付近に、FNNのカメラが入った。
取材班が向かったのは、3日、台湾を襲った大地震で最大震度6強が観測された花蓮県。
台湾随一の絶景スポットとして知られる「太魯閣(タロコ)公園」の玄関口。
上空には救助ヘリが飛び、周囲には落石や地割れなど、地震の爪痕がいたるところに残されていた。
タロコ公園入り口にある土産物店「連休中で人がいっぱい来てたら、落石が多いし、バスに当たったら悲惨なことになっていた」
4日から「清明節」の4連休に入った台湾。
地震は、観光地がにぎわうシーズンを目前に起きた。
総面積9万2000haと、東京23区の約1.5倍もの広大さを誇る太魯閣公園。
大理石の断崖絶壁が延々と延びる「太魯閣渓谷」や神秘的な鍾乳洞など、息をのむ壮大な景色が広がる。
“台湾のグランドキャニオン”とも称され、日本人観光客も多く訪れる景勝地。
現地で食堂を営む溝淵剛さん「言葉に言い表せられないようなワイルドさ。花蓮に来て、タロコに来てないと言うと、何しに来たの? っていうぐらい」
しかし、震源に近い花蓮県では、各地で土砂崩れが発生。
公園内の渓谷に向かう海岸沿いの道路では、トンネル手前の路面が完全に崩落し、取り残された車には崩れ落ちた土砂が積もっていた。
現地メディアによると、このトンネル近くを走っていたトラック運転手1人が、落石の直撃を受け死亡。
太魯閣渓谷でハイキングをしていた観光客3人も落石で命を落としたという。
また、早朝を襲った地震により、公園内のリゾートホテル従業員らが乗ったバスが孤立。
ドローンによる捜索が行われた。
その結果、4日午前、従業員らの無事が確認された。
車体にホテルのロゴが入ったバス。
落石を受けたのか、後ろの部分がつぶれてしまっている。
さらに、切り立った山肌で手を振るのは、鉱山に閉じ込められていた作業員たち。
こちらも無事が確認された。
しかし太魯閣公園には、今も700人ほどが取り残されているとみられている。
東京大学大学院の渡邉教授は、花蓮県周辺の衛星写真で地震前と地震発生から1時間後の様子を比較。
すると、その風景に大きな変化が見られたという。
東京大学大学院・渡邉英徳教授「びっくりしたんですけど、この白いもやっとしたもの、どうやら雲ではないらしい。土砂が巻き上げられて、こんなふうにモヤモヤしているのかもしれないと考えている。それだけ、大規模な土砂崩れが発生していると思う」
変化は、海にも見られた。
東京大学大学院・渡邉英徳教授「一番注目したいのはここ。河口から大量の土砂が海に流れ込んでいる。防波堤の中も、もともとはきれいな青だけど、茶色く濁っています」